不機嫌な幼なじみと鈍感な僕

準備をしていくうちに気が付けば開場の時間になっていた。赤や青、黄色、オレンジなど色とりどりのヨーヨーをプールの水に浮かべて遊びに来る子供たちを待つ。
一般客は一回100円。施設内の子供たちは利用者パスを首から下げて、遊び放題だった。

 子供たちが釣り糸で目当てのヨーヨーを一生懸命釣る姿を楽しそうに眺める遼人の傍らで、旭は時折手持ちのカメラのシャッターを切りながらも、彼らの手伝いをしていた。


 星杏ちゃんも、準備前は遼人と喧嘩腰であったものの楽しんでいるようで一先ず安堵した。

 丁度、御昼を回った頃。旭は、遼人たちのためにお昼ご飯の差し入れするために売り場を離れた。

 施設で暮らしていてお世話になった理事長や、食堂のおばちゃん、OBに挨拶しがてら、屋台の焼きそばや焼き鳥、飲み物やらを購入しに行く。

 遼人たちの出店に戻ってくると、白い口元のちょび髭が特徴的なおじいちゃん先生こと武夫先生が代わりに店番をして遼人はそのすぐ後ろでパイプ椅子に座って休んでいた。

「遼、ただいま。武夫先生もありがとうございます。差し入れです」

 椅子に座る遼人には買ってきた焼きそばとお茶を渡す。店番をしている御客さんが引いたのを見計らって先生にも同じものを渡した。

「旭くんわざわざ、ありがとね。君も手伝ってくれて助かってるよ」
「いいえ、先生方にはお世話になったので……。僕、店番代わるので休んでてください。遼も」
「そうかい?じゃあお言葉に甘えて少しだけ席を外していいかい?」
「はい、ごゆっくり」

 旭が渡した食べ物を持って席を立つ武夫先生を見送り、旭が代わりに先生が座っていたパイプ椅子に座る。

「お前、お人好しすぎだろ。あくまでお前ゲスト側だろ?」
 
背後から遼人に問われて振り返る。

「先生にはお世話になってたし。僕も暇だから」
「そう……」
「そういえば、星杏ちゃんは?」
「ああ、そこら辺の露店見に行った」
「そっか、遼はいいの?」
「うん、此処にいる方が楽しいからいい」
「そっか、遼が楽しんでくれてれば僕はこれ以上言うことないよ」

 遼人は割り箸で焼きそばを食べながら答える。確かに小学生の頃は一緒に廻っていた露店も、中学生になって大人と手伝えるようになってから遼人はすっかりホスト側になっていた。