桜が散るような淡い恋


 戻ってくることのない、あの日々が遠ざかってから時々見る夢がある。

 それは、私が人生の中で唯一惹かれた彼が出てくる不思議な幻想だ。

 なんてことのない日常で少し交わした会話。
 もしも、彼との距離が近くなり親しくしていた場合のあるはずの無い嘘のような世界線の出来事。

 なぜ、そのような夢を見てしまうのかわからない。

 私と彼はただのクラスメイトでしかなかった。

 私だけの一方的だった。

 告白することはなかった。

 でも、私の心の中でほのかに残り続ける淡い記憶があるんだ。

 今まで誰にも打ち明けたことはない。
 だけど、今はどうしようもなく誰かと共有したくて。知ってほしくて。

 ――どうか私の過去の出来事をそっと聞いてほしい。