死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される


 一方同じ頃、蒼龍宮の最も奥まった寝所。
 そこは、かつて潤の母である先妃がこよなく愛した王宮で最も陽だまりの温かい、清浄な部屋がある。

 瑞奈は今真綿の布団に包まれ、死の淵を彷徨うように静かに眠っていた。

だが、その顔色は透き通るほど白く呼吸は今にも途切れそうな細い糸のよう。
 国中から集められた御医たちは、皆一様に沈痛な面持ちで首を振る。


「……生命の気を、一滴残らず使い果たしておられます。龍神の加護が尽きれば、このまま魂が空へ還ってしまうやもしれませぬ」


 潤は、血の滲むような思いで彼女の傍らに座り続けていた。
 彼は三日間、一度も執務室に戻らず食事も摂らず、ただ彼女の冷たく小さな手を握りしめていた。
 かつて、触れることさえ忌まわしいと蔑んだその手は驚くほど細く長年の苦労を物語るように節くれ立っていた。