「おーーっ亮太、来てくれて良かったよお」
「シュウ君いらっしゃい」
サクと湊が俺達を出迎えてくれた。
「2人でボーリングしてたの?」
「今日はゲーム半額サービスデーなんだって。しかも4人以上ならドリンクサービスもついてくるって。
2人でやってても寂しいし4人以上なら断然お得だからメールしたんだよ。
そっちこそなんだよ。亮太達も2人で遊んでたんだ〜。でもそこ中村君じゃないんだな」
「まあな、でも響にも連絡はしたよ。後で来るって」
「そうかー。じゃあ、それまでゲームやっちゃうか」
「あっ俺達まだクツ借りてないから行ってくるわ。シュウいくぞ」
「はーい」
「行ってらっしゃい〜」
「ねえ、サク、あの2人どう思う?」
「どう思うって?」
「シュウ君だよ」
「シュウ君??何でシュウ君」
「サクは本当に呑気だよなぁ。シュウ君はただの先輩として亮太に引っ付いてると思う?
あれは憧れでも何でもないな。亮太の事を好きなんじゃないのかなあ?」
「えええ、本当か?でも亮太は可愛い弟みたいに思ってるだけなんじゃ?」
「亮太は多分そう思ってるだろうな。でもシュウ君はお兄さんとか先輩とかって感覚で亮太を見てないと思うなあ。あれは男の亮太を好なんだと思うよ。
だって亮太ってすげー綺麗じゃん。
横顔とか、しぐさとか。手なんて思わず握りしめたくなるしさ」
「まぁ、それはそー思うけど。中村君の方が俺はしっくりくるけどなあ」
「へえ〜、サクでもそんな風に思うだ」
「なんだよ、その言い方。失礼なヤツだなぁ」
「ははは、悪い、悪い」
「靴、借りて来たよ。響、もうすぐ着くって連絡がきたからそれまで待ってようよ」
「あっそうなの?オッケー」
後5分くらいで着くってメールがきてた。
「シュウ君はボーリングとかって得意なの?」
「たまにやるくらいかなぁ、でも、サクさんや湊さんと一緒に遊べて凄く嬉しいです」
「そんな敬語は無しでいこうぜ。これからも誘うよ」
「やった〜、絶対行きます。絶対誘ってください」
「あっ、響来たんじゃない?おーい、ヒビキ〜、こっちこっち」
やっと響が到着したみたい。
「ごめん、遅くなって」
「いいよ、俺達も今来たばっかりだからさ。
さっ、ゲームを始めようか」
******
なんだか・・・、シュウ君と亮太の2人の仲の良さ…。ハッキリ言って嫌だなあ。
亮太はきっと自分に懐いている可愛い弟の面倒を見ている、そんな感覚なんだろうけど、シュウ君のあの顔は絶対に違うと思う。
亮太がストライクを出した時のあの笑顔、外した時のあの残念そうな顔、シュウ君自身は気づいてないかもしれないけど、あれは恋する顔だ。
サクや湊がストライクをだした時の喜んでいる顔とは明らかに違う。
「響、どーした?次,響きの番だよ」
「あっ、うん、ごめん、いってくる」
ゴゴゴゴッ〜パッカーーン
「お〜〜〜っ響、すげーっ、やったなストライクじゃん」
「あっ、たまたまだよ」
「なに謙遜してんだよー、響がこんなにボーリング上手いなんて思わなかったよ。ほら、ハイタッチ!」
「うっ、うん」
なんか僕が亮太と触れ合うたびにシュウ君が眼を逸らす気がするんだよなぁ。
「シュウ君、ボーリング上手いんだね」
思い切って僕から話しかけてみた。
「コントロールだけはいいもので」
「それが大事だよね」
「響君って…」
「うん?」
「写真見せてもらいました」
「写真?」
「はい、秋の校外学習の…。亮太君のスズメと響君のバスケットボールを交換したって」
「あぁ、それね。亮太から聞いたんだ」
「はい、羨ましいなって思って。でも僕も貰ったんです」
「貰ったって、何を?」
「これです。見て下さい、ヒヨコ。余った角材で作ったって言ってたけど、僕にとっては宝物なんです。可愛いですよね。無くさない様にこうやって袋に入れて持ち歩いてたんですけど、響君にこうやって見せる事が出来たからもう机の上に飾っておいてもいいかなぁ〜。
中学の頃の僕は人と上手く話せなくて…いつも気にかけてくれた亮太君は特別な存在なんです。
響君はあのスズメ、どう言う気待ちで受け取ったんですか?」
「えっとぉ、」
そうかあのヒヨコ、シュウ君に作ってたんだ。
なんか妬けるなぁ。
シュウ君にとって亮太は特別みたいだし、
中学の頃の亮太を僕は知らない。
「シュウ君、ジュースを貰いに行ってくるけど何がいい?4人以上でドリンクサービスになるんだよね。コーラ、烏龍茶、オレンジジュース、あとぉー、ジンジャーエールだったかなぁ。中村君もなんにする?」
「あっじゃあ、僕はコーラで」
「みんなコーラなんだね〜、中村君一緒に取りに行こうよ。俺1人では流石に運べないからさぁ」
「うん、分かった、じゃあシュウ君また後で」
湊君とフリードリンクコーナーに向かった。
「シュウ君って亮太の事好きだよね」
「あっ、そ、そうだね」
お父さが病気で亡くなってお母さんと2人暮らししてた時に亮太と知り合ったみたいだからさぁ、やっぱり寂しかったんじゃないかな。でもシュウ君って素直だよね。駆け引き無しって言うか…
いつも本心でぶつかって行くって言うか。俺達も見習わないとなぁ〜」
「そうだ…ね」
「さっ、皆んな待ってるから行こうか、コーラ溢さない様に気をつけて」
「うん」
******
「久しぶりのボーリング楽しかったなあ」
「また来ようぜ〜」
「半額サービスデーって大きいよな。次回もそれ狙いな」
「亮太ってこれからどーすんの?今から妹の誕プレ探しに行くんだけど、よかったら付き合ってよ。湊も一緒に探してくれるって言うからさ」
「あぁ別にいいけど」
「じゃあ、僕は帰るね」
「僕も響さんと途中まで一緒に帰るよ」
「おう、じゃあ、またな〜」
僕と一緒に途中まで帰るってシュウ君どうしたんだろう?
「・・・」
「響さんって亮太君の事好きですよね?」
「えっ?」
「見てたら分かりますよ」
「僕も亮太君の事が好きだから」
「でも響さんってなんて言うか〜」
「ーーい、おーーい、おーーい」
「あれ?誰か呼んでる?」
「あっ、亮太君、どうしたの?」
「ハアハアハア、歩くの早いな。
やっぱり、心配になって戻ってきた。お互い初めてだろ?話すのは」
「えっ、僕の為に?」
「いや、シュウの為じゃない、ヒビキの為かな」
「はぁっ?なんだよそれ」
「ははは、やっぱりシュウには言っておこうと思って。俺、ヒビキの事が好きなんだ」
「えっ?亮太…」
「ごめん、言っちゃダメだったかな」
「いや、そう言う訳じゃ」
「シュウ、俺が響の事好きって聞いて引いた?」
「そんな事…」
「湊やサクにはまだ言えてないんだけどさ。
やっぱり皆んなが受け入れてくれるって訳でもないから。
2人にもいつか言えたらいいなって思ってる。
でもシュウにはちゃんと伝えたかったんだ。
大事な俺の弟だから」
「いや、僕は弟だなんて思ってないから!
僕だって亮太君の事が大好きなんだから。
もーう、聞かなきゃよかった」
「おい、シュウ、そんなに引っ付いたら危ないって」
何だろう?今亮太がちゃんとシュウ君に気持ちを伝えてくれたのに。
2人を見ていると越えられない壁がある様に感じてしまう…。
こんな風に感じてしまう自分が嫌だ。
何でこんなに不安に感じるのかな?
「響さんはどうなの?」
「えっ?」
「今の亮太君の告白を聞いて、響さんは何も言う事ないの?」
「僕は・・・」
「ふーん、そうなんだ」
「おい、シュウ、響もいきなりこんな事言われたら動揺するだろう、ごめんな。」
僕は何故何も言えなかったんだろう?


