「凌平。提案なんだが、俺と付き合う気はないか」
「は?えっと、どういう意味?」
大学を出てレストランで食事を食べている最中、真介は唐突にそう切り出した。
「考えてもみろよ。影鷹はお前を付け狙っているし、虫除けが必要だろ」
「って……言ってもな。寧ろあの手のタイプには逆効果じゃないか?真介にも危害が加えられるだろうし、下手に刺激せずにやり過ごした方が」
「それじゃ意味ないだろ」
「意味ないって?」
「お前の身を案じている俺の気持ちも分かってくれないか」
「それは……」
俺は水で食事を流し込み、考えをまとめようとする。
どうにか影鷹からの接触から逃れ続け、遣り過ごす方法を取るとすれば、4年間ずっと神経を磨り減らして過ごさないといけないだろう。
一方で、真介が言うように虫除けとして恋人のふりをしてもらうと、影鷹を刺激するリスクはあるものの、強固な関係を示せばやがては諦める可能性がある。
けれど。
俺は真介の目をじっと見つめる。
眼鏡の奥の切れ上がっている目を見ていると、底切れなさを感じた。
「真介は、それでいいのか?俺と付き合ったふりなんかしたら、彼女とかつくれないぞ」
「俺のことはいい。元より、そういうのは興味ない」
きっぱり言い切る様子に嘘は感じられなかった。
実際、高校生活の大半を共に過ごす中で、真介は一度たりとも女の話題を出したこともなかった。
そもそも真介は基本的に人への態度が辛辣で、それが原因で高校時代は嫌われていたため、そういうことをする相手自体が寄ってこなかったのもあるだろうが、酷く勿体ないことに思える。
「何だ?」
俺がじっと物言いたげに見ていたせいか、真介は怪訝そうな顔をする。
「いや、勿体ないなと」
「何がだ」
俺は何も考えずに、手を伸ばして真介の眼鏡を外す。
「こうしたら、すごく格好いいし、モテそうなのになと」
「……」
真介は目を驚きに見開いた後、逸らした。
耳が僅かに赤い。
「あれ、照れてる?」
からかえば、真介は眼鏡を奪い返し、仏頂面をする。
「からかうな。それより、さっきの話だ。よく考えてくれ」
「そう……だな、分かった。ちょっと数日くれ」
俺の返事を聞くなり、真介は伝票を持って立ち上がる。
「え?今日も?」
俺の声に何も返すことなく、真介は当然のように会計に向かった。
実は、真介と友人関係になって以来、毎回必ず奢ってくれている。
最初は遠慮していたが、真介は頑固で、全く譲らなかったので諦めた。
何かバイトしているからだろうが、また次の誕生日にでもちょっといいプレゼントを用意しないとさすがに悪いよな。
俺は水を飲み干し、真介の後を追って席を立った。
「は?えっと、どういう意味?」
大学を出てレストランで食事を食べている最中、真介は唐突にそう切り出した。
「考えてもみろよ。影鷹はお前を付け狙っているし、虫除けが必要だろ」
「って……言ってもな。寧ろあの手のタイプには逆効果じゃないか?真介にも危害が加えられるだろうし、下手に刺激せずにやり過ごした方が」
「それじゃ意味ないだろ」
「意味ないって?」
「お前の身を案じている俺の気持ちも分かってくれないか」
「それは……」
俺は水で食事を流し込み、考えをまとめようとする。
どうにか影鷹からの接触から逃れ続け、遣り過ごす方法を取るとすれば、4年間ずっと神経を磨り減らして過ごさないといけないだろう。
一方で、真介が言うように虫除けとして恋人のふりをしてもらうと、影鷹を刺激するリスクはあるものの、強固な関係を示せばやがては諦める可能性がある。
けれど。
俺は真介の目をじっと見つめる。
眼鏡の奥の切れ上がっている目を見ていると、底切れなさを感じた。
「真介は、それでいいのか?俺と付き合ったふりなんかしたら、彼女とかつくれないぞ」
「俺のことはいい。元より、そういうのは興味ない」
きっぱり言い切る様子に嘘は感じられなかった。
実際、高校生活の大半を共に過ごす中で、真介は一度たりとも女の話題を出したこともなかった。
そもそも真介は基本的に人への態度が辛辣で、それが原因で高校時代は嫌われていたため、そういうことをする相手自体が寄ってこなかったのもあるだろうが、酷く勿体ないことに思える。
「何だ?」
俺がじっと物言いたげに見ていたせいか、真介は怪訝そうな顔をする。
「いや、勿体ないなと」
「何がだ」
俺は何も考えずに、手を伸ばして真介の眼鏡を外す。
「こうしたら、すごく格好いいし、モテそうなのになと」
「……」
真介は目を驚きに見開いた後、逸らした。
耳が僅かに赤い。
「あれ、照れてる?」
からかえば、真介は眼鏡を奪い返し、仏頂面をする。
「からかうな。それより、さっきの話だ。よく考えてくれ」
「そう……だな、分かった。ちょっと数日くれ」
俺の返事を聞くなり、真介は伝票を持って立ち上がる。
「え?今日も?」
俺の声に何も返すことなく、真介は当然のように会計に向かった。
実は、真介と友人関係になって以来、毎回必ず奢ってくれている。
最初は遠慮していたが、真介は頑固で、全く譲らなかったので諦めた。
何かバイトしているからだろうが、また次の誕生日にでもちょっといいプレゼントを用意しないとさすがに悪いよな。
俺は水を飲み干し、真介の後を追って席を立った。


