君が忘れた物語

 【今日はこれを観ました!】

 そうメッセージで動画配信アプリで配信されている映画の画像が送られてきた。

 俊くんは映画を観ることが趣味みたいで、記憶に対して刺激的すぎる映像や物語から避けるために触れてこなかった世界を、たくさん知っていた。

 過剰に気をつけているだけで、そこまで気にすることはないのではないかと思うし、映画というものに興味もあるので、彼の話す内容は楽しいものばかりだった。

 【初心者におすすめの映画とかありますか?】

 私も軽く触れてみようかと、気まぐれにそう返信すると、いつもなら早いはずの返信が少し止んで、十分な間を空けてから返信が来た。

 【それなら、今話題になってて観やすい映画があるんですよ】

 その文章の後に続けて、もう一通。

 【今度の休み、良ければ一緒に観に行きませんか!】

 私から聞いた手前、断る理由も見つからず、その言葉に乗っかる形で出掛けることになったのだった。