ショウゴが部屋から飛び出して行き、一色は、くそっと暴言を吐くとドアの前に座り込んだ。
「藤崎くんはここにいて」
「なんのために? 俺がここにいてもどうにもならないだろ」
「君も仲間になってもらう」
「……は?」
「君も煙草を吸えばいいんだ。ショウゴが戻って来たら、君が煙草を吸っているところを写真に撮ってばらまくから」
「……脅迫する気?」
その時、光希のショルダーバッグの中からスマホが鳴り始めた。
光希は、史苑が探してくれているのかもしれないと思った。
「一色、電話が鳴ってる。電話に出てもいい?」
ダメ元で聞いてみるが、一色は無表情のまま首を振った。
「ダメ」
「ダメって……。なあ。一色、目を覚まそうよ。さっきまで前田としゃべってたろ? あの時の君と今の君は別人だよ?」
前田の名前を出すと、一色の顔に動揺が走った。すると、今度は一色のスマホが鳴り始めた。
「あ……」
一色がスマホに飛びついた。電話ではなくメッセージのようだ。内容を確認するうちに一色がびくっと震えたのが分かった。
「……藤崎くん」
「え?」
「君、誰にも連絡なんてしていないよね」
「してないよ。だって、バッグは開けていないし、スマホも見ることだってできない」
「じゃあ今すぐバッグを開けて、スマホ確認してみて!」
一体何なんだ。
一色に誰から連絡が入ったのだろう。
混乱しながら言われた通り、バッグを手繰り寄せると中を開けた。
スマホを開くとメールが来ていた。
メールを見た途端、心臓が痛いほどドキンドキンとしだした。
史苑からのメッセージじゃない。
ごくりとのどを鳴らして、メールを開く。
ハギモリマリアからのメールだ。
あのスマホは、怜が持っているはずなのに。
頭がぐるんぐるんしてきた。
何も知らない一色は、光希の様子を伺いながら、何かきた? と聞いた。
ごくんと唾を飲んで、光希はメールを開いた。
『一色拓馬を強請っている相手を知りたくない?』
と書かれている。
一体、何がしたいんだ、と思った。
光希はメールを一色に見せた。それを見た一色は、ハッとして辺りをキョロキョロした。
「や、やっぱり君は何か知ってるの?」
「俺は何も知らないって」
「じゃ、じゃあ、聞いてよ、こいつに。僕を強請っているのは誰なんだって」
光希は大きく息を吐きだすと、メールを送った。
『一色拓馬を強請っている相手を教えてください』
そうメールを送ると、一色の部屋に置いてある机の下からブーッブーッと振動音がした。え? っと二人がそちらを見る。
一色がしゃがんで、手を伸ばして取ったのは黒いスマホだった。
光希はそれを見て、ゾッと悪寒が走った。
「な、なぜそれがここに……」
「誰のスマホ?」
一色は分からないようだった。電源キーを押して、パスコードも入力せずにすんなりと開いた。
スマホをタップをしながら、顔がこわばっていく。
「これ……。君の画像ばかりだ」
一色が薄気味悪そうにこちらを見た。
それから、何かに気づいた途端、一色の手からスマホがするっと床へ落ちた。
「な、何これ……」
「なんて書いてあった?」
光希が尋ねると一瞬、放心していた一色がこちらを見た。
「……え?」
「今、メールを見たんだろ。さっき、俺が送った内容が届いていたんじゃないか?」
一色は首を横に振っただけで、スマホを取ろうとしなかった。
光希は大きく息を吐いてから、落ちたスマホを手に取ろうとしてためらった。
スマホを同時に取る手が現れたからだ。
顔を上げると目の前に長い髪の女がうずくまっていた。
床を見ていた顔がまっすぐに光希を見た。
「ひい……っ」
一色は悲鳴を上げることもできず腰を抜かした。
光希も声が出せず尻餅をついた。
目の前にハギモリマリアがいる。
一色が口を押さえて泣き始めた。
「う、うえっ……。お、お母さん……」
光希は口を開けたまま、動けずにハギモリマリアを見つめるしかできなかった。
ハギモリマリアは黒いスマホを手に取って、とんとんと人さし指で指した。何度もその動作を繰り返す。
光希は手に持っている自分のスマホを見た。
凄い速さで文字が紡がれていく。
『スマホの持ち主はあなたを狙っているんじゃないのよ』
「え?」
『真の目的は、あなたが付き合っている男性なの。スマホの持ち主はあなたが憎くてたまらなくて、いずれあなたを陥れようとしているの。今すぐ恋人と別れた方がいいわよ』
「先輩と別れる?」
なぜ? と思う。
なぜ、幽霊に別れろと言われているのか。
光希は理解できなかった。
「嫌だよ」
気づけば断っていた。ハギモリマリアの唇が歪む。
『まわりからちやほやされていい気になってる? みんながあなたを慕っているわけじゃないのよ。嫌っている人だってたくさんいるんだから。このスマホの持ち主もそうよ。あなたより先に好きになったのに、どうしてあなたが彼と付き合っているのか、恋人なのか理解できないの。それで、あなたの恥ずかしい写真をネットで売りさばいて金儲けしているのよ。そのうち、すべてをあなたの責任に押し付けて、児童ポルノ法違反で逮捕されるという筋書きよ。今のままだとあなたは恋人に迷惑をかけるだけよ』
一色は耳を押さえて隣で震えていた。
「藤崎くんはここにいて」
「なんのために? 俺がここにいてもどうにもならないだろ」
「君も仲間になってもらう」
「……は?」
「君も煙草を吸えばいいんだ。ショウゴが戻って来たら、君が煙草を吸っているところを写真に撮ってばらまくから」
「……脅迫する気?」
その時、光希のショルダーバッグの中からスマホが鳴り始めた。
光希は、史苑が探してくれているのかもしれないと思った。
「一色、電話が鳴ってる。電話に出てもいい?」
ダメ元で聞いてみるが、一色は無表情のまま首を振った。
「ダメ」
「ダメって……。なあ。一色、目を覚まそうよ。さっきまで前田としゃべってたろ? あの時の君と今の君は別人だよ?」
前田の名前を出すと、一色の顔に動揺が走った。すると、今度は一色のスマホが鳴り始めた。
「あ……」
一色がスマホに飛びついた。電話ではなくメッセージのようだ。内容を確認するうちに一色がびくっと震えたのが分かった。
「……藤崎くん」
「え?」
「君、誰にも連絡なんてしていないよね」
「してないよ。だって、バッグは開けていないし、スマホも見ることだってできない」
「じゃあ今すぐバッグを開けて、スマホ確認してみて!」
一体何なんだ。
一色に誰から連絡が入ったのだろう。
混乱しながら言われた通り、バッグを手繰り寄せると中を開けた。
スマホを開くとメールが来ていた。
メールを見た途端、心臓が痛いほどドキンドキンとしだした。
史苑からのメッセージじゃない。
ごくりとのどを鳴らして、メールを開く。
ハギモリマリアからのメールだ。
あのスマホは、怜が持っているはずなのに。
頭がぐるんぐるんしてきた。
何も知らない一色は、光希の様子を伺いながら、何かきた? と聞いた。
ごくんと唾を飲んで、光希はメールを開いた。
『一色拓馬を強請っている相手を知りたくない?』
と書かれている。
一体、何がしたいんだ、と思った。
光希はメールを一色に見せた。それを見た一色は、ハッとして辺りをキョロキョロした。
「や、やっぱり君は何か知ってるの?」
「俺は何も知らないって」
「じゃ、じゃあ、聞いてよ、こいつに。僕を強請っているのは誰なんだって」
光希は大きく息を吐きだすと、メールを送った。
『一色拓馬を強請っている相手を教えてください』
そうメールを送ると、一色の部屋に置いてある机の下からブーッブーッと振動音がした。え? っと二人がそちらを見る。
一色がしゃがんで、手を伸ばして取ったのは黒いスマホだった。
光希はそれを見て、ゾッと悪寒が走った。
「な、なぜそれがここに……」
「誰のスマホ?」
一色は分からないようだった。電源キーを押して、パスコードも入力せずにすんなりと開いた。
スマホをタップをしながら、顔がこわばっていく。
「これ……。君の画像ばかりだ」
一色が薄気味悪そうにこちらを見た。
それから、何かに気づいた途端、一色の手からスマホがするっと床へ落ちた。
「な、何これ……」
「なんて書いてあった?」
光希が尋ねると一瞬、放心していた一色がこちらを見た。
「……え?」
「今、メールを見たんだろ。さっき、俺が送った内容が届いていたんじゃないか?」
一色は首を横に振っただけで、スマホを取ろうとしなかった。
光希は大きく息を吐いてから、落ちたスマホを手に取ろうとしてためらった。
スマホを同時に取る手が現れたからだ。
顔を上げると目の前に長い髪の女がうずくまっていた。
床を見ていた顔がまっすぐに光希を見た。
「ひい……っ」
一色は悲鳴を上げることもできず腰を抜かした。
光希も声が出せず尻餅をついた。
目の前にハギモリマリアがいる。
一色が口を押さえて泣き始めた。
「う、うえっ……。お、お母さん……」
光希は口を開けたまま、動けずにハギモリマリアを見つめるしかできなかった。
ハギモリマリアは黒いスマホを手に取って、とんとんと人さし指で指した。何度もその動作を繰り返す。
光希は手に持っている自分のスマホを見た。
凄い速さで文字が紡がれていく。
『スマホの持ち主はあなたを狙っているんじゃないのよ』
「え?」
『真の目的は、あなたが付き合っている男性なの。スマホの持ち主はあなたが憎くてたまらなくて、いずれあなたを陥れようとしているの。今すぐ恋人と別れた方がいいわよ』
「先輩と別れる?」
なぜ? と思う。
なぜ、幽霊に別れろと言われているのか。
光希は理解できなかった。
「嫌だよ」
気づけば断っていた。ハギモリマリアの唇が歪む。
『まわりからちやほやされていい気になってる? みんながあなたを慕っているわけじゃないのよ。嫌っている人だってたくさんいるんだから。このスマホの持ち主もそうよ。あなたより先に好きになったのに、どうしてあなたが彼と付き合っているのか、恋人なのか理解できないの。それで、あなたの恥ずかしい写真をネットで売りさばいて金儲けしているのよ。そのうち、すべてをあなたの責任に押し付けて、児童ポルノ法違反で逮捕されるという筋書きよ。今のままだとあなたは恋人に迷惑をかけるだけよ』
一色は耳を押さえて隣で震えていた。

