死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される






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 正式な再冊立から半年。
 瑞京国の王宮は、かつての重苦しい静寂が嘘のように、柔らかな活気に満ちていた。

 世子嬪となった瑞奈の住まいは、静蓮閣ではない。蒼龍宮に隣接する、最も陽当たりの良い彩鳳宮(さいほうぐう)へと移されていた。

 ある暖かな午後のこと。瑞奈は、東屋で内人たちと薬草の整理をしていた。


「瑞奈、またそんなことをしているのか」


 背後から低く、けれど甘い声が響く。
 振り返れば、執務の合間に抜け出してきたのであろう潤が、苦笑いを浮かべて立っていた。


「潤様。……あ、いえ。潤。お仕事はよろしいのですか?」

「お前が足りなくて、目が霞んできたところだ」


 潤は周囲の内人たちが気を利かせて下がるのを待たず、瑞奈の隣に腰を下ろした。自然な動作で彼女の腰を引き寄せた。
 王宮の者たちは、かつて氷の世子と呼ばれた主君が、瑞奈の前でだけは見せるこの徹底した溺愛ぶりにようやく慣れ始めていた。


「あの、もう、皆が見ておられますわ」

「構わぬ。私は三年間分の時間を埋めねばならんのだ……どれ、手を見せてみろ」