瑞奈がこの静蓮閣に押し込められてから、三年の月日が流れていた。
婚礼の儀。それは、瑞奈の人生で最も輝かしい日になるはずだった。しかし、運命はあまりにも残酷な反転を見せる。
婚礼の直前、宮廷を牛耳る権力者・金大監がお抱えの占い師を使い、偽りの託宣を下したのだ。
『この娘は、龍の血を枯らす呪いの相を持っている。近づく者は死に、国は災厄に見舞われるであろう』
その言葉は、折悪く病に伏せっていた先妃が急逝したことで、決定的な事実として扱われるようになった。悲しみに暮れる宮廷は、瑞奈を先妃を殺した災いとして忌み嫌った。
そうして、婚礼の夜。一度も顔を合わせることなく、世子・李潤は寝所の外で、氷のように冷たい声で言い放った。
『私の前に二度と現れるな。そなたがここで息をしているだけで、母上の清らかな魂が汚される……この離宮で、生きながら死人のように暮らせ』
それ以来、瑞奈は“死んだ妻”となった。
世子が住む 蒼龍宮からの正式な仕送りは絶たれ、衣類は擦り切れた。
冬は暖を取る炭さえ満足に与えられない。凍える手足に息を吹きかけ、夜を明かす日々。
これでは、下民と同じだ。
それでも瑞奈の瞳からは、光が消えることはなかった。
(……この声が、届く限りは。私の命に意味はある)



