自身の下駄箱からスリッパを取り出し、履く星杏ちゃんの後に続いて、旭も玄関に並べられていた来客用スリッパに履き替えて中へ入る。
先導する彼女の後ろ姿を眺めながら辿り着いたのは、施設内の図書室だった。
旭も此処に居た頃はよく利用していた場所。
そして、星杏ちゃんと仲良くなったのもこの場所だった。
星杏ちゃんは図書室に入るなり、真っ先に図鑑の棚へ向かうと星座の図鑑を取り出して旭に見せてくる。
「旭、懐かしくない?この本」
「うん、懐かしい。これ読んでるときに星杏ちゃんが声掛けてきてくれたんだよね」
「そうそう、あたしも丁度その本が読みたくて、私が図々しく旭の隣に座って見せてもらってた」
今では星杏ちゃんの方が詳しいが、当時の旭も夜空や星座の本が好きでよく図書室で読んでいた。
星杏ちゃんに図鑑を手渡されて、ページをめくると昔の懐かしい思い出が蘇る。
「それからだよね。旭が遼人とルームメイトで、三人で遊ぶようになったの」
「うん」
「旭は優しいからお兄ちゃんに合わせて悪戯に加担して園の先生に怒られてさ」
「うん。でも凄く楽しかったから、後悔はしてないよ」
遼人に出会わなければこんなにいい人にも楽しい時間も過ごせなかったと思う。そのおかげで今もこうして思い出として旭の心に残っている。
「旭……。あのね」
図鑑の表紙を眺めながら思い出に浸っていると星杏ちゃんに呼ばれて顔を上げる。髪の毛を耳に掻き上げる素振りをして、両手の指を組んで立っている彼女から緊張が伝わる。
「私、旭のこと昔から意識してたというか……。好きだったんだ。だから、この後の花火大会、旭と一緒に見たいなって……。ダメだかな?」
頬を染めてそう告白する星杏ちゃんに驚いた旭は思わず持っていた図鑑を落としてしまった。『好き』というのが単なる家族や幼馴染に対するものではないことは星杏ちゃんの言動から理解できた。
けれど今の今まで星杏ちゃんを恋愛対象として見てきていなかっただけに旭は戸惑いを隠せなかった。
遼人が言っていた星杏ちゃんが一緒に花火大会を見に行きたい相手は自分だったということなのだろう……。
「えっと……」
戸惑って何を返せばいいのか分からならず、言葉が出てこない。でも、ここで中途半端に返事をしてはいけないような気がした。
旭は慌てて床に落ちた図鑑を拾うと「ごめん……」と謝った。
「僕、星杏ちゃんをそう意識したことなくて……。勿論、星杏ちゃんのことは好きだけど、それは家族みたいな感覚で……」
彼女を傷つけないよう言葉を選んだつもりであるが自信はない。
けれど嘘なんか吐けないから本当の気持ちを話すしかない。
すると星杏ちゃんは天井に向かって大きく伸びをして、此方に微笑んできていた。
「分かってた。旭って超鈍感なんだもん。傍にいてもあたしのことあんまり意識してくれてないんだなーって。だから、はっきりさせたくて告白したの。でもありがとう、だから今まで通り仲良くしてね」
終始笑顔でいたけど、彼女が無理をしているように見えて良心が痛む。
「でね、図々しいけど一生に一度のお願いがあるの。花火大会付き合ってくれる?他意はないから、旭と思い出を作りたいだけ」
「う、うん。もちろん……」
人差し指を口元に当てて提案してきた彼女に圧倒されながらも、旭はただただ頷くことしかできなかった。
先導する彼女の後ろ姿を眺めながら辿り着いたのは、施設内の図書室だった。
旭も此処に居た頃はよく利用していた場所。
そして、星杏ちゃんと仲良くなったのもこの場所だった。
星杏ちゃんは図書室に入るなり、真っ先に図鑑の棚へ向かうと星座の図鑑を取り出して旭に見せてくる。
「旭、懐かしくない?この本」
「うん、懐かしい。これ読んでるときに星杏ちゃんが声掛けてきてくれたんだよね」
「そうそう、あたしも丁度その本が読みたくて、私が図々しく旭の隣に座って見せてもらってた」
今では星杏ちゃんの方が詳しいが、当時の旭も夜空や星座の本が好きでよく図書室で読んでいた。
星杏ちゃんに図鑑を手渡されて、ページをめくると昔の懐かしい思い出が蘇る。
「それからだよね。旭が遼人とルームメイトで、三人で遊ぶようになったの」
「うん」
「旭は優しいからお兄ちゃんに合わせて悪戯に加担して園の先生に怒られてさ」
「うん。でも凄く楽しかったから、後悔はしてないよ」
遼人に出会わなければこんなにいい人にも楽しい時間も過ごせなかったと思う。そのおかげで今もこうして思い出として旭の心に残っている。
「旭……。あのね」
図鑑の表紙を眺めながら思い出に浸っていると星杏ちゃんに呼ばれて顔を上げる。髪の毛を耳に掻き上げる素振りをして、両手の指を組んで立っている彼女から緊張が伝わる。
「私、旭のこと昔から意識してたというか……。好きだったんだ。だから、この後の花火大会、旭と一緒に見たいなって……。ダメだかな?」
頬を染めてそう告白する星杏ちゃんに驚いた旭は思わず持っていた図鑑を落としてしまった。『好き』というのが単なる家族や幼馴染に対するものではないことは星杏ちゃんの言動から理解できた。
けれど今の今まで星杏ちゃんを恋愛対象として見てきていなかっただけに旭は戸惑いを隠せなかった。
遼人が言っていた星杏ちゃんが一緒に花火大会を見に行きたい相手は自分だったということなのだろう……。
「えっと……」
戸惑って何を返せばいいのか分からならず、言葉が出てこない。でも、ここで中途半端に返事をしてはいけないような気がした。
旭は慌てて床に落ちた図鑑を拾うと「ごめん……」と謝った。
「僕、星杏ちゃんをそう意識したことなくて……。勿論、星杏ちゃんのことは好きだけど、それは家族みたいな感覚で……」
彼女を傷つけないよう言葉を選んだつもりであるが自信はない。
けれど嘘なんか吐けないから本当の気持ちを話すしかない。
すると星杏ちゃんは天井に向かって大きく伸びをして、此方に微笑んできていた。
「分かってた。旭って超鈍感なんだもん。傍にいてもあたしのことあんまり意識してくれてないんだなーって。だから、はっきりさせたくて告白したの。でもありがとう、だから今まで通り仲良くしてね」
終始笑顔でいたけど、彼女が無理をしているように見えて良心が痛む。
「でね、図々しいけど一生に一度のお願いがあるの。花火大会付き合ってくれる?他意はないから、旭と思い出を作りたいだけ」
「う、うん。もちろん……」
人差し指を口元に当てて提案してきた彼女に圧倒されながらも、旭はただただ頷くことしかできなかった。
