【完結。一気読み推奨☆】ただのハイスペックなモブだと思ってた

 翌日には俺たちは生徒会顧問の先生に生徒会室に招集され、生徒会の仕事の説明や前期の大まかなイベントについて説明された。

「ある程度は生徒の自主性に任せるし、常識の範囲でやりたいことをやりたいようにやってもらって構わない。ただ、必ず俺に確認をとってもらう必要はあるし、前期で使える予算は決まっているから、当然、その中で収めるように気をつけてくれ」

 それから先生は星に視線を向けた。

「会計は葛城だったか?」
「はい」
「まぁ、それなら安心だろう」

 次に先生は松下さんへと視線を向けた。

「松下は庶務だったな?」

 彼女はこくりと頷いた。

「庶務も忙しいと思うが、できれば、書記の補助を頼めるか?」

 書記は三津谷である。三津谷はこれまで自主的に何かの仕事をすることはなかったし、仕方なくやることになった体育委員とかも体を動かす仕事以外はだらだらと不真面目な態度を隠すことなく行なってきた。
 そのため、先生からの信頼は極めて低い。
 それはわかっているので、星と三津谷以外が答えた。

「「「その予定です」」」

 松下さんにも前もってお願いしていたので、そのことはしっかりと意識してくれているようだ。
「そうか」と先生も安心したようだった。

「みんな、ひどくねっ!?」

 そう三津谷は叫んでいたが、これまで積み重ねてきた不信感の結果なので、ひどくはないだろう。



 翌週の全校集会にて俺たちは壇上に上がり、新しい生徒会メンバーとして自己紹介を行った。

 この学校では生徒会は先生が決めるものであり、生徒側はそれを受け入れるだけだし、そもそも前期後期で生徒会メンバーががらりと変わるため、一般生徒からすれば、生徒会とは入れ替わりの激しい雑用係のようなものなのだ。

 だから、前期後期でこうして新しい生徒会メンバーの挨拶があったところで生徒たちは特に反応しない、よほど有名な生徒でもない限り生徒たちの話題にも上がらない。

 しかし、今回は俺と鴉間コンビが生徒会長と副会長になったため、体育館に集まった生徒たち……特に女生徒たちの黄色い悲鳴は大きかった。

 アイドルのライブ会場のように「きゃ~! 遥翔さまぁ~!」と手を振る者までいる。ライブ会場ではないのだから、本当にやめてもらいたい。

 あと、スマホでこっそり写真撮るのもやめろ。
 そういう生徒たちは先生方が迅速にスマホを回収しに行っている。
 今やスマホがなければお昼を買うこともできず、親に連絡を取ることもできないような時代のため、この学校ではスマホを持ってくること自体は禁止ではないが、授業中やこうした集会中にスマホをいじることは禁止だし、そもそも他者の写真を勝手に撮るとか、社会ルールとして禁止だろう。

 先生たちが勝手に写真を撮る生徒たちを取り締まっている様子はまるでライブ会場の警備スタッフたちのようだ……なんかすみません。

 とりあえず、俺たちは挨拶を終えて壇上を降りる。
 入れ代わりに壇上に上がった生徒会顧問の先生がマイクを握りしめて言った。

「生徒会メンバーはアイドルではなく。君たちと同じ生徒だ。つまり、一般人だ。写真や動画を撮ることはもっての外だし、生徒会への相談事であっても直接話しに行くようなことは控えるように。そのような常識を守れない者の内申点がどのようなものとなるかは想像すればわかるだろう。生徒会メンバーの誰か一人でも迷惑を被ったと感じることがあれば、今期の生徒会メンバーは即刻解散となることを理解しておいてほしい」

 先生の言葉は大袈裟なように聞こえるかもしれないが、これは俺と鴉間が会長と副会長を引き受ける条件として先生に提示したものだった。
 この条件によって、それなら別の者に生徒会をお願いするという話になれば、それでよかったのだが、そうはならなかった。
 先生も、俺たちを生徒会にするからにはそれくらいの対応策が必要だとは考えていたようだ。

「そこまでして、俺たちを生徒会メンバーにする必要がありますか?」と聞けば、先生には先生の事情があった。

 この学校の生徒会は生徒たちの勉強の邪魔をしないように選挙ではなく先生たちが決めるのだが、先生とPTAとしては優秀な生徒に生徒会長になってほしいという思いはあるものの、大学受験を見据えて勉強している生徒は生徒会などやりたがらずに断られるのが常なのだそうだ。

 生徒会メンバーになれば内申点は上がるものの、優秀な生徒は指定校推薦で受かるような大学は目指していない。
 推薦はほしいものの、共通テストを受けなければいけないため、結局は高い学力が必要になり、生徒会の仕事で時間を潰している暇などないのだ。

 だから、生徒会顧問の先生は何人かの生徒に複数回、声をかけることになるそうだ。

 しかし、その苦労が軽くなる時があるそうで、それが、人気の生徒が生徒会長や副会長になった後のことだそうで、そのために、先生は俺や鴉間に生徒会長や副会長になって欲しかったのだそうだ。

「お前たちの人気はすごいからな、きっと今後二期……いや、三期分くらいはラクして生徒会メンバーを集めることができるはずだ!」

 そう先生は嬉しそうだった。
 生徒会のメンバーを集めることにいつもよほど苦労しているのだろう。

 スポーツ推薦で入ってくる生徒もいるものの、この学校を資金的に支えているのは特進クラスの親たちのため、この学校では体育祭はない。
 代わりに、希望者のみで行う球技大会が後期にある。

 そして、前期は文化祭が行われる。前期の生徒会の仕事は主にこの文化祭の準備である。