結果として、葛城は特待生になることができた。
しかし、面接を行った先生に「サポートキャラ力……それはサポート力じゃダメなの?」と質問をされて、「確かに!」と恥ずかしい思いをしたそうだ。
「俺はサポートキャラ力って言い方、可愛くて好きだけど?」と言ったら、「また揶揄って!」と怒られた。
これに関しては別に揶揄ったつもりはなく、本当に葛城は可愛いと思っただけなのだが。
特待生の試験があったのは十二月半ばだった。
恋する思春期がどうしても意識してしまう行事がもうすぐ訪れる。
それはクリスマス。
しかも、今年のクリスマスは日曜日なのだ!
進学校の特進クラスなんかにいると土曜日も年末も集中講義とか普通にあるんだけど、日曜日は流石に休みだ……
いや、希望者のために学校は開いていたりするけど、俺はそこまで必死に勉強しなくても余裕で希望校に行ける天才なので、日曜日は休む。
特に、葛城と一緒に過ごせるなら絶対に休む。
「今年のクリスマスは日曜日ですが、遥翔様は葛城様とどこか遊びに行かれないのですか?」
葛城曰く、俺の最強のサポート役である高野がそんなことを言った。
どうやら、葛城の見立てに間違いはなかったようだ。
「俺としては葛城と出かけたいんだけど、葛城は特待生の試験で忙しかったからまだ予定は聞いてないんだ」
今は登校中のリムジンの中だ。
「そうですか。良いお返事をいただけるといいですね」
「ただ、俺には強力なライバルがいるから、ちょっと不安はあるけどね」
「遥翔様にライバルですか?」
俺のサポート役の高野は意外そうな顔をする。
俺は思わず葛城が好きなやつなんだと言いそうになったけれど、それは葛城から秘密にして欲しいと言われていることだった。
少し考えていた高野は何か思いついたように「ああ!」と声を漏らした。
「あの、びしょ濡れの少年ですか? 葛城様と家が隣同士の幼馴染でしたね」
そういえば、高野はもう日向に会っているのだった。
しかも、二人の家の位置まで把握している。
そう、葛城と日向の家は隣同士だった。
幼馴染だとは知っていたけれど、まさかあそこまで家が近いとは……
水族館に行った日に、葛城が家を出たタイミングでたまたま日向と会ったと言っていたけれど、たまたま二人が会うタイミングなどいくらでもあるのだ。
何せ家が隣なのだから。羨ましすぎる。
「それなら、隣の家同士でクリスマスパーティーをすることが恒例になっていたりもするかもしれませんね」
「え……」
俺のサポート役のはずの高野が怖いことを言った。
そんなの、俺が遊びに誘ったところでどうしようもないということだろうか?
「しかし、大抵のご家庭のクリスマスパーティーは夕方から夜に行われるものでしょうから、昼間なら十分にチャンスはあります。早めに誘ったほうがよろしいかとは思いますが」
最強のサポート役の高野とそんな会話をした俺はリムジンから降りて、真っ直ぐに葛城の教室へと向かった。
葛城が俺がクラスに来るのを嫌がるため、登校早々に葛城のクラスへと顔を出すのはBL漫画を初めて読んだ翌日以来久しぶりのことだった。
「葛城!」
教室の入り口のところから葛城を呼ぶと、自分の席で他のクラスメイトと話していた葛城がその目を丸くした。
葛城に日向以外の友達がいたことは知らなかったけれど、葛城はいいやつだから、友達がたくさんいるのは当然だ。
「神乃くん!?」
葛城は友達たちに何か言うこともなく、俺のところに一目散に駆け寄ってきてくれた。
そして、俺の手を握って、一秒でも早くこの場から離れたいという明白な意志を見せて俺のことを引っ張った。
「神乃くん! うちのクラスには来ないでって言ったでしょ!?」
前回同様、空き教室に入った葛城は涙目だ。
「俺は葛城の友達なのに?」
「だから、女の子たちが怖いんだってば!」
「彼女たちには繰り返し忠告……注意しておいたから、もう大丈夫なはずだけど?」
「……言われてみれば、最近は呼び出しもないし、睨まれたり、舌打ちされることもないかも?」
俺には愛嬌を振りまく笑顔しか見せない女生徒たちだが、葛城には随分と違う態度を見せていたようだ。
裏表のある人間とは怖いものである。
「それで、どうしたの?」
なんだかんだ言いながらも、葛城は俺の用事をちゃんと聞いてくれる。
「クリスマス、一緒に遊ばないか?」
「ごめん。その日は、至ちゃんの試合なんだ」
まさかの返答だった。
日向と出かける予定があるとかは予想してたが、試合……それは言わば、日向が活躍する場だ。
主人公が活躍する場なんて、サポートキャラとしては確実に行くだろう。
「もしよかったら、神乃くんも行く?」
「……え?」
「もちろん、嫌じゃなければだけど?」
それは、こっちのセリフだ。
好きな人の活躍を見に行く時に、少年漫画の中ではモブの俺がいてもいいのだろうか?
そうは思ったが、もちろん、自分からチャンスを潰すようなことを言うつもりはない。
「行く! 絶対行くよ!」
「そう? よかった」と葛城は笑った。
これは、言わば、スポーツ観戦デートでは!?
早速高野に報告すると、スポーツ観戦に適した服装を買っておいてくれるそうだ。
そういうことは高野に任せておけば間違いないだろう。
何しろ、葛城お墨付きの最強サポートキャラなのだから。
しかし、面接を行った先生に「サポートキャラ力……それはサポート力じゃダメなの?」と質問をされて、「確かに!」と恥ずかしい思いをしたそうだ。
「俺はサポートキャラ力って言い方、可愛くて好きだけど?」と言ったら、「また揶揄って!」と怒られた。
これに関しては別に揶揄ったつもりはなく、本当に葛城は可愛いと思っただけなのだが。
特待生の試験があったのは十二月半ばだった。
恋する思春期がどうしても意識してしまう行事がもうすぐ訪れる。
それはクリスマス。
しかも、今年のクリスマスは日曜日なのだ!
進学校の特進クラスなんかにいると土曜日も年末も集中講義とか普通にあるんだけど、日曜日は流石に休みだ……
いや、希望者のために学校は開いていたりするけど、俺はそこまで必死に勉強しなくても余裕で希望校に行ける天才なので、日曜日は休む。
特に、葛城と一緒に過ごせるなら絶対に休む。
「今年のクリスマスは日曜日ですが、遥翔様は葛城様とどこか遊びに行かれないのですか?」
葛城曰く、俺の最強のサポート役である高野がそんなことを言った。
どうやら、葛城の見立てに間違いはなかったようだ。
「俺としては葛城と出かけたいんだけど、葛城は特待生の試験で忙しかったからまだ予定は聞いてないんだ」
今は登校中のリムジンの中だ。
「そうですか。良いお返事をいただけるといいですね」
「ただ、俺には強力なライバルがいるから、ちょっと不安はあるけどね」
「遥翔様にライバルですか?」
俺のサポート役の高野は意外そうな顔をする。
俺は思わず葛城が好きなやつなんだと言いそうになったけれど、それは葛城から秘密にして欲しいと言われていることだった。
少し考えていた高野は何か思いついたように「ああ!」と声を漏らした。
「あの、びしょ濡れの少年ですか? 葛城様と家が隣同士の幼馴染でしたね」
そういえば、高野はもう日向に会っているのだった。
しかも、二人の家の位置まで把握している。
そう、葛城と日向の家は隣同士だった。
幼馴染だとは知っていたけれど、まさかあそこまで家が近いとは……
水族館に行った日に、葛城が家を出たタイミングでたまたま日向と会ったと言っていたけれど、たまたま二人が会うタイミングなどいくらでもあるのだ。
何せ家が隣なのだから。羨ましすぎる。
「それなら、隣の家同士でクリスマスパーティーをすることが恒例になっていたりもするかもしれませんね」
「え……」
俺のサポート役のはずの高野が怖いことを言った。
そんなの、俺が遊びに誘ったところでどうしようもないということだろうか?
「しかし、大抵のご家庭のクリスマスパーティーは夕方から夜に行われるものでしょうから、昼間なら十分にチャンスはあります。早めに誘ったほうがよろしいかとは思いますが」
最強のサポート役の高野とそんな会話をした俺はリムジンから降りて、真っ直ぐに葛城の教室へと向かった。
葛城が俺がクラスに来るのを嫌がるため、登校早々に葛城のクラスへと顔を出すのはBL漫画を初めて読んだ翌日以来久しぶりのことだった。
「葛城!」
教室の入り口のところから葛城を呼ぶと、自分の席で他のクラスメイトと話していた葛城がその目を丸くした。
葛城に日向以外の友達がいたことは知らなかったけれど、葛城はいいやつだから、友達がたくさんいるのは当然だ。
「神乃くん!?」
葛城は友達たちに何か言うこともなく、俺のところに一目散に駆け寄ってきてくれた。
そして、俺の手を握って、一秒でも早くこの場から離れたいという明白な意志を見せて俺のことを引っ張った。
「神乃くん! うちのクラスには来ないでって言ったでしょ!?」
前回同様、空き教室に入った葛城は涙目だ。
「俺は葛城の友達なのに?」
「だから、女の子たちが怖いんだってば!」
「彼女たちには繰り返し忠告……注意しておいたから、もう大丈夫なはずだけど?」
「……言われてみれば、最近は呼び出しもないし、睨まれたり、舌打ちされることもないかも?」
俺には愛嬌を振りまく笑顔しか見せない女生徒たちだが、葛城には随分と違う態度を見せていたようだ。
裏表のある人間とは怖いものである。
「それで、どうしたの?」
なんだかんだ言いながらも、葛城は俺の用事をちゃんと聞いてくれる。
「クリスマス、一緒に遊ばないか?」
「ごめん。その日は、至ちゃんの試合なんだ」
まさかの返答だった。
日向と出かける予定があるとかは予想してたが、試合……それは言わば、日向が活躍する場だ。
主人公が活躍する場なんて、サポートキャラとしては確実に行くだろう。
「もしよかったら、神乃くんも行く?」
「……え?」
「もちろん、嫌じゃなければだけど?」
それは、こっちのセリフだ。
好きな人の活躍を見に行く時に、少年漫画の中ではモブの俺がいてもいいのだろうか?
そうは思ったが、もちろん、自分からチャンスを潰すようなことを言うつもりはない。
「行く! 絶対行くよ!」
「そう? よかった」と葛城は笑った。
これは、言わば、スポーツ観戦デートでは!?
早速高野に報告すると、スポーツ観戦に適した服装を買っておいてくれるそうだ。
そういうことは高野に任せておけば間違いないだろう。
何しろ、葛城お墨付きの最強サポートキャラなのだから。
