文化祭が終わって1ヶ月が経過した。
受験やら就職やらでクラスメイトが揃わなくなる日が多い中、冬弥も篠宮の元へ行ったり任務で学校を休む日が増えた。
「……いくら探っても出ない、ね。」
資料室に入り浸り目的の文献を探ってもそれらしいものは出てこない。時間は有限だと分かっているのに進展はない中で冬弥に有るのは焦りだけ。
今朝もたっぷりと塗りたくった様な黒い隈を見た篠宮に「少しは休め」と言われる始末。
コーヒーを飲み干して背もたれにもたれ掛かりため息。目がチカチカしている。
「……何してるんだろうな、俺は。」
何年も何年も様々な方法を試して来た。それでも全く効果はないし、自体は良くもならない。
次第に弱気になる気分を無理矢理奮い立たせる。
「おや、珍しい。」
丁度資料を捲った時に声がかかり顔をあげると、そこに居たのは書生姿の……九条。観測課を統括する男。
「御影家の若君が、こんな資料室に籠って何を調べておいでで?」
わざとらしく笑う姿。冬弥は資料を閉じるとそのまま荷物を片付けて立ち上がる。
「……別に。気になる怪異がいたからそれについて調べていただけだ。」
冷たく返しても気にしないように、九条は「へぇ」と笑うが、一瞬にして表情を変えた。
「そういえば、ご存知ですか?」
「……何を。」
資料室側を見る九条、出入口側を見る冬弥。
見上げ、見下ろす2人の視線は冷たい。
「最近、やたらと怪異が集まる場所が有ってね。おかしいですよね、まるで何かに吸い寄せられているみたいな感じで。」
「それは変だな?シーズン的な問題では無いのか?または…」
「貴方の周りなんです。特に、月待遥陽にね。」
九条の感情のこもらない視線。メガネのレンズ越しに見えるそれに、冬弥は冷めた目をする。
「俺や遥陽が何かしているとでも?」
「いいえ。ただ気になっただけです。学生という事もあり、そう言う時期だから、と言うのも有るでしょうが。其方でも気になる事があったら教えてください。」
「……ああ。」
九条がこの場を立ち去ろうとしたとき、顔だけをこちらに向ける。
「常盤様を裏切る真似だけは許しませんよ。」
秋から冬に切り替わる季節。
一気に冷え込んできたとニュースキャスターが告げていたから、ロングコートを持って来たのは正解だった。
少しずつクリスマスに向けたイルミネーションやツリーの他にもサンタクロースの飾りが街を華やかにさせる中、缶コーヒーを片手に静かな公園のベンチに座っていた冬弥は、任務報告を済ませると鈍色の空を見上げる。
「……あと少し」
コーヒーを飲み干して自販機のゴミ箱に捨てる。
賑やかな町とは正反対の静かな住宅街。少しだけ遠回りして家に帰りながら、電柱の下、曲がり角、木に寄りかかり、または人と共に怪異がゆらゆらと蠢いている。
確かに出現件数が例年よりも多く、先日の会議ではかなり問題視されていた。
「……。」
足を止めて前を。自宅があるマンションを見上げると、ちょうど雪が降ってきた。
「……雪。」
冬弥は目を細めた。
雪は嫌いだ。俺から全てを奪っていくから。
受験やら就職やらでクラスメイトが揃わなくなる日が多い中、冬弥も篠宮の元へ行ったり任務で学校を休む日が増えた。
「……いくら探っても出ない、ね。」
資料室に入り浸り目的の文献を探ってもそれらしいものは出てこない。時間は有限だと分かっているのに進展はない中で冬弥に有るのは焦りだけ。
今朝もたっぷりと塗りたくった様な黒い隈を見た篠宮に「少しは休め」と言われる始末。
コーヒーを飲み干して背もたれにもたれ掛かりため息。目がチカチカしている。
「……何してるんだろうな、俺は。」
何年も何年も様々な方法を試して来た。それでも全く効果はないし、自体は良くもならない。
次第に弱気になる気分を無理矢理奮い立たせる。
「おや、珍しい。」
丁度資料を捲った時に声がかかり顔をあげると、そこに居たのは書生姿の……九条。観測課を統括する男。
「御影家の若君が、こんな資料室に籠って何を調べておいでで?」
わざとらしく笑う姿。冬弥は資料を閉じるとそのまま荷物を片付けて立ち上がる。
「……別に。気になる怪異がいたからそれについて調べていただけだ。」
冷たく返しても気にしないように、九条は「へぇ」と笑うが、一瞬にして表情を変えた。
「そういえば、ご存知ですか?」
「……何を。」
資料室側を見る九条、出入口側を見る冬弥。
見上げ、見下ろす2人の視線は冷たい。
「最近、やたらと怪異が集まる場所が有ってね。おかしいですよね、まるで何かに吸い寄せられているみたいな感じで。」
「それは変だな?シーズン的な問題では無いのか?または…」
「貴方の周りなんです。特に、月待遥陽にね。」
九条の感情のこもらない視線。メガネのレンズ越しに見えるそれに、冬弥は冷めた目をする。
「俺や遥陽が何かしているとでも?」
「いいえ。ただ気になっただけです。学生という事もあり、そう言う時期だから、と言うのも有るでしょうが。其方でも気になる事があったら教えてください。」
「……ああ。」
九条がこの場を立ち去ろうとしたとき、顔だけをこちらに向ける。
「常盤様を裏切る真似だけは許しませんよ。」
秋から冬に切り替わる季節。
一気に冷え込んできたとニュースキャスターが告げていたから、ロングコートを持って来たのは正解だった。
少しずつクリスマスに向けたイルミネーションやツリーの他にもサンタクロースの飾りが街を華やかにさせる中、缶コーヒーを片手に静かな公園のベンチに座っていた冬弥は、任務報告を済ませると鈍色の空を見上げる。
「……あと少し」
コーヒーを飲み干して自販機のゴミ箱に捨てる。
賑やかな町とは正反対の静かな住宅街。少しだけ遠回りして家に帰りながら、電柱の下、曲がり角、木に寄りかかり、または人と共に怪異がゆらゆらと蠢いている。
確かに出現件数が例年よりも多く、先日の会議ではかなり問題視されていた。
「……。」
足を止めて前を。自宅があるマンションを見上げると、ちょうど雪が降ってきた。
「……雪。」
冬弥は目を細めた。
雪は嫌いだ。俺から全てを奪っていくから。
