「そう……。写真部ってさぁ、何すんの?」
「何って……。校内の写真撮ったり、他の部員の作品見て意見交換したり、野外活動で風景撮りに行ったり……。あとコンテストとかも……」
「ふーん」
興味があるのかないのか、どっちとも捉える事のできる曖昧な返事に旭は首を傾げる。
「なんで?遼も入りたいの?」
「いや、いい。バイトあるし。それに、どっちかっていうと俺って撮られる側だろ」
「そう……だね」
相変わらずの自信家、我が儘王子の遼人に苦笑を浮かべながらも黙々と弁当を食べ進める。
「旭って人とか撮んねーの?」
「ポートレート?うん、僕は風景とか動物撮ってる方が楽しいから。あ、そうだ。こないだ部活で山登りに行ったんだ。その時、ほら。遼にも見せたくて……」
旭は自身のスマホのカメラで撮影した写真を遼人に見せた。木の枝の上で休んでいる色鮮やかな野鳥の写真だが、スマホのカメラの限界か米粒のように小さい。しかし、実際に目で見た時は青くてとても綺麗だった。
遼人にもその感動を伝えたくて見せたが、旭のスマホを手に取り、画面を眺めた遼人の眉間に皺が寄る。
「ちっさ。何これ」
即座にスマホを返されたことから、遼人には旭の感動は伝わらなかったらしい。
「鳥だよ、鳥。綺麗でしょ」
「綺麗も何も全然見えてねぇじゃん。なんかぼやけてるし。普通、カメラってちゃんとしたもん使うんじゃねーの」
「持ってないから……」
真意を突いてくる遼人の言葉に旭は背中を丸めて俯く。周りの先輩や部活仲間は一眼レフのカメラを買っただとか買って貰っただとか自慢げに話していた。スマホのカメラでも写真は撮れないことはないし、性能も悪くはない。
しかし、旭としては自分のカメラを手にしてみたい欲はあった。
「親に言えば、旭なら買ってもらえんだろ」
両親は優しいから旭が頼めば買ってもらえることくらい分かっている。分かっているからこそ、そこに甘んじてはいけない。
「そうだけど、高いし……。文子さんに悪いし……」
「でたよ。旭の遠慮しい」
「そんな言い方しなくたって……。だから新聞配達のバイト始めてコツコツ貯めてるんだ。もう少しで貯まる」
遼人の刺々しい言葉は旭の心を抉ってくるが、自分の意志は曲げない。簡単に手に入ってしまうものより、自分で努力して得たものの方が価値はあると信じているからだ。
その為に早起きがしんどくてもこの三カ月乗り越えられた。
もうすぐ手に入る憧れのカメラを想い、微笑みながら胸を躍らせていると、ベンチに仰向けで寝転がっていた遼人が自分の腕を枕にし、旭とは逆方向で横向きの体勢になった。
「だから俺が遅刻すんだろ。旭が起こしてくれなくなったから……」
「それはごめん……」
旭が謝ったところで、遼人が拗ねていることは一目瞭然だった。背を向けたまま反応がない。無理もなく、中学までは朝が苦手な遼人を施設まで迎えに行くのが日課になっていた。
しかし高校に入り、旭が早朝にアルバイトを始めたことにより、旭の家から真逆である遼人の住んでいる施設まで迎えに行くことが出来なくなってしまった。
旭がバイトすることに遼人が内心では快く思っていないのは分かっている。
遼人が誰よりも寂しがり屋なのは知っているから……。
こうなってしまったら遼人の機嫌は明日まで直らないだろう。
案の定それ以降、チャイムが鳴るまで遼人は口を訊いてくれなかった。
「何って……。校内の写真撮ったり、他の部員の作品見て意見交換したり、野外活動で風景撮りに行ったり……。あとコンテストとかも……」
「ふーん」
興味があるのかないのか、どっちとも捉える事のできる曖昧な返事に旭は首を傾げる。
「なんで?遼も入りたいの?」
「いや、いい。バイトあるし。それに、どっちかっていうと俺って撮られる側だろ」
「そう……だね」
相変わらずの自信家、我が儘王子の遼人に苦笑を浮かべながらも黙々と弁当を食べ進める。
「旭って人とか撮んねーの?」
「ポートレート?うん、僕は風景とか動物撮ってる方が楽しいから。あ、そうだ。こないだ部活で山登りに行ったんだ。その時、ほら。遼にも見せたくて……」
旭は自身のスマホのカメラで撮影した写真を遼人に見せた。木の枝の上で休んでいる色鮮やかな野鳥の写真だが、スマホのカメラの限界か米粒のように小さい。しかし、実際に目で見た時は青くてとても綺麗だった。
遼人にもその感動を伝えたくて見せたが、旭のスマホを手に取り、画面を眺めた遼人の眉間に皺が寄る。
「ちっさ。何これ」
即座にスマホを返されたことから、遼人には旭の感動は伝わらなかったらしい。
「鳥だよ、鳥。綺麗でしょ」
「綺麗も何も全然見えてねぇじゃん。なんかぼやけてるし。普通、カメラってちゃんとしたもん使うんじゃねーの」
「持ってないから……」
真意を突いてくる遼人の言葉に旭は背中を丸めて俯く。周りの先輩や部活仲間は一眼レフのカメラを買っただとか買って貰っただとか自慢げに話していた。スマホのカメラでも写真は撮れないことはないし、性能も悪くはない。
しかし、旭としては自分のカメラを手にしてみたい欲はあった。
「親に言えば、旭なら買ってもらえんだろ」
両親は優しいから旭が頼めば買ってもらえることくらい分かっている。分かっているからこそ、そこに甘んじてはいけない。
「そうだけど、高いし……。文子さんに悪いし……」
「でたよ。旭の遠慮しい」
「そんな言い方しなくたって……。だから新聞配達のバイト始めてコツコツ貯めてるんだ。もう少しで貯まる」
遼人の刺々しい言葉は旭の心を抉ってくるが、自分の意志は曲げない。簡単に手に入ってしまうものより、自分で努力して得たものの方が価値はあると信じているからだ。
その為に早起きがしんどくてもこの三カ月乗り越えられた。
もうすぐ手に入る憧れのカメラを想い、微笑みながら胸を躍らせていると、ベンチに仰向けで寝転がっていた遼人が自分の腕を枕にし、旭とは逆方向で横向きの体勢になった。
「だから俺が遅刻すんだろ。旭が起こしてくれなくなったから……」
「それはごめん……」
旭が謝ったところで、遼人が拗ねていることは一目瞭然だった。背を向けたまま反応がない。無理もなく、中学までは朝が苦手な遼人を施設まで迎えに行くのが日課になっていた。
しかし高校に入り、旭が早朝にアルバイトを始めたことにより、旭の家から真逆である遼人の住んでいる施設まで迎えに行くことが出来なくなってしまった。
旭がバイトすることに遼人が内心では快く思っていないのは分かっている。
遼人が誰よりも寂しがり屋なのは知っているから……。
こうなってしまったら遼人の機嫌は明日まで直らないだろう。
案の定それ以降、チャイムが鳴るまで遼人は口を訊いてくれなかった。
