満月みたいな恋だった

青春・恋愛

満月みたいな恋だった
作品番号
1778975
最終更新
2026/04/01
総文字数
1,819
ページ数
1ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
 満月は全てを照らしているようで、本当は表側しか見せていない。

 ニュースで見た名前に、息が止まった。

 死刑囚――早瀬湊。

 それが、かつて同じ帰り道を歩いた人だと知るまで、そう時間はかからなかった。

 弁護士として面会に向かったはずだった。冤罪の可能性を疑い、真実を確かめるために。けれど、ガラス越しに再会した彼は、あまりにも穏やかで、あまりにも知らない人だった。

「覚えていません」

 たった一言で、過去が打ち砕かれていく。同じ思い出を持っていると思っていたのは、私だけだった。

 それでも、会いに行く理由を探してしまう。正義でも、仕事でもなく、ただ――もう一度、あの人と話したいから。

 寄せては返す波のように、踏み込めば遠ざかる距離。触れられないのに、確かにそこにある存在。

 この恋は、満月みたいだった。こんなにも明るく見えていたのに、彼の裏側を最後まで知ることができない。
あらすじ
 ニュースで知った死刑囚・早瀬湊は、かつての幼なじみだった。

 弁護士の私は国選を自ら引き受け、面会室で再会する。しかし、彼は私の存在を覚えておらず、事件についても多くを語らない。

 真実を追うはずが、次第に『会いたい』という感情だけが残っていく。全てが見えていると思っていたのに、何も知らなかった――それでも惹かれてしまう、アクリルボード越しの恋の物語。

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