あんなに五月蝿かった蝉達の声が、自宅の回りでしなくなってきた。
それは、至(いたる)の高校生初の夏休みが、そろそろ終わろうとしている合図でもあった。
しかし、今こうやって、自宅から少し離れた郊外の、真昼の田園風景の中を一人歩いていると、遠くからツクツクボウシの鳴き声だけがする。
そして、額からは汗が滲むが、たまに涼しさを含んだ風と赤とんぼが、至に秋が近い事を教えてくれた。
今、至は、ある山合いの寺の墓地に向かっていた。
至には、葵と僚と言う、幼なじみの同い年の男子の双子がいた。
双子とは、幼稚園、小学校の6年間、昨今の少子化もあってクラスも少ないためか、共にずっと同じクラスに当たって仲も良かった。
葵と僚は、子供の頃から目鼻立ちのハッキリしたキレイ系イケメンで頭も良くて、スポーツも万能。
まだ、恋愛や結婚がよく分かっていなかった幼稚園の頃……
至は、同じ男同士だったが、優しい葵に将来結婚しようとプロポーズした事もあった。
葵の答えは、即、イエスだった。
至は、正直、めちゃくちゃうれしかった。
(でも、流石に……男と結婚って、ヤバいし出来る訳ないじゃん……マジ、俺ってバカだったよな……まぁ……今もマジバカだけど……)
至は、自分の幼き黒歴史に内心苦笑する。
そんな僚が、12歳の夏休み、父方の祖父母の田舎へ遊びに行った時、川で溺れた葵を助けて自分が身代わりで亡くなった。
葵は、それから学校に来なくなってしまい、葵は、家族以外では至だけとしか会わなくなった。
至は心配で、毎日葵に会いに、自宅の裏の葵の家に放課後行った。
葵は、俺様系で活発な僚と違い、物静か系だった。
それから、僚が亡くなり1年間後、あんなに仲の良かったはずの僚の両親は離婚。
葵は、母親に付いて引っ越して行き、それきり至とは音信不通になった。
今向かっている墓は、その僚のものだった。
至には未だ、僚の死が残念な思いと、葵にも心残りがあった。
母親に付いて父親の元を葵が出て行く直前から、葵は、何かにかなり怯えていた。
至ですら、葵の指すら触る事も、逆に葵から至に触る事も出来なくなっていた……
怖れていると言ったら良いか?
それは、尋常では無い感じだった。
ただ、その怯えの理由を、葵は、どんなに尋ねても最後まで至にも教えてはくれなかった。
(なぁ……僚……今でもいいから教えてくれ!葵……元気かな?もう……泣いてないか?)
道すがら、至がそう尋ねた瞬間……
まだ少し離れた、僚の墓の前に、一人の男の姿が見えた。
男は気配に気付いたのか、至の方を向き、ハッとした表情を浮かべた。
でもそれは、至もだった。
かなり背が高くなって体もがっちりしていたが、顔が……その美しさが葵に似ていたからだ……
至の心臓が、驚愕から口から出そうな位に感じた。
その男の左手には、痛々しい包帯が巻かれていた。
それは、至(いたる)の高校生初の夏休みが、そろそろ終わろうとしている合図でもあった。
しかし、今こうやって、自宅から少し離れた郊外の、真昼の田園風景の中を一人歩いていると、遠くからツクツクボウシの鳴き声だけがする。
そして、額からは汗が滲むが、たまに涼しさを含んだ風と赤とんぼが、至に秋が近い事を教えてくれた。
今、至は、ある山合いの寺の墓地に向かっていた。
至には、葵と僚と言う、幼なじみの同い年の男子の双子がいた。
双子とは、幼稚園、小学校の6年間、昨今の少子化もあってクラスも少ないためか、共にずっと同じクラスに当たって仲も良かった。
葵と僚は、子供の頃から目鼻立ちのハッキリしたキレイ系イケメンで頭も良くて、スポーツも万能。
まだ、恋愛や結婚がよく分かっていなかった幼稚園の頃……
至は、同じ男同士だったが、優しい葵に将来結婚しようとプロポーズした事もあった。
葵の答えは、即、イエスだった。
至は、正直、めちゃくちゃうれしかった。
(でも、流石に……男と結婚って、ヤバいし出来る訳ないじゃん……マジ、俺ってバカだったよな……まぁ……今もマジバカだけど……)
至は、自分の幼き黒歴史に内心苦笑する。
そんな僚が、12歳の夏休み、父方の祖父母の田舎へ遊びに行った時、川で溺れた葵を助けて自分が身代わりで亡くなった。
葵は、それから学校に来なくなってしまい、葵は、家族以外では至だけとしか会わなくなった。
至は心配で、毎日葵に会いに、自宅の裏の葵の家に放課後行った。
葵は、俺様系で活発な僚と違い、物静か系だった。
それから、僚が亡くなり1年間後、あんなに仲の良かったはずの僚の両親は離婚。
葵は、母親に付いて引っ越して行き、それきり至とは音信不通になった。
今向かっている墓は、その僚のものだった。
至には未だ、僚の死が残念な思いと、葵にも心残りがあった。
母親に付いて父親の元を葵が出て行く直前から、葵は、何かにかなり怯えていた。
至ですら、葵の指すら触る事も、逆に葵から至に触る事も出来なくなっていた……
怖れていると言ったら良いか?
それは、尋常では無い感じだった。
ただ、その怯えの理由を、葵は、どんなに尋ねても最後まで至にも教えてはくれなかった。
(なぁ……僚……今でもいいから教えてくれ!葵……元気かな?もう……泣いてないか?)
道すがら、至がそう尋ねた瞬間……
まだ少し離れた、僚の墓の前に、一人の男の姿が見えた。
男は気配に気付いたのか、至の方を向き、ハッとした表情を浮かべた。
でもそれは、至もだった。
かなり背が高くなって体もがっちりしていたが、顔が……その美しさが葵に似ていたからだ……
至の心臓が、驚愕から口から出そうな位に感じた。
その男の左手には、痛々しい包帯が巻かれていた。
