その日は、朝から不吉な熱風が吹き荒れていた。
空気は焼けた鉄のように乾き、肺の奥まで火を吸い込んでいるかのように喉が裂けそうだった。
まるで、この国そのものが断末魔の悲鳴を上げているかのように。
――その絶望の渦中にあるのが、静蓮閣。
三年間、死んだものとして放置されていた古びた門はついに飢えと憎悪に狂った群衆の力によって打ち破られた。
護衛もいなかったのだから当然といえば当然だが。
「妖女を引きずり出せ!」
「雨を奪い、国を干上がらせた呪いの女を、龍神への生贄に捧げろ!」
地を這うような怒号とともに、容赦なく石が飛び交う。窓の格子が砕け散り、剥げ落ちた朱塗りの柱に新たなひびが入る。
その暴動の只中に、白馬に跨った世子である潤が現れた。
彼の表情は、陽光を跳ね返す凍りついた刃のように冷徹だった。
その背後には、勝ち誇ったように口元を歪め獲物を追い詰めた猟犬のような目をしている金大監が控えていた。
「……引き出せ」



