【完結。一気読み推奨☆】ただのハイスペックなモブだと思ってた

「遥翔様、ご機嫌ですね」

 俺の身の回りの世話をしてくれている高野が迎えのリムジンに乗った俺に言った。

「星が特進クラスになったから」
「星様と同じクラスになれたのですね?」

 高野は星を気に入っているから、星の話をすると少し嬉しそうだ。

「遥翔様が勉強を見て差し上げた成果ですね」
「星の努力の成果だよ」
「左様ですね」と高野は笑う。
「ところで、生徒会の件はどうされるのですか?」

 高野に聞かれて俺はため息をついた。
 三年になると受験で忙しくなるため、生徒会長などの生徒会役員は大体二年生がなる。
 そして、うちの学校の場合には、特進クラスから先生や前生徒会のメンバーから推薦で次の生徒会のメンバーが決まるのだ。

 大体は一年生の時に生徒会書記や会計になっていた者が生徒会長なり副会長になるものかと思っていたし、俺は一年の時に声をかけられた時に断っていた。
 声をかけられた頃にはすでに星と放課後に勉強していたし、生徒会の仕事には全く興味がなかったけれど、星との話は面白かったからだ。

 しかし、今回、特進クラスの席を自由席にしてほしいということを先生にプレゼンした際、先生から生徒会長をやってほしいと改めて打診されたのだった。
 もちろん、俺としては星と過ごす放課後を優先したいのだが、自由席獲得が生徒会長の件を真剣に考え、断る際には先生が納得できるように説得することという条件を出されたからには安易に断ることができないのだ。

「俺としては星との時間を優先したいんだけど、先生が納得できる説得ができるかというとちょっと弱いと思う……」

 俺の言葉に「そうですな」と高野は頷く。そして、続けて言った。

「それでは、星様も生徒会に入れてしまうというのはいかがでしょうか? 前期だけでも生徒会メンバーであったという実績があれば、大学進学の際にも有効でしょう」
「さすが、俺の最強サポート役!」

 思わず、そう声が出てしまった。

「お褒めいただきありがとうございます」

 高野は俺の言葉に疑問を持つこともなくそのまますんなりと受け入れた。
 しかし、星のことを語りたかった俺が「最強サポート役」と高野のことを一番最初に評したのは星だと伝えると高野はますます嬉しそうにした。

「それは光栄ですね」
「星は俺をBL漫画の主人公みたいだと褒めてくれて、高野は主人公の最強のサポート役なんだそうだ」
「BL漫画というと、遥翔様が最近読まれている男性同士の恋愛漫画ですね?」
「一言で恋愛漫画と言っても、BL漫画の場合は爽やかな青春モノもあれば、昼ドラみたいな重いものもあり、同性同士ゆえに悩みや障壁となる問題があったりする話もあるし、異世界ファンタジーものや、オメガバースや、ドムサブや、ケーキバースなんて特殊な設定のものもあるんだ」
「……遥翔様、念の為にお伝えいたしますが、遥翔様はまだ未成年ですから……」
「わかっている! もちろん、そういうものには手を出していない! それは成人してからの楽しみにとってある……」

 いや、実は、気になってネットでちょっと検索したりはしてしまったけれど、思わず星に変換して見てしまうために恥ずかしいし、動悸はひどいしで封印したのだ。
 やはり、成人指定のものは、成人してから見るべきだろう。俺にはまだ早かった。

「わかりました。それでは、成人した際には、遥翔様と星様のためにこの不肖高野がお二人のために素晴らしいデートプランをご提供いたしましょう」
「高野が星を気に入っているのは知っているけれど、俺に協力をすることによって父さんや母さんの意向に反したりはしないか?」

 協力してくれるのはありがたいけれど、俺のせいで高野が罰せられるようなことがあってはならない。

「そこのところは問題ございません。星様のことも、旦那様と奥様にご報告しておりますから」
「それは、友達としてだろう?」
「いえ。遥翔様の思い人としてです」

 俺は思わず「え!?」と大きな声を出してしまった。

 高野曰く、父さんも母さんも星の話を聞いて、星のことを気に入っているのだという。
 そして、俺から星のことを紹介される未来を楽しみにしているのだそうだ。
 両親が理解のある人たちでよかったと俺は心から思った。