俺以外を見るのは許さないから

 あの出来事以来、俺は高校生活を真介と共に過ごすようになり、いつの間にかかけがえのない親友になっていった。
 そうして時とともに、俺は真介を苦手としていた理由も、真介が放ったあの言葉のことも忘れていった。
 季節は巡り、大学受験を迎える。
 俺は将来、心理カウンセラーをやりたいと考えていたため、心理学を学ぶ大学への入学を希望していた。
 特に深い理由があってのことではないが、人からの印象を気にしてばかりいた俺は、人からの好意や悪意を気にせず、少しでも楽に生きたいし、同じような人を助けたいと思ったのだ。
「真介のやつ、なんで進路のこと教えてくれないんだろ。それに、近々分かるだろうなってどういうことだ?」
 俺は受験票を手に会場に向かいながら、独り言を呟く。
 実は、真介は「受験する大学?秘密だ」とずっと誤魔化していた。
 ぶつくさ文句を言いつつも、目的の会場に辿り着いて、足を踏み入れる。
「え?」
 思わず驚きの声を上げたのは、真介の姿を会場に見つけたからだ。
 真介はすぐに俺に気づいて片手を上げる。
 近づこうとしたが、試験開始の時間が迫っていたため、諦めて席に着く。
 あいつ、後で問い詰めてやらないとな。
 と思いつつも、俺は自然と自分の唇に笑みが浮かぶのを感じた。
 大学生活も真介と同じだったら、きっと……。
 想像を膨らませるだけで胸が弾んだ。
 気持ちが乗っていたおかげか、試験問題も難なく解いて、合格は間違いないと自信が持てた。
「真介、何だよ。お前もここ受験したのか」
 試験が終わった後に問い詰めようと押しかければ、真介はしたり顔をした。
 俺は真介にヘッドロックを仕掛けてふざけ合いながら、これからの未来に思いを馳せる。
 絶対、楽しい大学生活送れそうだな。