私は、音信不通の彼氏と、きっぱり別れてきた。彼氏は既に、自然消滅して、フラれたと思っていたらしい。私も同じであったが、きちんと別れを告げてきて、喉の詰まりがとれたかのように、スッキリした。
真ちゃんとの距離は、一層縮まり、ジュースを二人で買いに行き、帰りにデパートで文房具を買いに行き、通話時間はさらに、長くなっていった。私は毎日が楽しくて、ベッドに入っても、早く明日が来ないかな? 明日はどんな話をするのだろう。
お姉ちゃんは、そんな私を見て、どこか楽しそうに微笑んでいた。私に対する嫌がらせは、酷くはならないが、続いている事は変わらなかった。学校一の人気者だから、そこは、絶えないとね……。
学校に行くと、教室が騒がしかった、よね、ちゃこが、呼んでいる。真ちゃんも誘っていた。
「どこ行くの? よね?」
「私らが、無関係なところ……」
意味が解らなかったが、真ちゃんが一緒なので、構わなかった。四人で廊下に出て歩いていると、段々と沢山の生徒が集まっているのが、目についた、目的の場所なのかしら……。
ちゃこが、すいません、と中に割って入り、戻って来た。
「もう、髪ぐしゃぐしゃ、どうして来ないの?」
「見るまでもない」
え? どういうこと、何があるというの? 真ちゃんが、見るまでもない……。私とよねも、すいませんと、声をかけながら、中に入って行くと、張り紙に、一位。
「え!」
小さくなって、戻って来て、よねが
「凄いね、一位じゃん。真ちゃん」
「テスト勉強はしていない、と、言っていたよね?」
「するまでも、無い。戻るか、いつもの事だ」
先頭を歩く、真ちゃんに、私達三人は、尊敬のまなざしを送っていた。真ちゃんは振り返り、
「嘉織里、赤点は回避できたか?」
「教室に戻ってから、配られるみたい、よね、も、嘉織里も、見せてよね」
教室に入り、テストが返されていく。 よねと、ちゃこは、私の点数を見て……。
「凄い五〇点、嘉織里、頭良いのだね!」
「私たちは、ギリギリ赤点セーフ」
隣で聞いている、真ちゃんは、頭を抱えているようであった。
「嘉織里、よく頑張った、教えた通りにやれば、出来る、もっと伸ばせる」
「え! どういうこと、真ちゃん、嘉織里だけに、テスト勉強を教えたの、ズルイ! 今度は私も教えてよ」
「普通に授業聞いて、家でまとめていれば、出来るだろう」
「うわー、冷たい、一言。なに、この差別」
私達は、大笑いしていたが、
「あとで、嘉織里君、じっくりと、お話を聞こうではないか?」
ちゃこが、私に顔を前に出して、目をそらすと、顔を移動してきた。負けた。
授業が終わり、チャイムがなった、テストも終わって、羽を伸ばせる。
「一緒に帰ろう、ぶらぶらと散歩」
真ちゃんと放課後、散歩する事にした。暗くなり、駅のロータリーからデパートが直結している、影のスポット。いよいよ、待ちに待った、告白、私は期待した。二文字の言葉を……。絶対に言ってくれる、胸が高鳴った。私の目を見て、来る、いよいよだ。
「俺たち、付き合おうか――冗談だよ」
冗談ではない、なんで言ってくれないの、想いを言葉にした、二文字を……私から言う、怖い、フラれたらどうしよう、でも、このままでは……。
「俺たち、近すぎて、嘉織里に、迷惑かけているみたいだから、距離を置くよ、それじゃ」
真ちゃんの顔は、真剣であった、私から目をそらさなかった、言った後に、すぐに振り返り、手を振って、後ろ姿がだんだんと小さくなっていた。
待って、待ってよ、声が出ない、違うの、足が、動かない、追いかけられない、そうじゃないの、私は、私は……と声にならない。視界に、暗い空間が出来、私は、大泣きした。
残酷な言葉、期待とはまったく逆、下を向きながら、泣きながら自宅に向かった……。
どうして、違う? とか、私から、想いを口に出来なかった、迷惑な事等、何もないのに……。降り始めの雨のように、私の涙で、アスファルトは濡れて行った。家に着くと、泣きながら、玄関をあけて、部屋に飛び込んだ。
ベッドの上で大泣きした。
「嫌だ。嫌だ、嫌だー」
大声を出して泣いた、涙が止まらない、叫びのように泣いたのは、産まれて初めてだった……。お姉ちゃんが、びっくりしたのだろうか、物音を立て、ノックもせずに、部屋に入ってきた。
「どうしたの? 大声で泣いて」
私を見ると、お姉ちゃんは隣に座って、髪をなでてくれた。
「そうか、告白していないのに、フラれちゃったのか、でも、嫌いとも、別れるとも言われた、わけじゃないのでしょ?」
「嘉織里は、一途なのだね、デパートで見かけた人だよね。わざわざ私を、つれてきて。お弁当を作った、彼」
「腑に落ちないな、あの人、確かに、かっこいいし、大人という感じがして、手もふってくれて」
「あの時、私の影に隠れたりしたね」
泣き声で、声にはなっていなかった……。
「もう、バレバレだって」
「もう少し、お姉ちゃんに話をきかせてもらえる?」
「――なるほど、嫌がらせを、受けていたのね、学校でナンバーワンのイケメンだからか、嫌がらせは、許せないな。彼も、お姉ちゃんも同じ気持ち」
お姉ちゃんは、ずっと隣で話しかけてくれていた。
「彼、嫌がらせから、嘉織里を、遠ざけるために、あえて距離を取ったのでは?」
その言葉が、わかりすぎていて、我慢していた自分の胸に刺さって、お姉ちゃんの前で、もう一度声を出して、泣いた。恋する残酷さは、両手に零れ続ける、涙の量、私、こんなに泣けるのだ。止まらない涙……。
「嫌がらせなんて気にしないのに、私は、真ちゃんと一緒に居たいよ」
私は、上を向いて、叫んだ! 声は、真っ暗な夜空に、消えかかっているお月様に、届くような、悲鳴であった。
お姉ちゃんは、私の手を握りしめて……。
「二つね、どちらを選択するかは、嘉織里しだい」
「一つ目は、謝って、想いを告げて、付き合い。宣言」
「二つ目は、少しの間、我慢する。嫌がらせがなくなってから、もう一度。想いを伝える」
「お姉ちゃんなら、迷わず、一だけどね」
「でも、フラれちゃったら? 怖いよ。嫌だよ」
「このまま、二で、そのまま、想いを伝えられないまま、三にいくよ」
「三とは?」
「三つ目は、別れ」
「嫌だ、嫌だ、嫌だよー」
子供のように、泣きじゃくった。涙が止まらないことで、私がどれほど、真ちゃんを想っていたのか……。こんなに、恋することは、つらい事なの……。
「だったら答え出てるじゃない」
答え? 少しずつ、泣き止んで、震えというのが、少しだけ、収まり、落ち着きを取り戻しはじめてきた。
無言のまま、涙はこぼれていくのだけれど、お姉ちゃんは、さらに強く私の手を握りしめて、私は部屋中の空気を吸い込むように、深呼吸をした。
「明日、もう一度話してくる、ありがとう、お姉ちゃん」
それでも、その日のショックは大きく、枕を濡らしながら、朝を迎えた。
翌日、全ての想いは、真ちゃんに、伝えられなかった……。ただ、
「今の関係は、続けたいと、お願い」
泣きそうになりながら、涙を我慢して、言った。やっぱり、フラれるのが怖かった。この言葉を出すだけでも、足が震えていた。
「わかった」
その一言で、少し落ち着きを取り戻した。
時間がたつにつれ、距離は徐々に、離れて行くようで、電話の回数も減っていった。家に帰って、電話がならないと、子機を睨みつけ、私から掛けると、電話に出てくれて、楽しくお話をしてくれる。
学校での距離は、さらに遠くなっていた。気が付くと、私に対する嫌がらせは、無くなっていた。
――そして、一年生が、終わった。
真ちゃんとの距離は、一層縮まり、ジュースを二人で買いに行き、帰りにデパートで文房具を買いに行き、通話時間はさらに、長くなっていった。私は毎日が楽しくて、ベッドに入っても、早く明日が来ないかな? 明日はどんな話をするのだろう。
お姉ちゃんは、そんな私を見て、どこか楽しそうに微笑んでいた。私に対する嫌がらせは、酷くはならないが、続いている事は変わらなかった。学校一の人気者だから、そこは、絶えないとね……。
学校に行くと、教室が騒がしかった、よね、ちゃこが、呼んでいる。真ちゃんも誘っていた。
「どこ行くの? よね?」
「私らが、無関係なところ……」
意味が解らなかったが、真ちゃんが一緒なので、構わなかった。四人で廊下に出て歩いていると、段々と沢山の生徒が集まっているのが、目についた、目的の場所なのかしら……。
ちゃこが、すいません、と中に割って入り、戻って来た。
「もう、髪ぐしゃぐしゃ、どうして来ないの?」
「見るまでもない」
え? どういうこと、何があるというの? 真ちゃんが、見るまでもない……。私とよねも、すいませんと、声をかけながら、中に入って行くと、張り紙に、一位。
「え!」
小さくなって、戻って来て、よねが
「凄いね、一位じゃん。真ちゃん」
「テスト勉強はしていない、と、言っていたよね?」
「するまでも、無い。戻るか、いつもの事だ」
先頭を歩く、真ちゃんに、私達三人は、尊敬のまなざしを送っていた。真ちゃんは振り返り、
「嘉織里、赤点は回避できたか?」
「教室に戻ってから、配られるみたい、よね、も、嘉織里も、見せてよね」
教室に入り、テストが返されていく。 よねと、ちゃこは、私の点数を見て……。
「凄い五〇点、嘉織里、頭良いのだね!」
「私たちは、ギリギリ赤点セーフ」
隣で聞いている、真ちゃんは、頭を抱えているようであった。
「嘉織里、よく頑張った、教えた通りにやれば、出来る、もっと伸ばせる」
「え! どういうこと、真ちゃん、嘉織里だけに、テスト勉強を教えたの、ズルイ! 今度は私も教えてよ」
「普通に授業聞いて、家でまとめていれば、出来るだろう」
「うわー、冷たい、一言。なに、この差別」
私達は、大笑いしていたが、
「あとで、嘉織里君、じっくりと、お話を聞こうではないか?」
ちゃこが、私に顔を前に出して、目をそらすと、顔を移動してきた。負けた。
授業が終わり、チャイムがなった、テストも終わって、羽を伸ばせる。
「一緒に帰ろう、ぶらぶらと散歩」
真ちゃんと放課後、散歩する事にした。暗くなり、駅のロータリーからデパートが直結している、影のスポット。いよいよ、待ちに待った、告白、私は期待した。二文字の言葉を……。絶対に言ってくれる、胸が高鳴った。私の目を見て、来る、いよいよだ。
「俺たち、付き合おうか――冗談だよ」
冗談ではない、なんで言ってくれないの、想いを言葉にした、二文字を……私から言う、怖い、フラれたらどうしよう、でも、このままでは……。
「俺たち、近すぎて、嘉織里に、迷惑かけているみたいだから、距離を置くよ、それじゃ」
真ちゃんの顔は、真剣であった、私から目をそらさなかった、言った後に、すぐに振り返り、手を振って、後ろ姿がだんだんと小さくなっていた。
待って、待ってよ、声が出ない、違うの、足が、動かない、追いかけられない、そうじゃないの、私は、私は……と声にならない。視界に、暗い空間が出来、私は、大泣きした。
残酷な言葉、期待とはまったく逆、下を向きながら、泣きながら自宅に向かった……。
どうして、違う? とか、私から、想いを口に出来なかった、迷惑な事等、何もないのに……。降り始めの雨のように、私の涙で、アスファルトは濡れて行った。家に着くと、泣きながら、玄関をあけて、部屋に飛び込んだ。
ベッドの上で大泣きした。
「嫌だ。嫌だ、嫌だー」
大声を出して泣いた、涙が止まらない、叫びのように泣いたのは、産まれて初めてだった……。お姉ちゃんが、びっくりしたのだろうか、物音を立て、ノックもせずに、部屋に入ってきた。
「どうしたの? 大声で泣いて」
私を見ると、お姉ちゃんは隣に座って、髪をなでてくれた。
「そうか、告白していないのに、フラれちゃったのか、でも、嫌いとも、別れるとも言われた、わけじゃないのでしょ?」
「嘉織里は、一途なのだね、デパートで見かけた人だよね。わざわざ私を、つれてきて。お弁当を作った、彼」
「腑に落ちないな、あの人、確かに、かっこいいし、大人という感じがして、手もふってくれて」
「あの時、私の影に隠れたりしたね」
泣き声で、声にはなっていなかった……。
「もう、バレバレだって」
「もう少し、お姉ちゃんに話をきかせてもらえる?」
「――なるほど、嫌がらせを、受けていたのね、学校でナンバーワンのイケメンだからか、嫌がらせは、許せないな。彼も、お姉ちゃんも同じ気持ち」
お姉ちゃんは、ずっと隣で話しかけてくれていた。
「彼、嫌がらせから、嘉織里を、遠ざけるために、あえて距離を取ったのでは?」
その言葉が、わかりすぎていて、我慢していた自分の胸に刺さって、お姉ちゃんの前で、もう一度声を出して、泣いた。恋する残酷さは、両手に零れ続ける、涙の量、私、こんなに泣けるのだ。止まらない涙……。
「嫌がらせなんて気にしないのに、私は、真ちゃんと一緒に居たいよ」
私は、上を向いて、叫んだ! 声は、真っ暗な夜空に、消えかかっているお月様に、届くような、悲鳴であった。
お姉ちゃんは、私の手を握りしめて……。
「二つね、どちらを選択するかは、嘉織里しだい」
「一つ目は、謝って、想いを告げて、付き合い。宣言」
「二つ目は、少しの間、我慢する。嫌がらせがなくなってから、もう一度。想いを伝える」
「お姉ちゃんなら、迷わず、一だけどね」
「でも、フラれちゃったら? 怖いよ。嫌だよ」
「このまま、二で、そのまま、想いを伝えられないまま、三にいくよ」
「三とは?」
「三つ目は、別れ」
「嫌だ、嫌だ、嫌だよー」
子供のように、泣きじゃくった。涙が止まらないことで、私がどれほど、真ちゃんを想っていたのか……。こんなに、恋することは、つらい事なの……。
「だったら答え出てるじゃない」
答え? 少しずつ、泣き止んで、震えというのが、少しだけ、収まり、落ち着きを取り戻しはじめてきた。
無言のまま、涙はこぼれていくのだけれど、お姉ちゃんは、さらに強く私の手を握りしめて、私は部屋中の空気を吸い込むように、深呼吸をした。
「明日、もう一度話してくる、ありがとう、お姉ちゃん」
それでも、その日のショックは大きく、枕を濡らしながら、朝を迎えた。
翌日、全ての想いは、真ちゃんに、伝えられなかった……。ただ、
「今の関係は、続けたいと、お願い」
泣きそうになりながら、涙を我慢して、言った。やっぱり、フラれるのが怖かった。この言葉を出すだけでも、足が震えていた。
「わかった」
その一言で、少し落ち着きを取り戻した。
時間がたつにつれ、距離は徐々に、離れて行くようで、電話の回数も減っていった。家に帰って、電話がならないと、子機を睨みつけ、私から掛けると、電話に出てくれて、楽しくお話をしてくれる。
学校での距離は、さらに遠くなっていた。気が付くと、私に対する嫌がらせは、無くなっていた。
――そして、一年生が、終わった。
