君だけがパーフェクト


「ヒビキくーーーん」
「!!んっ?」
「ヒビキくーーん」
えっ、誰か僕を呼んだ?左右を確認した後、後ろを振り返ってみた。
「シュウ君?…どうしたの?」
僕は基本1人で帰る事が多い。
亮太はもともと仲のいい湊君やサク君と帰っていく。一緒に帰ろうと誘ってくれるけど、もともと出来ているグループに入り込むのは気が引ける。たまに一緒に帰る、それくらいで丁度いい。

「シュウ君どうしたの?って言うか僕なの?僕を呼んでたの?」
「そうだよ。響君を探してたんだよ。アドレス知らなかったから、学校の前で待ってた」
「そ、う、なんだ、」
「一緒に帰ろう」
「うん。どっか公園にでも寄ろうか」
僕達は歩きながら公園に向かった。
「響君とこうやってゆっくり話すのって初めてだよねー」
「そうだね。未遂が一回あったかも(笑」
「あ〜っ、亮太君が心配して追いかけて来たやっ」
「うん・・・」
「あのぉー、
僕、もう隠し事とかそーいう面倒くさい事なしで思い切って聞きますけど、響君って亮太君の事…好きですよね?」
「えっ?」
「僕は亮太君の事が大好きです。亮太君は僕の事を後輩とか可愛い弟とかそんな風に思ってると思うんだけど、僕はそー言う事全部分かってて、全部ひっくるめて亮太君の事が好きなんです。
今じゃなくてもいい、いつか、あの…いつかは分からなくても、、亮太君の隣で笑って、手を繋いでいるのが僕だったらいいなって思ってます。
響君は亮太君の事どう思ってるんですか?響君の気持ちを聞かせてくれませんか?」
「・・・・・」
あぁ、なんて真っ直ぐな目で僕を見つめるんだろう。
一晩中考えてたのかなあ?
「僕は………」
「はい、ちゃんと聞きます」
「僕は」
なんて言えばいいんだろう?

今迄の僕はなるべく大切な物を作らないように生きてきた。
無くなるのが怖くて。
シュウ君はずっと大切な物を持ち続けてきた。無くさない様に。
2人が過ごしてきた過去に僕は居ない。
今が大切だって事はわかってる。
でも土足で入り込めない領域が存在しているのも確かな訳で。
あーっなんて言えばいいんだろう。分からない・・。
これって相手が納得する様に説得するって事?
なんか違うよな。
今ってシュウ君の気持ちを僕に伝えてくれたって事だよな。でも今迄恋愛経験の少ない、いや殆どない僕はなんて言えばいいのか分からない。

無言で流れるこの時間。どうしたらいいんだろうか?勉強は得意な筈なのにこう言う事になると答えが出てこない。
「僕はただ響君の気持ちが知りたいだけなんだけど。亮太君が好きな響君の気持ちが」
「僕は、僕は、亮太の事が…」
「亮太の事が…?」
「・・・・・・」
「響君、なんで黙っちゃう訳?亮太君はちゃんと響君の事が好きだって言ってたのに。
響君の好きはそんな程度の好きなの?
そんなに自信がないの?
分かったよ。もう僕も遠慮なんてしないからね」
「違うんだ、シュウ君」
「何が、どう違うの?僕はちゃんと聞くって言ったのに。なんで響君は心を隠しちゃう訳?僕分からないよ」
こんなに本気でぶつかってこれるシュウ君って本当に凄いな。
「響君、またね。今日はもう帰るよ。今のままの響君じゃ、亮太君は任せられないなあ。
響君はどうしてそんなに気持ちを隠そうとするの?亮太君はそういう響君の事わかってるのかもしれないけど、亮太君はモテるんだから、それじゃあ入り込む隙がありすぎてそのうち誰かに取られちゃうよ。せいぜい気をつけてね」

******

もう最悪だぁ。全て僕が悪い。
「あーぁ、シュウ君の言う事ももっともだよな。
今迄はそれで良くてもこれからは…そうじゃいけない事もあるんだよなぁ。

ピンコーン

あっ、メール亮太からだ。

【響、あのさあ、この前俺の爪がキレイって言ってただろう。あれさぁ、実は全部自分で磨いたんだよなぁー。響ってよく俺の手が綺麗だとか言ってくれるだろ。だからガサガサの爪が恥ずかしいかな…って思ってさ。
でも逆にそんな事するヤツ引くわっとか思ってたら…?って気になってメールした。
考え過ぎだったらいいんだけどな。
爪磨くやつはシュウから貰った。】

そうだったんだ。ははははは
亮太がこんなに素直に気持ちを話てくれるのに1人で不安になって馬鹿だよな。僕って…
もしかして自分から身を引こうとしてたのかな?
知らない間に2人の距離感に嫉妬して勝手に諦めて。
今度は自分から大切な物を捨てようととしてたのかも…

【亮太、シュウ君に会いたいんだけど、連絡してもらえるかな】
【シュウの?聞いてみるからちょっと待ってて。
なんだよ2人っていつの間に仲良くなったんだよ】
【亮太のお陰だよ】
【俺の?】
シュウ君に僕の気持ちを伝える勇気を貰った。
僕は亮太が好きっだって。
思ってる気持ちをそのまま隠さずに伝えたい。