俺は時間旅行者。タイムマシンに乗って、未来の世界からはるばる過去の世界へやってきた。
まあ、過去の世界といっても、十年ばかし昔に来ただけなんだが。
時間旅行中に一番気をつけなければいけないこと。それは、旅行先の時代を生きる人間に、自分が時間旅行者だと知られないようにすることだ。万が一知られてしまった場合、未来の世界に帰還後、即逮捕されてしまう。
時間旅行者の首には録音用チョーカーが装着されており、旅行者の会話は全て記録監視されていた。
しかし、俺は未来人として、ここでひとつ未来予知というものを披露してやりたかった。
未来予知なんてものは、もちろん御法度だ。けれど、タイムマシンはまだ開発されて間もないために、時間旅行に関する刑法には穴があった。自分が時間旅行者であることを時間旅行中に知られなければ、処罰の対象ではないのだ。
つまり、俺が未来の世界に帰った後に俺が時間旅行者であることがバレても、それは処罰対象にならないということだ。
よって、賢い俺は、未来予知を書き記したボトルメールを流すことにした。これが読まれる頃には、俺はとっくに未来へ帰っている。
これを拾って読んだ人間は、未来人からの未来予知だと騒ぎ立てるに違いないぞ。
さあ、何を書いてやろうか。
そうだ。確か、この少し先の未来で、世紀の高額万馬券が出ていたはずだ。それを予言してやろう。あとは、まだ世に出ていない芸能人のスキャンダル。これから流行る曲や漫画。ああそれから、タイムマシンを作った天才発明家の名前も書いてやるぞ。
よし。ここまで書けば信じてもらえるだろうさ。
俺はしたり顔で、ボトルメールを大海原へ投げ入れた。
▽
ああ。僕のお先は真っ暗だ。
女手ひとつで育ててくれた母親が、病に倒れてしまった。治療には莫大な費用がかかるそうだ。
売れない発明家を続けたかったけれど、もはやこの道は諦める他ない。しかし、脇目もふらず発明に明け暮れてきた僕が、今更社会に出て何ができるというのか。
自宅兼発明所の目の前に広がる砂浜に、僕は頭を抱えて座り込んでいた。
そんな僕の足元に、穏やかな波がひとつのボトルメールを運んでくる。
ボトルの栓を抜いて中の手紙を手に取った。そこには、今週末に行われる競馬の万馬券の予言と、興味がなくてよくわからない話と、偉大な発明家として僕の名前が書かれていた。
まあ、過去の世界といっても、十年ばかし昔に来ただけなんだが。
時間旅行中に一番気をつけなければいけないこと。それは、旅行先の時代を生きる人間に、自分が時間旅行者だと知られないようにすることだ。万が一知られてしまった場合、未来の世界に帰還後、即逮捕されてしまう。
時間旅行者の首には録音用チョーカーが装着されており、旅行者の会話は全て記録監視されていた。
しかし、俺は未来人として、ここでひとつ未来予知というものを披露してやりたかった。
未来予知なんてものは、もちろん御法度だ。けれど、タイムマシンはまだ開発されて間もないために、時間旅行に関する刑法には穴があった。自分が時間旅行者であることを時間旅行中に知られなければ、処罰の対象ではないのだ。
つまり、俺が未来の世界に帰った後に俺が時間旅行者であることがバレても、それは処罰対象にならないということだ。
よって、賢い俺は、未来予知を書き記したボトルメールを流すことにした。これが読まれる頃には、俺はとっくに未来へ帰っている。
これを拾って読んだ人間は、未来人からの未来予知だと騒ぎ立てるに違いないぞ。
さあ、何を書いてやろうか。
そうだ。確か、この少し先の未来で、世紀の高額万馬券が出ていたはずだ。それを予言してやろう。あとは、まだ世に出ていない芸能人のスキャンダル。これから流行る曲や漫画。ああそれから、タイムマシンを作った天才発明家の名前も書いてやるぞ。
よし。ここまで書けば信じてもらえるだろうさ。
俺はしたり顔で、ボトルメールを大海原へ投げ入れた。
▽
ああ。僕のお先は真っ暗だ。
女手ひとつで育ててくれた母親が、病に倒れてしまった。治療には莫大な費用がかかるそうだ。
売れない発明家を続けたかったけれど、もはやこの道は諦める他ない。しかし、脇目もふらず発明に明け暮れてきた僕が、今更社会に出て何ができるというのか。
自宅兼発明所の目の前に広がる砂浜に、僕は頭を抱えて座り込んでいた。
そんな僕の足元に、穏やかな波がひとつのボトルメールを運んでくる。
ボトルの栓を抜いて中の手紙を手に取った。そこには、今週末に行われる競馬の万馬券の予言と、興味がなくてよくわからない話と、偉大な発明家として僕の名前が書かれていた。

