三階へ戻ると、二人はロビーにあるソファに座った。
「なかなか口を割らないな」
甲斐が苦笑した。
光希は次にすべきことを考えたが、たくさんありすぎてどこから手を付けようか迷った。
「問題をまずメモに取ってみようか」
ロビーの机にはちょうど、誰が置いて行ったのか紙と鉛筆があった。それに困っている事を箇条書きにしてみた。時系列にしてみる。
・謎のメール。ハギモリマリア。MはおそらくマリアのM
・痴漢事件。加害者、前田和明。薬を多量に服用して、自殺未遂。
・痴漢事件の目撃者。愛河秀彦。
・幽霊騒動。幽霊は恐らくハギモリマリア。
・三階でケンカ。愛河秀彦と一色拓馬。
とここまで書いて、あの時、一色が言った言葉を思い出した。
「そういえば、一色は、前田が亡くなったと思い込んでいた」
「え? 亡くなったの? 前田」
「亡くなっていない。でも、誰かが言ったって」
「なんか聞いていたら、誰かに唆された感じがあるな」
「これも書いておこう」
・三階でケンカ。愛河秀彦と一色拓馬のケンカの原因は、前田が亡くなったと思い込んだためと思われる。
・一色拓馬の部屋に事情を聞きに行く。その時、部屋から煙草の臭いがしている。
そうだ。煙草の問題もあった。光希が記入すると、甲斐がギョッとして言った。
「煙草、吸ってんだあいつ」
「たぶん。見てはいないんだけど、部屋が臭ってた」
「ばれないの?」
「いつかばれるよ」
光希はため息をついた。
・六階でトイレが壊れる。それが原因で怪奇現象が起こる。
・トイレを壊した人物は不明。
「意外とたくさんあるな」
「うん……」
まだあるのだ。
・ハギモリマリアの使用しているスマホに光希の情報しか入っていない問題。
自分で書いて気が重くなった。甲斐がさらに驚いた。
「ハハハ、何これ」
「そのまんまだよ。これが一番、謎めいている気がする」
「やばいなあ」
甲斐が腕を組んで唸った。
「何がやばいんだよ」
「これってまるでストーカーじゃん?」
「……は?」
光希は甲斐の言葉に目をぱちくりさせた。
「ストーカー?」
「ハギモリマリアが使用しているスマホには光希の情報しか入っていないんだろ。こいつ、推し活でもしてんのかな」
「やめろ」
「まあまあ。モテる男はつらいね」
得体のしれない相手にモテても仕方がない。光希は首を振った。
「書けば書くほど問題が出てくるな。それで、次はどれにする?」
「……」
光希が急に黙り込んだので、甲斐が首を傾げた。
「どうした? 光希」
「問題ってさ、問題問題って言うから、問題になるんだよな」
「はあ? 何それ。ことばあそび?」
箇条書きにすれば問題は山積みに見えるが、その問題の確認に行けば、問題をさらに抉ることになる気がした。
問題は、誰もが触れて欲しくないから問題であって。
甲斐にそう言うと、彼は腕を組んで、うーんと言った。
「言いたいことは分かるよ。けど、問題を先送りにしていたら、何も進んでないだけじゃないのか?」
自分に言われた気がしてぎくりとする。
誰にだって言いたくないことはたくさんある。
「甲斐はないの? 知られたくない事って」
「あるよ。でも難しいな。煙草だってやめろと言われてやめられるなら、やめているだろうし。やめられないから隠れて吸ってんだろ? ハギモリマリアだって、好きで幽霊になったわけじゃないだろうけど……」
甲斐が息を吐いて、そろそろ部屋に戻るか、と言った。
「俺たちも洗濯しに行くか。タオルとか下着洗うだろ?」
「そうだね」
光希はメモ用紙をちぎってポケットに入れると立ち上がった。
問題は起きたその時に対処するのが一番なんだろうな、と思う。そう簡単にはいかないが。
「なかなか口を割らないな」
甲斐が苦笑した。
光希は次にすべきことを考えたが、たくさんありすぎてどこから手を付けようか迷った。
「問題をまずメモに取ってみようか」
ロビーの机にはちょうど、誰が置いて行ったのか紙と鉛筆があった。それに困っている事を箇条書きにしてみた。時系列にしてみる。
・謎のメール。ハギモリマリア。MはおそらくマリアのM
・痴漢事件。加害者、前田和明。薬を多量に服用して、自殺未遂。
・痴漢事件の目撃者。愛河秀彦。
・幽霊騒動。幽霊は恐らくハギモリマリア。
・三階でケンカ。愛河秀彦と一色拓馬。
とここまで書いて、あの時、一色が言った言葉を思い出した。
「そういえば、一色は、前田が亡くなったと思い込んでいた」
「え? 亡くなったの? 前田」
「亡くなっていない。でも、誰かが言ったって」
「なんか聞いていたら、誰かに唆された感じがあるな」
「これも書いておこう」
・三階でケンカ。愛河秀彦と一色拓馬のケンカの原因は、前田が亡くなったと思い込んだためと思われる。
・一色拓馬の部屋に事情を聞きに行く。その時、部屋から煙草の臭いがしている。
そうだ。煙草の問題もあった。光希が記入すると、甲斐がギョッとして言った。
「煙草、吸ってんだあいつ」
「たぶん。見てはいないんだけど、部屋が臭ってた」
「ばれないの?」
「いつかばれるよ」
光希はため息をついた。
・六階でトイレが壊れる。それが原因で怪奇現象が起こる。
・トイレを壊した人物は不明。
「意外とたくさんあるな」
「うん……」
まだあるのだ。
・ハギモリマリアの使用しているスマホに光希の情報しか入っていない問題。
自分で書いて気が重くなった。甲斐がさらに驚いた。
「ハハハ、何これ」
「そのまんまだよ。これが一番、謎めいている気がする」
「やばいなあ」
甲斐が腕を組んで唸った。
「何がやばいんだよ」
「これってまるでストーカーじゃん?」
「……は?」
光希は甲斐の言葉に目をぱちくりさせた。
「ストーカー?」
「ハギモリマリアが使用しているスマホには光希の情報しか入っていないんだろ。こいつ、推し活でもしてんのかな」
「やめろ」
「まあまあ。モテる男はつらいね」
得体のしれない相手にモテても仕方がない。光希は首を振った。
「書けば書くほど問題が出てくるな。それで、次はどれにする?」
「……」
光希が急に黙り込んだので、甲斐が首を傾げた。
「どうした? 光希」
「問題ってさ、問題問題って言うから、問題になるんだよな」
「はあ? 何それ。ことばあそび?」
箇条書きにすれば問題は山積みに見えるが、その問題の確認に行けば、問題をさらに抉ることになる気がした。
問題は、誰もが触れて欲しくないから問題であって。
甲斐にそう言うと、彼は腕を組んで、うーんと言った。
「言いたいことは分かるよ。けど、問題を先送りにしていたら、何も進んでないだけじゃないのか?」
自分に言われた気がしてぎくりとする。
誰にだって言いたくないことはたくさんある。
「甲斐はないの? 知られたくない事って」
「あるよ。でも難しいな。煙草だってやめろと言われてやめられるなら、やめているだろうし。やめられないから隠れて吸ってんだろ? ハギモリマリアだって、好きで幽霊になったわけじゃないだろうけど……」
甲斐が息を吐いて、そろそろ部屋に戻るか、と言った。
「俺たちも洗濯しに行くか。タオルとか下着洗うだろ?」
「そうだね」
光希はメモ用紙をちぎってポケットに入れると立ち上がった。
問題は起きたその時に対処するのが一番なんだろうな、と思う。そう簡単にはいかないが。

