死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される



 それから雨は、三日三晩降り続いた。それは乾ききった大地を潤す天の恵みであると同時に、王宮の深淵に蔓延った醜い膿を根こそぎ洗い流す峻烈な審判の雨でもあった。

 王宮の正殿前、叩きつけるような大雨に打たれながら泥の中に無様に平伏しているのは、金大監とその一族および縁ある名家、そして離宮で瑞奈を無慈悲に虐げ続けた尚宮たちだった。
 彼らの前には、池から浮き上がった“呪いの木札”と、瑞奈を大逆罪に陥れるために金大監が各所に送った密書の数々に占い師を脅していたことなどが、動かぬ証拠として並べられていた。


「邸下! 誤解でございます! すべては民の動揺を鎮め、邸下や陛下を! 守るための苦肉の策で……ございます!」


 金大監が、泥水を啜りながら震える声で命乞いをする。
 だが、その卑屈な言葉は、冷徹な氷の刃のような眼差しを向ける潤によって断ち切られた。


「……民を鎮めるため、己の私欲のためか。そなたは、無実の彼女を殺そうとしたというのか。この私に、国の宝である巫女を自らの手で葬らせようとしたのか」


 潤の声は低く、地を這うような怒りに満ちていた。雨音さえも切り裂くその威圧感に、周囲の兵士たちも息を呑む。
 それはそうだ。巫女はこの国が作られた当初からいて災いなどから守ってきたと伝えられている。その末裔を虐げておいて無傷はおかしな話だ。
 それに今までの災い全ては、この男だったのだから。