青春はスクリーンの手前に

 自分でも薄々気付いていた。
 私は映画の見方が少しズレている。
 はっきりと言葉にして言われたのは初めてだった。

「そんなに分析できるなら、自分で作ってみたらいいじゃん」

「え?」

「映画」

「…無理だよ。だって私、」

「観る専?」
 遮るように言われ、思わず口をつぐむ。

 柊くんは私の様子を見て、もう一度「観る専ね」と呟く。
 左手で頬杖をつきながら視線をスクリーンの方に向けた。

 その周辺では高梨先輩や数人の部員が感想を言い合っている。

「つーか、本当に作ったことない?」

「うん、ないよ」

「ふーん」

 私は映画を観て、たくさんのアイデアや工夫を見つけるのが好き。
 でも自分から生み出すなんて考えたこともない。


「…じゃあ、一緒に作る?」

 想像した。
 彼がどんな映画を作るのか。

 部室の窓から、湿った風が吹き込み、髪が首筋にまとわりつく。
 そんなジトジトした空気とは裏腹に、私の心にカラカラと爽やかな風が吹く。


「俺と一緒に部内選考、参加しよう」


 楽しそうに笑う柊くんを見たのは、入部してから初めてのことだった。