一色は四階まで上がり、自分の部屋の鍵を開けると光希を中に押し込んだ。
「い、一色、落ち着いて」
「まさか、僕を強請っていたのは君なの?」
「……は? 強請る? まさか、そんな事するはずないだろっ」
「じゃあ、なんで知ってるんだよっ」
「それは……」
以前、一色の部屋を訪ねた時に部屋の中から煙草の臭いがしたから、と理由を言おうとすると、コンコンとドアをノックして一色が返事をする前にドアが開いた。
「拓馬、いる?」
顔をのぞかせたのはショウゴだった。
ショウゴは、光希を見てアッと言う顔をしたが、中に入るなり鍵をがちゃんと掛けた。
「なんか、めちゃちょうどいい所に来た感じ」
嬉しそうに言うと、光希たちに近づいて来た。
「何してんの?」
「ショウゴ、僕を強請っていたのは、もしかしたら藤崎くんだったのかもしれない」
「えーっ? マジで? 人は見かけによらないんですねえ」
ショウゴのニヤニヤ笑いを見てカッとなった。
「違う! 勘違いだ」
「じゃ、じゃあ、なんで僕らが煙草を吸っていることを知ってるんだよ」
「前にこの部屋に来た時に臭ったからだ。もうやめた方がいいって言おうと思っただけだ」
「嘘だ。寮父さんに言いつけるんだろ」
「そんな事しないよ」
一色の様子が、まるで人が変わったように豹変している。
後から入ってきたショウゴが冷静に見ているので、彼に訴えようと思った。
「ショウゴ、君からも言ってくれ。勘違いだって」
「めんどくせ。だって、寮長さんはどっちにしろ煙草に反対なんでしょ」
何を言っても無駄なような気がした。
光希は大きく息を吐くと、抵抗するのをやめた。
「もう何も言わないよ」
一色が冷静になるのを待とうと思った。
しかし、どういうわけか一色は興奮したまま光希を見ている。
どうしてここまで興奮するのか全く理解できなかった。
ショウゴは、床に座るとポケットから煙草を取り出して口にくわえるとライターを取り出した。
光希はあまりに驚いて考えもせずにショウゴの手からライターを奪った。
油断していたショウゴがびっくりしてこちらを見た。
「な、何するんだよっ」
「それはこちらのセリフだ。未成年者の喫煙は禁じられているんだぞっ」
「ハハっ。その言い方めっちゃウケる!」
ショウゴがバカにしたように言う。
光希は窓を開けるとライターを放り投げた。
「「あっ」」
二人が同時に叫んだ。
「一つしかないのにっ」
ショウゴがイラついた声を出す。一色の顔色は青ざめていた。
「なんてことを……」
ライター一つでそんなに大げさになるだろうか、と思ったが、二人とも落ち着かなくイライラして、部屋を出て探しに行くか、コンビニにライターを買いに行くか、など言い争いを始めた。
光希はこの隙に部屋を出ようとしたが、二人に気づかれた。
「藤崎くんはこの部屋から出ないでっ」
一色はそう言うと部屋の鍵を開けて出ていこうとした。すると、ショウゴがその腕をつかんだ。
「待て、拓馬、俺が行くから。あんたはこの部屋にいてくれ」
「僕に命令ばかりするなっ」
一色がショウゴの肩を強く押した。ショウゴがびくっとして一色に向かって腕を振り上げる。
「二人ともやめろっ」
光希は思わず駆け寄って、叩かれそうになる一色を庇った。背中にショウゴのげんこつが当たり、ドンっと衝撃が背中に走った。
「うっ……」
光希は痛みを感じて、一色の体にもたれかかった。
「藤崎くんっ」
光希を支えてくれた一色が少しだけ冷静になったのか、今度はオロオロしだして光希の顔を見た。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちょっと痛かっただけだから」
「大したことないのに、大げさだな」
右肩あたりがひどくズキズキしたが、後ろにいるショウゴはあまり気にした様子はなかった。
「二人とも落ちついてくれ。何も起きていないのに、どうしてそんなにイライラしているんだ?」
光希はゆっくりと体を起こして、二人を見た。
眉を吊り上げ、唇を噛みしめている容貌は明らかにおかしかった。
彼らは普段からこうなのだろうか。
苛々することがないので光希には分からなかった。
一色は爪を噛むと、ショウゴを横目で睨みつけた。
「ショウゴは強請られていないからいいよな。僕ばかり、毎週、お金をせびられて……。どんな気持ちか理解できないんだろ!」
「写真を撮られたのはてめえだろ。一人じゃ何もできねえくせに。いつも煙草吸おうぜって誘ってくるのはそっちじゃないか」
またケンカが始まった。
光希は呆れてしまって首を振った。
二人が一緒にいるとケンカは収まりそうにない。
「二人とも聞いてくれ。とにかく俺は一色を強請っていないし、誰かに言うつもりはないから」
「は! そんなの信じられるわけねえだろ。いいから、ライター取ってくるからあんたはここにいろよ」
ショウゴはそう言い捨てると部屋を出て行った。
「い、一色、落ち着いて」
「まさか、僕を強請っていたのは君なの?」
「……は? 強請る? まさか、そんな事するはずないだろっ」
「じゃあ、なんで知ってるんだよっ」
「それは……」
以前、一色の部屋を訪ねた時に部屋の中から煙草の臭いがしたから、と理由を言おうとすると、コンコンとドアをノックして一色が返事をする前にドアが開いた。
「拓馬、いる?」
顔をのぞかせたのはショウゴだった。
ショウゴは、光希を見てアッと言う顔をしたが、中に入るなり鍵をがちゃんと掛けた。
「なんか、めちゃちょうどいい所に来た感じ」
嬉しそうに言うと、光希たちに近づいて来た。
「何してんの?」
「ショウゴ、僕を強請っていたのは、もしかしたら藤崎くんだったのかもしれない」
「えーっ? マジで? 人は見かけによらないんですねえ」
ショウゴのニヤニヤ笑いを見てカッとなった。
「違う! 勘違いだ」
「じゃ、じゃあ、なんで僕らが煙草を吸っていることを知ってるんだよ」
「前にこの部屋に来た時に臭ったからだ。もうやめた方がいいって言おうと思っただけだ」
「嘘だ。寮父さんに言いつけるんだろ」
「そんな事しないよ」
一色の様子が、まるで人が変わったように豹変している。
後から入ってきたショウゴが冷静に見ているので、彼に訴えようと思った。
「ショウゴ、君からも言ってくれ。勘違いだって」
「めんどくせ。だって、寮長さんはどっちにしろ煙草に反対なんでしょ」
何を言っても無駄なような気がした。
光希は大きく息を吐くと、抵抗するのをやめた。
「もう何も言わないよ」
一色が冷静になるのを待とうと思った。
しかし、どういうわけか一色は興奮したまま光希を見ている。
どうしてここまで興奮するのか全く理解できなかった。
ショウゴは、床に座るとポケットから煙草を取り出して口にくわえるとライターを取り出した。
光希はあまりに驚いて考えもせずにショウゴの手からライターを奪った。
油断していたショウゴがびっくりしてこちらを見た。
「な、何するんだよっ」
「それはこちらのセリフだ。未成年者の喫煙は禁じられているんだぞっ」
「ハハっ。その言い方めっちゃウケる!」
ショウゴがバカにしたように言う。
光希は窓を開けるとライターを放り投げた。
「「あっ」」
二人が同時に叫んだ。
「一つしかないのにっ」
ショウゴがイラついた声を出す。一色の顔色は青ざめていた。
「なんてことを……」
ライター一つでそんなに大げさになるだろうか、と思ったが、二人とも落ち着かなくイライラして、部屋を出て探しに行くか、コンビニにライターを買いに行くか、など言い争いを始めた。
光希はこの隙に部屋を出ようとしたが、二人に気づかれた。
「藤崎くんはこの部屋から出ないでっ」
一色はそう言うと部屋の鍵を開けて出ていこうとした。すると、ショウゴがその腕をつかんだ。
「待て、拓馬、俺が行くから。あんたはこの部屋にいてくれ」
「僕に命令ばかりするなっ」
一色がショウゴの肩を強く押した。ショウゴがびくっとして一色に向かって腕を振り上げる。
「二人ともやめろっ」
光希は思わず駆け寄って、叩かれそうになる一色を庇った。背中にショウゴのげんこつが当たり、ドンっと衝撃が背中に走った。
「うっ……」
光希は痛みを感じて、一色の体にもたれかかった。
「藤崎くんっ」
光希を支えてくれた一色が少しだけ冷静になったのか、今度はオロオロしだして光希の顔を見た。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちょっと痛かっただけだから」
「大したことないのに、大げさだな」
右肩あたりがひどくズキズキしたが、後ろにいるショウゴはあまり気にした様子はなかった。
「二人とも落ちついてくれ。何も起きていないのに、どうしてそんなにイライラしているんだ?」
光希はゆっくりと体を起こして、二人を見た。
眉を吊り上げ、唇を噛みしめている容貌は明らかにおかしかった。
彼らは普段からこうなのだろうか。
苛々することがないので光希には分からなかった。
一色は爪を噛むと、ショウゴを横目で睨みつけた。
「ショウゴは強請られていないからいいよな。僕ばかり、毎週、お金をせびられて……。どんな気持ちか理解できないんだろ!」
「写真を撮られたのはてめえだろ。一人じゃ何もできねえくせに。いつも煙草吸おうぜって誘ってくるのはそっちじゃないか」
またケンカが始まった。
光希は呆れてしまって首を振った。
二人が一緒にいるとケンカは収まりそうにない。
「二人とも聞いてくれ。とにかく俺は一色を強請っていないし、誰かに言うつもりはないから」
「は! そんなの信じられるわけねえだろ。いいから、ライター取ってくるからあんたはここにいろよ」
ショウゴはそう言い捨てると部屋を出て行った。

