死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される


 夜が更けると、潤は彼女の顔を見て息があることに安堵した。

 それから、四日目の夜明け前。

 ようやく雨が止み、雲の隙間から、祝福のような一筋の金色の光が差し込んだ。

 その光が、瑞奈の長い睫毛をかすかに揺らした。


「……ん……っ」


 微かな、けれど確かな声に、ユンの体が弾かれたように強張った。
 瑞奈の瞳が、ゆっくりと本当にゆっくりと開かれた。

 霞んだ視界の中で、彼女が最初にとらえたのは、やつれ果て瞳を赤く腫らした夫の姿だった。


「……世子、様……?」

「瑞奈。……ああ、瑞奈……! 気がついたのか」


 潤は、彼女の手を壊れ物を扱うようにけれど二度と離さないという意志を込めて握りしめた。
 瑞奈は困惑したように周囲を見渡す。


「ここは……? 私は……死んだのでは……?」

「誰も、お前を死なせはしない。……もう二度と」


 潤は彼女を抱き寄せたい衝動を必死に抑え、ただ彼女の潤んだ視線を真っ直ぐに受け止めた。


「私が間違っていた。お前は呪いなどではない。……暗闇にいたこの国を救ってくれた、唯一の光だったのだ」


 瑞奈の目から、大粒の涙が零れ落ちた。それは悲しみの涙ではなく、三年間凍りついていた心が、初めて真実の温もりに触れた瞬間の、美しい雪解けの輝きだった。
夜が、静かに更けていく。