死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される


「頼むから……目を開けてくれ」


 潤は彼女の手に額を押し当て、声を殺して慟哭した。
 世子として、常に強く、情に流されぬよう育てられた彼が、生まれて初めて流す後悔の涙だ。

 彼は、彼女がたった一人で祈りを捧げていた離宮の荒れた庭を思い出した。
 自分は一度も彼女に花を贈ったことがなかった。一度も、夫として温かい言葉をかけたことがなかった。


「私は……お前の舞がどれほど神々しく、美しかったか、本当は最初から知っていたはずなのに。自分の憎しみに目隠しをして、お前を暗闇の底に突き落とした」


 潤は、枕元に置かれた、あのボロボロの婚礼の髪飾りを見つめた。

 それは三年前、彼が冷酷に叩きつけ、泥にまみれたはずの品。彼女はそれを捨てずにボロボロになっても大切に守り続けていたのだ。それが、彼女にとって唯一の繋がりだったのだと気づき、潤の心は粉々に砕け散った。


「すまない。許さなくていい……ただ、私に償う時間をくれ。きみの話をたくさん聞きたい。今度は目を合わせて、話したい。言葉を交わしたい。だから、どうか目を開けてくれ」