あの夏が君を思い出させる

「さ、もうすぐ二時間経つし、そろそろ家に帰ろうかな」



陽葵は僕の言葉を遮ると、花束を大事そうに抱えながら立ち上がった。



「陽葵」


「今日、本当にありがとうね。すっごく嬉しかった」



陽葵はまるで僕が何を言おうとしているのかわかっているみたいに、わざと言葉を被せてくる。



「陽葵、聞いて」


「…ダメだよ、海斗くん。私、もう十分幸せをもらってる。その言葉は、これからの君を…私がいなくなった後の君を、ずっと苦しめてしまう」



わかっている。陽葵は優しいから、僕を苦しめないようにずっと気づいてて気づかないフリをしてくれていたことを。


だから僕もずっと言わないでいた。


…だけど、もう無理だ。僕が陽葵にこの気持ちを伝えたいから。後悔したくないから。