死んだはずの世子嬪は、すべてを知った夫に狂おしいほど愛される




「……っ……」


 潤の視界が、怒りで真っ赤に染まる。
 彼がゆっくりと顔を上げた時、その瞳にはもはや慈悲などなかった。

 信じていた者に裏切られた、修羅の眼だ。



「金大監……貴様だけは、地獄すら生温い苦しみを与えてやる」


 激しい雨の中、潤は冷たくなっている瑞奈を抱きしめたまま、立ち上がった。


「医官を呼べ。今すぐ、蒼龍宮に」


潤は、唯一信頼を寄せている内官・ 柳 端雨(ユ ダヌ)に託した。すると、端雨は「御意、直ちに手配いたします」と言い数歩下がり一礼してから立ち去った。

 それを見届けると、潤も歩き出す。

 国を救った少女の命を散らそうとした愚かな国と自分自身への復讐の幕が……上がろうとしていた。