3話 題:刺客
今日も今日とて、凛人と過ごす日常を送っていた。しかし最近、ある人物が介入してくるようになった。
「おい修」
「……ん?あぁ」
「なぁ〜〜頼むよ。俺に勉強教えてくれるっていっただろー?」
「はぁ…」
そう、この男。新島斗真(にいじまとうま)。凛人と同時期に転校してきた、隣のクラスのやつ。コイツはまだここでの俺の扱いに気づいていない。まぁ、いわば結構なアホらしい。テストで今のところ全部赤点を取っているようだ。そこで、俺の噂を嗅ぎつけたのか、最近こうしてコイツに勉強を教えている。
ぶっちゃけ、こんなやつの相手したくはないのだが、行く先行く先にコイツが現れて勉強を教えてくれと土下座をかましてくる。結果、俺が折れてこうなっているわけだ。
「なあ!ここの計算。どうやればいいんだ?」
「それはさっき教えた数式を当てはめるだけだ」
「………なんの数式だっけ」
…これはかなりの重傷だ。だかそんなこの男でも得意なことは一つあるようだ。
それはサッカーだ。サッカーだったら俺よりも上手い。サッカーにステータス全振りしたやつだ。この高校はサッカーとバスケが強い。コイツは天性のサッカーの才能で推薦入学を果たしたようだ。
「修」そう話しかけてきたのは凛人だった。
「どうした?」
「ちょっと、話したいかな」
「ああ、いいぞ」
「ちょ、おいー?」
「俺、忘れんでよー」
「…戻ってくる間にこことここの問題を解いておけ」
「えぇ……。早く済ませろよ?」
「善処する」
「おぉ!かっけぇ」
俺は凛人と共に教室を出て、気ままに話しながら練り歩く。
「話ってなんだ?」
「…あの人といつ仲良くなったの?」
「ああ、まぁ断りいれるのも面倒臭いし。アイツが結構しつこいのもある」
「……あんまり、仲良くならないで…」小声でなにか言う。
「ごめん、なんて言った」
「………何でもない」
「そっか…」
「また今度、二人で出かけようか」
「うん」
これでデート(多分)を取り付ける事ができた。次はどこへ行こうかと提案する。
「前言っていた、ファミレスに行こうか?」
「いや、ファミレスは…いいかな」
「そうか……というか、ちゃんとご飯食べてるのか?」
「少し痩せて見える」
それでも美しいのにかわりはないが。
「…大丈夫。少食なだけだから」
「なら、映画でも見に行こうか」
「うん、それがいいな」
「ちょうど観たいのが公開されたから」
「おっ、じゃあそれを見に行こう」
映画と提案したが、見たいものがなかったので、助かる。
「いいな〜俺も混ぜてよ」
突然後ろから肩に強く触れて、話しかけられる。
新島斗真だった。相変わらず神出鬼没で驚かされる。
「お前、勉強はどうした」
「わかんなさすぎて、修を探しに来たんだよ〜」
「そしたら映画の話してたってわけ」
来週も小テストがあるのに、随分お気楽な思考をしている。ここは勉強をしろと一蹴して、二人きりのラブラブデートタイムを確保しなければならない。
「テストで赤点取らなかったら、連れて行ってもいいぞ」
「マジか!じゃあ尚更、勉強教えてくれよ!」
「昼休み終わっちまうから!」
「そうだな」
凛人の様子をチラリと見ると、先程とは無表情で冷徹な美しさに変化している。
「……点Pが動いてる」
「うわ俺それ嫌い」
***
そして休日になり、俺と凛人は映画を見に行く。勿論、新島斗真は連れてきていないが。
凛人が見たがっているのは長く続いているスプラッター映画の最新作らしい。
俺自身グロテスクなのはあまり好みではないが、凛人が見たがっているのでオールオッケーだ。
「まだ、時間あるし近くの公園でも散歩しない?」
「そうだな、チケットなくしちゃ駄目だぞ」
「子供じゃない」ムスッとしている顔。可愛い。
映画館の近くにあるこのタケノコ公園はタケノコ型の遊具がいくつも並んでいる個性的な公園だ。タケノコが沢山並んでいるこの公園はよく、待ち合わせ場所とかに使われがちだ。
「……………」
タケノコの遊具を観察しつつ、横目で凛人を見ると、地面の何かを見ていた。
「なにを…」
そこにいたのは、スズメの死体だった。ぐてっと横たわっている。それを見つめる横顔がまた美しい。死んだスズメの仄かに香る死臭と凛人の消臭剤の匂いが刺激し合う。
「…可哀想だな…」
「………」
「弔いたいのか?」
「……ううん。可哀想だなって見てただけ」
「そうか」
やっぱり、死んだ生物を憐れんでいる姿はもはや神にすら見えてきた。
「あのタケノコのブランコ、乗りたい」
「え?ああ…分かった」
…いや天使のほうがいいか。
***
映画がスタートする。俺はキャラメルポップコーンをこよなく愛している。コレがうまい。ドリンクはトイレにいきたくなるので買わない派だ。
一方、凛人は何も頼んでいない。曰く集中したいからとのこと、ポップコーンの咀嚼音を極力出さないように尽力することを心のなかで誓った。
……しかし、この映画。序盤から中々グロい。加害者自身の腕をもいでそれを加害者の口の中に詰め込んでる。さらに、顔の皮膚をビリビリに剥いだり、全身の骨を粉々にしているシーンもあった。そんな場面を凛人は場違いの美しさで少しうっとりしている顔に見えた。この光景は少し狂気を感じる。
…いや、意外な趣味をしれたんだ。嬉しいことだ。
そして2時間46分の上映は終わり、俺は好きなキャラメルポップコーンをほとんど口につけていなかった。
「…中々グロテスクな作品だね」人気が少ない所で話し始める。
「こういうのは苦手?」
「ははっ心配ないよ」
「ちょっと顔やつれてるけど」
「……座りっぱで疲れただけだよ」
「今日は帰ろっか」
「あぁ」
また今日も凛人の謎が深まった。家に帰って、凛人から連絡が来た。「無事に家ついたよ」と。可愛いことをしてくるもんだ。
今日も今日とて、凛人と過ごす日常を送っていた。しかし最近、ある人物が介入してくるようになった。
「おい修」
「……ん?あぁ」
「なぁ〜〜頼むよ。俺に勉強教えてくれるっていっただろー?」
「はぁ…」
そう、この男。新島斗真(にいじまとうま)。凛人と同時期に転校してきた、隣のクラスのやつ。コイツはまだここでの俺の扱いに気づいていない。まぁ、いわば結構なアホらしい。テストで今のところ全部赤点を取っているようだ。そこで、俺の噂を嗅ぎつけたのか、最近こうしてコイツに勉強を教えている。
ぶっちゃけ、こんなやつの相手したくはないのだが、行く先行く先にコイツが現れて勉強を教えてくれと土下座をかましてくる。結果、俺が折れてこうなっているわけだ。
「なあ!ここの計算。どうやればいいんだ?」
「それはさっき教えた数式を当てはめるだけだ」
「………なんの数式だっけ」
…これはかなりの重傷だ。だかそんなこの男でも得意なことは一つあるようだ。
それはサッカーだ。サッカーだったら俺よりも上手い。サッカーにステータス全振りしたやつだ。この高校はサッカーとバスケが強い。コイツは天性のサッカーの才能で推薦入学を果たしたようだ。
「修」そう話しかけてきたのは凛人だった。
「どうした?」
「ちょっと、話したいかな」
「ああ、いいぞ」
「ちょ、おいー?」
「俺、忘れんでよー」
「…戻ってくる間にこことここの問題を解いておけ」
「えぇ……。早く済ませろよ?」
「善処する」
「おぉ!かっけぇ」
俺は凛人と共に教室を出て、気ままに話しながら練り歩く。
「話ってなんだ?」
「…あの人といつ仲良くなったの?」
「ああ、まぁ断りいれるのも面倒臭いし。アイツが結構しつこいのもある」
「……あんまり、仲良くならないで…」小声でなにか言う。
「ごめん、なんて言った」
「………何でもない」
「そっか…」
「また今度、二人で出かけようか」
「うん」
これでデート(多分)を取り付ける事ができた。次はどこへ行こうかと提案する。
「前言っていた、ファミレスに行こうか?」
「いや、ファミレスは…いいかな」
「そうか……というか、ちゃんとご飯食べてるのか?」
「少し痩せて見える」
それでも美しいのにかわりはないが。
「…大丈夫。少食なだけだから」
「なら、映画でも見に行こうか」
「うん、それがいいな」
「ちょうど観たいのが公開されたから」
「おっ、じゃあそれを見に行こう」
映画と提案したが、見たいものがなかったので、助かる。
「いいな〜俺も混ぜてよ」
突然後ろから肩に強く触れて、話しかけられる。
新島斗真だった。相変わらず神出鬼没で驚かされる。
「お前、勉強はどうした」
「わかんなさすぎて、修を探しに来たんだよ〜」
「そしたら映画の話してたってわけ」
来週も小テストがあるのに、随分お気楽な思考をしている。ここは勉強をしろと一蹴して、二人きりのラブラブデートタイムを確保しなければならない。
「テストで赤点取らなかったら、連れて行ってもいいぞ」
「マジか!じゃあ尚更、勉強教えてくれよ!」
「昼休み終わっちまうから!」
「そうだな」
凛人の様子をチラリと見ると、先程とは無表情で冷徹な美しさに変化している。
「……点Pが動いてる」
「うわ俺それ嫌い」
***
そして休日になり、俺と凛人は映画を見に行く。勿論、新島斗真は連れてきていないが。
凛人が見たがっているのは長く続いているスプラッター映画の最新作らしい。
俺自身グロテスクなのはあまり好みではないが、凛人が見たがっているのでオールオッケーだ。
「まだ、時間あるし近くの公園でも散歩しない?」
「そうだな、チケットなくしちゃ駄目だぞ」
「子供じゃない」ムスッとしている顔。可愛い。
映画館の近くにあるこのタケノコ公園はタケノコ型の遊具がいくつも並んでいる個性的な公園だ。タケノコが沢山並んでいるこの公園はよく、待ち合わせ場所とかに使われがちだ。
「……………」
タケノコの遊具を観察しつつ、横目で凛人を見ると、地面の何かを見ていた。
「なにを…」
そこにいたのは、スズメの死体だった。ぐてっと横たわっている。それを見つめる横顔がまた美しい。死んだスズメの仄かに香る死臭と凛人の消臭剤の匂いが刺激し合う。
「…可哀想だな…」
「………」
「弔いたいのか?」
「……ううん。可哀想だなって見てただけ」
「そうか」
やっぱり、死んだ生物を憐れんでいる姿はもはや神にすら見えてきた。
「あのタケノコのブランコ、乗りたい」
「え?ああ…分かった」
…いや天使のほうがいいか。
***
映画がスタートする。俺はキャラメルポップコーンをこよなく愛している。コレがうまい。ドリンクはトイレにいきたくなるので買わない派だ。
一方、凛人は何も頼んでいない。曰く集中したいからとのこと、ポップコーンの咀嚼音を極力出さないように尽力することを心のなかで誓った。
……しかし、この映画。序盤から中々グロい。加害者自身の腕をもいでそれを加害者の口の中に詰め込んでる。さらに、顔の皮膚をビリビリに剥いだり、全身の骨を粉々にしているシーンもあった。そんな場面を凛人は場違いの美しさで少しうっとりしている顔に見えた。この光景は少し狂気を感じる。
…いや、意外な趣味をしれたんだ。嬉しいことだ。
そして2時間46分の上映は終わり、俺は好きなキャラメルポップコーンをほとんど口につけていなかった。
「…中々グロテスクな作品だね」人気が少ない所で話し始める。
「こういうのは苦手?」
「ははっ心配ないよ」
「ちょっと顔やつれてるけど」
「……座りっぱで疲れただけだよ」
「今日は帰ろっか」
「あぁ」
また今日も凛人の謎が深まった。家に帰って、凛人から連絡が来た。「無事に家ついたよ」と。可愛いことをしてくるもんだ。
