帰りのホームルームが終わり、掃除当番だけが教室に残り、各々は下校していく。
旭は黒板前で回転ほうきを手に持ち、柄に顎を乗せては、溜息を吐いていた。
溜息の要因はお昼の途中で遼人の機をを損ねてしまったことだった。
「旭、どうしたの?溜息なんかついて」
そんな旭に背後で黒板掃除をしていた星杏に話し掛けられる。
「ううん、特に……」
これを話してしまえばまた彼女に呆れられてしまうのだろうと、話すことを躊躇っていると彼女から「わかった」と先手を打たれてしまう。
「遼人と喧嘩したんでしょ?」
流石、兄妹というべきか、長年の付き合いからか、勘のいい星杏に
は口篭もったところでお見通しだった。
「喧嘩というか……。なんというか……」
遼人の機嫌を損ねてしまったと言う方が正しいのだろう。
今までもその傾向はあったものの、ここ最近は特に遼人を無意識に不快にさせていることが多い気がする。
遼人にはできるだけ笑顔でいてほしいのに……。
「悪いのは遼人でしょ?どうせ、遼人が勝手にしょうもないことで
怒ったんでしょ?」
「うーん。そうだけど……。僕がバイト始めたから、旭が遅刻気味に
なったのは僕のせいでもあるし……」
「もう、ほんと旭は優しいんだから。旭が気にすることないよ。遼人は自分勝手で気分屋なだけ。それに遼人もそろそろ旭離れしなきゃ。あいつ、旭に甘えすぎなの」
星杏の言う通り、次の日にはケロッと機嫌が直っていると分かっていても気にしてしまう。
クラスが離れ離れな上に、旭が欲しいものの為にバイトを始めたことで、遼人を一人にさせている申し訳なさはあった。
遼人に強請られれば何でも受け入れてしまう自分は星杏の言う通
り、彼を甘やかしすぎなのだろうか。
「それより旭、今年も来るでしょ?園の縁日」
箒を持つ手を強く握りしめて、俯いていると星杏ちゃんに問われ
て顔を上げる。
「あ、うん。いつだっけ?」
「八月の半ばかな」
縁日とは、毎年夏になると養護施設の敷地内で行われる一大イベント。
一般入場者は料金を取られるが、施設の子供たちは無料で遊べたので、旭も暮らしていた頃は、遼人たちと露店を廻って遊んでいた。
一般客となった今でも露店の売り上げ等は施設の運営費や子供たちのために回されるので旭は積極的に参加していた。
「良かった。遼人と私、今年もヨーヨー釣りの店番やるから来てよ
ね」
「うん、もちろん」
こうして一般客となった今でも、誘って貰えるのは嬉しい。その頃にはカメラも買えるだろうし、旭は嬉々としていた。
「ねぇ、旭。お願いがあるんだけど……」
教壇から降りてきた星杏が旭と向かい合うと耳にかかる髪をかき
上げて、両手を組みもじもじとした様子で旭を見てくる。
「何?」
「あたし、折角なら浴衣着たいなって思ってて……。文子さんに頼
めないかな……」
「うーん。どうだろう、分からないけど聞いてみるよ」
「ホント⁉ありがとう‼あたし、お祭りで浴衣着るの憧れてたんだ
ー」
旭自身は着る服だとかに拘りはない。
浴衣に憧れる女の子の心はイマイチ分からないが、嬉しそうな星杏ちゃんを見ていると、自分
も気持ちが弾んでくる。
星杏ちゃんも遼人と同様に美人さんだから、きっと浴衣が似合うだろう。
遼人もきっと似合うだろうし、浴衣を着た二人を見てみたい気持ちがあった。
旭は黒板前で回転ほうきを手に持ち、柄に顎を乗せては、溜息を吐いていた。
溜息の要因はお昼の途中で遼人の機をを損ねてしまったことだった。
「旭、どうしたの?溜息なんかついて」
そんな旭に背後で黒板掃除をしていた星杏に話し掛けられる。
「ううん、特に……」
これを話してしまえばまた彼女に呆れられてしまうのだろうと、話すことを躊躇っていると彼女から「わかった」と先手を打たれてしまう。
「遼人と喧嘩したんでしょ?」
流石、兄妹というべきか、長年の付き合いからか、勘のいい星杏に
は口篭もったところでお見通しだった。
「喧嘩というか……。なんというか……」
遼人の機嫌を損ねてしまったと言う方が正しいのだろう。
今までもその傾向はあったものの、ここ最近は特に遼人を無意識に不快にさせていることが多い気がする。
遼人にはできるだけ笑顔でいてほしいのに……。
「悪いのは遼人でしょ?どうせ、遼人が勝手にしょうもないことで
怒ったんでしょ?」
「うーん。そうだけど……。僕がバイト始めたから、旭が遅刻気味に
なったのは僕のせいでもあるし……」
「もう、ほんと旭は優しいんだから。旭が気にすることないよ。遼人は自分勝手で気分屋なだけ。それに遼人もそろそろ旭離れしなきゃ。あいつ、旭に甘えすぎなの」
星杏の言う通り、次の日にはケロッと機嫌が直っていると分かっていても気にしてしまう。
クラスが離れ離れな上に、旭が欲しいものの為にバイトを始めたことで、遼人を一人にさせている申し訳なさはあった。
遼人に強請られれば何でも受け入れてしまう自分は星杏の言う通
り、彼を甘やかしすぎなのだろうか。
「それより旭、今年も来るでしょ?園の縁日」
箒を持つ手を強く握りしめて、俯いていると星杏ちゃんに問われ
て顔を上げる。
「あ、うん。いつだっけ?」
「八月の半ばかな」
縁日とは、毎年夏になると養護施設の敷地内で行われる一大イベント。
一般入場者は料金を取られるが、施設の子供たちは無料で遊べたので、旭も暮らしていた頃は、遼人たちと露店を廻って遊んでいた。
一般客となった今でも露店の売り上げ等は施設の運営費や子供たちのために回されるので旭は積極的に参加していた。
「良かった。遼人と私、今年もヨーヨー釣りの店番やるから来てよ
ね」
「うん、もちろん」
こうして一般客となった今でも、誘って貰えるのは嬉しい。その頃にはカメラも買えるだろうし、旭は嬉々としていた。
「ねぇ、旭。お願いがあるんだけど……」
教壇から降りてきた星杏が旭と向かい合うと耳にかかる髪をかき
上げて、両手を組みもじもじとした様子で旭を見てくる。
「何?」
「あたし、折角なら浴衣着たいなって思ってて……。文子さんに頼
めないかな……」
「うーん。どうだろう、分からないけど聞いてみるよ」
「ホント⁉ありがとう‼あたし、お祭りで浴衣着るの憧れてたんだ
ー」
旭自身は着る服だとかに拘りはない。
浴衣に憧れる女の子の心はイマイチ分からないが、嬉しそうな星杏ちゃんを見ていると、自分
も気持ちが弾んでくる。
星杏ちゃんも遼人と同様に美人さんだから、きっと浴衣が似合うだろう。
遼人もきっと似合うだろうし、浴衣を着た二人を見てみたい気持ちがあった。
