真介の視線はそれからしばらくは気にならなくなった。
その視線が再度気になるようになったのは、梅雨が明けたばかりの7月、塩原に昼食の弁当を一緒に食べないかと誘われた時だった。
「ああ、もちろーー」
いいよ、と答えかけたところで、またあの怨念が籠ってそうな視線を感じ、首筋がピリピリした。
「どうしたの?」
「あ、ああ。何でもない」
俺は振り返るのも恐ろしく思えて、塩原に苦笑いを向けて一緒に食べるために弁当を手に教室を出た。
真介のやつ、言いたいことがあるなら言えばいいのに。
とは思うものの、あの台詞の真意を聞くのは怖くて聞けなかった。
「やっぱりどこか調子悪い?」
塩原が心配そうに覗き込んでくる。
俺は何でもない、と力なく答えて何気なく背後を振り返る。
そこには、真介の姿はなく、ただはしゃいでいる生徒が数人いるだけだった。
「涼しいね」
「本当にここで食べていいのか?」
「うん、委員長だから、先生に特別に許可もらってる。ま、先生が欲しい本を入手してあげたから、買収したとも言うかな」
「悪いやつだな」
舌を出していても、塩原は綺麗だった。
俺は妙に緊張しながら、司書室の椅子を引いて座る。
わざわざこんなところに呼び出したからには何かあるはずだと、期待もあった。
「で、さ……。赤池君、私と付き合ってくれませんか?」
「……」
俺はもちろんYesと答えようとしたが、他に誰もいない司書室の中でもあの目がじっと見ている気がして、一瞬言葉に詰まる。
「赤池君?あれ、やっぱりダメ、かな?」
「……ああ、いや。あんまり驚いたから思考停止してただけ。もちろんいいよ」
「ほんと?嬉しい!」
塩原が満面の笑みで喜ぶのを眺めながら、内心何度も呟いて、自分を宥めていた。
大丈夫、全部気のせいだ、と。
その視線が再度気になるようになったのは、梅雨が明けたばかりの7月、塩原に昼食の弁当を一緒に食べないかと誘われた時だった。
「ああ、もちろーー」
いいよ、と答えかけたところで、またあの怨念が籠ってそうな視線を感じ、首筋がピリピリした。
「どうしたの?」
「あ、ああ。何でもない」
俺は振り返るのも恐ろしく思えて、塩原に苦笑いを向けて一緒に食べるために弁当を手に教室を出た。
真介のやつ、言いたいことがあるなら言えばいいのに。
とは思うものの、あの台詞の真意を聞くのは怖くて聞けなかった。
「やっぱりどこか調子悪い?」
塩原が心配そうに覗き込んでくる。
俺は何でもない、と力なく答えて何気なく背後を振り返る。
そこには、真介の姿はなく、ただはしゃいでいる生徒が数人いるだけだった。
「涼しいね」
「本当にここで食べていいのか?」
「うん、委員長だから、先生に特別に許可もらってる。ま、先生が欲しい本を入手してあげたから、買収したとも言うかな」
「悪いやつだな」
舌を出していても、塩原は綺麗だった。
俺は妙に緊張しながら、司書室の椅子を引いて座る。
わざわざこんなところに呼び出したからには何かあるはずだと、期待もあった。
「で、さ……。赤池君、私と付き合ってくれませんか?」
「……」
俺はもちろんYesと答えようとしたが、他に誰もいない司書室の中でもあの目がじっと見ている気がして、一瞬言葉に詰まる。
「赤池君?あれ、やっぱりダメ、かな?」
「……ああ、いや。あんまり驚いたから思考停止してただけ。もちろんいいよ」
「ほんと?嬉しい!」
塩原が満面の笑みで喜ぶのを眺めながら、内心何度も呟いて、自分を宥めていた。
大丈夫、全部気のせいだ、と。


