メイクをした後、三人で近所のカフェに来ていた。春木さんはメイクをした状態で少し出歩いてみたいと言っていたので、そのまま勉強会をしようという流れになった。
「なんだー、ふたりともお付き合いしているのかと思ってたよ」
そんなことを言って勝手に落胆する夏目さんを尻目に、問題集に意識を向ける。
「転校早々に、秋岡くん、春木さんにアプローチしているみたいだったからさ。もうそういう関係なのかと思ってた」
「え、転校早々からそんなふうに見えてたの?」
意識を向けたいのに、夏目さんの言葉が俺の集中を阻害してくる。ついつい反応してしまう。
「うん。だって、春木さんにだけはいっつも声かけてたでしょ。いくら無視されても」
「いやまあ、そうなんだけど」
「多分、私だけじゃなくて、クラス内全体の共通認識だよ? 秋岡くんのこと素敵って言う女子もいたけど、秋岡くんの春木さんに対する態度を見て遠慮していたくらい」
「え、そうなの?」
驚く俺は、ふと春木さんの方に視線を移す。
「…………」
形容のし難い表情をしていた。でも言いたいことはわかる。俺のせいで注目されていたことに対して文句を言いたいものの、そこまでの悪態はつけない、みたいな感じなんだろう。
「なんか、ごめんな」
「いいよ。注目されてた時は困ったけど、みんなも途中からいつもの光景って感じで気にしなくなったし、こうして仲良くできてるのは嬉しいから」
いつもの光景だと思われるようになっていたらしい。まあ、こんなアクティブな転校生、そういるものじゃないよなと自分でも思うから仕方がない。
そんな雑談に花を咲かせつつも、勉強会もしっかりと意義のあるものになっていた。
というのも、前評判通り、春木さんはとんでもなく頭が良かった。聞くことすべてに満点の回答をしてくれて、まるで教科書が丸々頭の中に入っているみたいだった。
けれど「春木さんって、本当に頭がいいんだな」という俺の言葉には、少し苦い顔をしていた。努力に裏付けされた結果だと思ったからそう言ったのに、ちっとも嬉しそうではない。
そうこうしているうちにカフェの閉店とともに勉強会を終えた。
今日は誘おうと心に決め、口を開く。
「こんな時間だし、家まで送らせてほしい」
俺の言葉に少し驚いた表情で振り返った春木さん。そんな俺たちを見ながらニヤニヤする夏目さんは「私も女の子なんだけどなぁ」とわざとらしく不貞腐れて見せた。
「勘弁してくれ」
「ふふふっ、いいよ。私は家近いし大丈夫。ふたりのお邪魔はしませんとも!」
なんて楽しそうにしながら「またね。今日はありがとう」と、そそくさと行ってしまった。
あらためてふたりきり。
「それで、送ってもいいですか?」
「……お願いします」
「なんだー、ふたりともお付き合いしているのかと思ってたよ」
そんなことを言って勝手に落胆する夏目さんを尻目に、問題集に意識を向ける。
「転校早々に、秋岡くん、春木さんにアプローチしているみたいだったからさ。もうそういう関係なのかと思ってた」
「え、転校早々からそんなふうに見えてたの?」
意識を向けたいのに、夏目さんの言葉が俺の集中を阻害してくる。ついつい反応してしまう。
「うん。だって、春木さんにだけはいっつも声かけてたでしょ。いくら無視されても」
「いやまあ、そうなんだけど」
「多分、私だけじゃなくて、クラス内全体の共通認識だよ? 秋岡くんのこと素敵って言う女子もいたけど、秋岡くんの春木さんに対する態度を見て遠慮していたくらい」
「え、そうなの?」
驚く俺は、ふと春木さんの方に視線を移す。
「…………」
形容のし難い表情をしていた。でも言いたいことはわかる。俺のせいで注目されていたことに対して文句を言いたいものの、そこまでの悪態はつけない、みたいな感じなんだろう。
「なんか、ごめんな」
「いいよ。注目されてた時は困ったけど、みんなも途中からいつもの光景って感じで気にしなくなったし、こうして仲良くできてるのは嬉しいから」
いつもの光景だと思われるようになっていたらしい。まあ、こんなアクティブな転校生、そういるものじゃないよなと自分でも思うから仕方がない。
そんな雑談に花を咲かせつつも、勉強会もしっかりと意義のあるものになっていた。
というのも、前評判通り、春木さんはとんでもなく頭が良かった。聞くことすべてに満点の回答をしてくれて、まるで教科書が丸々頭の中に入っているみたいだった。
けれど「春木さんって、本当に頭がいいんだな」という俺の言葉には、少し苦い顔をしていた。努力に裏付けされた結果だと思ったからそう言ったのに、ちっとも嬉しそうではない。
そうこうしているうちにカフェの閉店とともに勉強会を終えた。
今日は誘おうと心に決め、口を開く。
「こんな時間だし、家まで送らせてほしい」
俺の言葉に少し驚いた表情で振り返った春木さん。そんな俺たちを見ながらニヤニヤする夏目さんは「私も女の子なんだけどなぁ」とわざとらしく不貞腐れて見せた。
「勘弁してくれ」
「ふふふっ、いいよ。私は家近いし大丈夫。ふたりのお邪魔はしませんとも!」
なんて楽しそうにしながら「またね。今日はありがとう」と、そそくさと行ってしまった。
あらためてふたりきり。
「それで、送ってもいいですか?」
「……お願いします」



