山下君は、先生に連れていかれた。あの人何者なの? カッコイイ 俳優さんなのかな? 女子生徒の声が、あちらこちらで渋滞していた。
数人ずつ教室を後に帰宅となった。よね、ちゃこ、私の三人は山下君の帰りを待っていたが、時間も遅くなった事もあり、帰宅することになった。
昇降口を出て、下駄箱を振り返るが、山下君の姿は無かった。帰り道、風が冷たく感じながら、路肩には、散った桜の花びらが……。確かに皆が言うように、カッコイイけれど、何者なのだろう。
「ただいま」
靴を脱いで、きちんと揃えてから、部屋に向かった。ん? 私、ブレザー持って帰ってきちゃった。山下君のブレザー、ん? この甘いバニラみたいな、なんだろう、くんくん、好きだな。良い香り。お姉ちゃんも帰ってきたので、聞いてみることにした。
「お姉ちゃん、この香水している?」
「知らない、アイスでもこぼしたの?」
部屋に戻って、着替えをし、ベッドに腰を下ろした。アイス? そうなのかな、汚れては居ないのだけれど。立ち上がり、山下君のブレザーを両手でもつと、ボトンと、何かが落ちた。生徒手帳だ。良いよね、開いちゃおう、机の引き出しを開けて、紙に住所を書き写した。
翌日、学校に行くと、ざわついている。何かあったのかな、顔を右、左に向けるが、山下君が居ない。話声が耳に入ってきた、謹慎処分 入学早々 謹慎?……そんな、だって先生を救ってくれたのに。
授業が終わり、ブレザーどうしよう、椅子において帰ろうかな。無くなったら困るよね。持って帰るか。紙袋を持って帰る事にした。桜の木は、少し葉っぱが目立つようになっていた。
私には、中学三年卒業前に、告白された彼氏がいる。同じ部活の男の子。卒業後、一度会っただけで、連絡を取り合っていない。自然消滅というやつだ。ベッドに横になるが、なかなか眠れなかった。一旦、お水を飲みに行き、再びベッドに、明日は山下君来るのかな――。
教室に入り、席に着くと
「風、強いから寒い、おはよう。俺の事忘れていないか?」
両肩を縮こませて、両腕をさすっていた。山下君に教室一同、大笑い。
私の隣の席が山下君。くんくん、やっぱり甘いバニラの香りがする。紙袋を取り出して、
「これ、ブレザー置いていちゃったでしょう」
「嘉織里、ありがとう。助かったよ、寒くて、お礼にジュース買ってあげる、いこう」
え? 私? え? 二人で廊下を歩いて、自動販売機に。ホットコーヒーが買いたかったみたいだ。すぐにボタンを押していた。
「嘉織里、何にする?」
「えーと、聞いてい? なんで甘い香りがするの?」
「缶コーヒーブラックだけど?」
「ちがう、コーヒーの香りは、聞いてない、山下君から甘い香りが」
「あ、ロリータ レンピカの事?」
「何処で、売っているの? お姉ちゃんに聞いても、アイスでもこぼしたのでは?」
「おいおい、まてまて、お姉ちゃん凄い発想だな、襟元の香りなら、どんな体制でアイス食べるんだ? ブリッジでもしながらか?」
その発想は、私はもっていなくて、大笑いしてしまった。
「日本では売っていない、パリで売っている」
どういうこと? モデルと関係があるのかな、海外とか行くんだ。二人で、教室に戻って席に着いた。
休み時間、何かあることに、山下君の周りは人だかり、先輩達だろうか、女子も見に来て、カッコイイ、モデル等黄色い声が聞こえてきた。
今日は午前中で授業も終わり、下校。先に立たれると、前が見えない、背が高い。私を見て
「腹減ったな、飯食べに行くか?」
「行くー。嘉織里も」
ちゃこに、引っ張られて、駅ビルのとんかつ屋に入った。
「キャベツ、お代わりしすぎじゃない?」
よねが、指折り数えていると
「知っているか? とんかつ屋殺すには、刃物はいらねー、キャベツが高くなれば良い」
「なにそれ?」
「つまり、セット。とんかつに、キャベツはセット。とんかつ、だけが、お皿にあるのを、想像してみて」
私は、白いお皿に、とんかつが、ドーンと一枚乗っているのを頭に思い描き、
「あ、そっけないし、油」
「そう、まさにそれ、シャキシャキ感のキャベツが寄り添うことで、一つ。とんかつだよ」
少し、山下君は視線をあげて、遠くを見る感じで、間があった。
「これ、歌、かけるな。お、良いね?」
私は、何のことだろうと思った。
「とんかつの詩?」
「違う、二つで一つ。寄り添う。歌詞、どこの誰が、とんかつの詩をライブするの?」
皆で大笑い。
「油を、切った、その熱の、揺れる湯気に、隣は、私の指定席。離れなれない、常に一緒の刻まれた、黄緑色の山」
「そんな歌、あるかい?」
お腹を抱えて、大笑いした。よねが、
「歌詞はそういう風に書いているの?」
「当たり前と思っていることを、正面から捉えない感じ」
「とんかつの詩から、キャベツ、とんかつ、二つで一つのセット、だと……ペアリングになるかな?」
「相思相愛、想い。周りから見ても、あの二人は、と思うでしょう」
「それ、凄い! ロマンチック」
「とんかつじゃ、ないからな」
会計は山下君がしてくれた。とんかつの詩が、頭から離れず、みんなで、大笑いした。
数人ずつ教室を後に帰宅となった。よね、ちゃこ、私の三人は山下君の帰りを待っていたが、時間も遅くなった事もあり、帰宅することになった。
昇降口を出て、下駄箱を振り返るが、山下君の姿は無かった。帰り道、風が冷たく感じながら、路肩には、散った桜の花びらが……。確かに皆が言うように、カッコイイけれど、何者なのだろう。
「ただいま」
靴を脱いで、きちんと揃えてから、部屋に向かった。ん? 私、ブレザー持って帰ってきちゃった。山下君のブレザー、ん? この甘いバニラみたいな、なんだろう、くんくん、好きだな。良い香り。お姉ちゃんも帰ってきたので、聞いてみることにした。
「お姉ちゃん、この香水している?」
「知らない、アイスでもこぼしたの?」
部屋に戻って、着替えをし、ベッドに腰を下ろした。アイス? そうなのかな、汚れては居ないのだけれど。立ち上がり、山下君のブレザーを両手でもつと、ボトンと、何かが落ちた。生徒手帳だ。良いよね、開いちゃおう、机の引き出しを開けて、紙に住所を書き写した。
翌日、学校に行くと、ざわついている。何かあったのかな、顔を右、左に向けるが、山下君が居ない。話声が耳に入ってきた、謹慎処分 入学早々 謹慎?……そんな、だって先生を救ってくれたのに。
授業が終わり、ブレザーどうしよう、椅子において帰ろうかな。無くなったら困るよね。持って帰るか。紙袋を持って帰る事にした。桜の木は、少し葉っぱが目立つようになっていた。
私には、中学三年卒業前に、告白された彼氏がいる。同じ部活の男の子。卒業後、一度会っただけで、連絡を取り合っていない。自然消滅というやつだ。ベッドに横になるが、なかなか眠れなかった。一旦、お水を飲みに行き、再びベッドに、明日は山下君来るのかな――。
教室に入り、席に着くと
「風、強いから寒い、おはよう。俺の事忘れていないか?」
両肩を縮こませて、両腕をさすっていた。山下君に教室一同、大笑い。
私の隣の席が山下君。くんくん、やっぱり甘いバニラの香りがする。紙袋を取り出して、
「これ、ブレザー置いていちゃったでしょう」
「嘉織里、ありがとう。助かったよ、寒くて、お礼にジュース買ってあげる、いこう」
え? 私? え? 二人で廊下を歩いて、自動販売機に。ホットコーヒーが買いたかったみたいだ。すぐにボタンを押していた。
「嘉織里、何にする?」
「えーと、聞いてい? なんで甘い香りがするの?」
「缶コーヒーブラックだけど?」
「ちがう、コーヒーの香りは、聞いてない、山下君から甘い香りが」
「あ、ロリータ レンピカの事?」
「何処で、売っているの? お姉ちゃんに聞いても、アイスでもこぼしたのでは?」
「おいおい、まてまて、お姉ちゃん凄い発想だな、襟元の香りなら、どんな体制でアイス食べるんだ? ブリッジでもしながらか?」
その発想は、私はもっていなくて、大笑いしてしまった。
「日本では売っていない、パリで売っている」
どういうこと? モデルと関係があるのかな、海外とか行くんだ。二人で、教室に戻って席に着いた。
休み時間、何かあることに、山下君の周りは人だかり、先輩達だろうか、女子も見に来て、カッコイイ、モデル等黄色い声が聞こえてきた。
今日は午前中で授業も終わり、下校。先に立たれると、前が見えない、背が高い。私を見て
「腹減ったな、飯食べに行くか?」
「行くー。嘉織里も」
ちゃこに、引っ張られて、駅ビルのとんかつ屋に入った。
「キャベツ、お代わりしすぎじゃない?」
よねが、指折り数えていると
「知っているか? とんかつ屋殺すには、刃物はいらねー、キャベツが高くなれば良い」
「なにそれ?」
「つまり、セット。とんかつに、キャベツはセット。とんかつ、だけが、お皿にあるのを、想像してみて」
私は、白いお皿に、とんかつが、ドーンと一枚乗っているのを頭に思い描き、
「あ、そっけないし、油」
「そう、まさにそれ、シャキシャキ感のキャベツが寄り添うことで、一つ。とんかつだよ」
少し、山下君は視線をあげて、遠くを見る感じで、間があった。
「これ、歌、かけるな。お、良いね?」
私は、何のことだろうと思った。
「とんかつの詩?」
「違う、二つで一つ。寄り添う。歌詞、どこの誰が、とんかつの詩をライブするの?」
皆で大笑い。
「油を、切った、その熱の、揺れる湯気に、隣は、私の指定席。離れなれない、常に一緒の刻まれた、黄緑色の山」
「そんな歌、あるかい?」
お腹を抱えて、大笑いした。よねが、
「歌詞はそういう風に書いているの?」
「当たり前と思っていることを、正面から捉えない感じ」
「とんかつの詩から、キャベツ、とんかつ、二つで一つのセット、だと……ペアリングになるかな?」
「相思相愛、想い。周りから見ても、あの二人は、と思うでしょう」
「それ、凄い! ロマンチック」
「とんかつじゃ、ないからな」
会計は山下君がしてくれた。とんかつの詩が、頭から離れず、みんなで、大笑いした。
