愛って呼んでいい?

 水曜日の当番が近づくにつれて、不安が足元からじわじわ這い上がってくる。

 平野たちと食べるお弁当。
 卵焼きも、唐揚げも。
 ちゃんと母さんが作ってくれた美味しい味がするはずなのに、なんだか味がしない。

 「早川、今日静かじゃね?」

 「どっか具合悪い?」

 「……いや。別に」

 返事はできる。
 できるのに、頭の中はずっと別のところにあった。

 明日

 水曜日

 愛先輩

 その単語だけが、ぐるぐる回っている。

 あんなに楽しみだったはずなのに、今は怖い。

 もし、明日の当番、愛先輩が来なかったら。
 「あいつの顔、見たくない」って、当番を代わってもらってたら。

 うさぎ小屋の鍵を握りしめて、一人ぼっちで待ってる自分の姿を想像してしまう。

 うさぎは寂しいと死ぬっていうのは迷信らしいけど。
 おれは今、本当になんだか、このまま干からびて消えそうだ。

 愛先輩に会いたい……。
 でも、嫌われたくない……。

 そんなループが止まらなくて、おれはただ、空っぽの喉に冷めたお茶を流し込んだ。