最近、俺には小野っちと言う友達が出来た。
もともとは四温の友達な訳だけど、大学で顔を合わすたびに少しずつ話しをすようになって、最近では小野くんから小野っちって呼び方が変わった。
そして今俺は、四温と小野っちの3人で何故かお化け屋敷にいる訳でー。
意外に思われるかもしれないけど、四温にはミーハーなところがあって、『今流行りの(いま はやりの)』と言う言葉に弱い。
『今流行りの〜』と言う文字がSNSに投稿されると、ついつい気になってしまう様で
「行ってみたいなぁ〜」なんて呟いたかと思ったらすぐに検索をしているし、なんならマップを開いて位置を確認したりもしている。
そこが今時の大学生っぽいと言えば、そうなのかもしれない。
今回も小野っちに今流行のお化け屋敷があるんだけど行ってみない?と誘われたのがきっかけだった。
[見るだけではなく、体験するお化け屋敷]
VRで仮想空間に入り込み、温度や風、振動や臭いまで再現された世界。
今、その場にいるかのような恐怖を味わえる、 新しいタイプのお化け屋敷⭐︎
と言うのがコンセプトらしい。
四温は断然乗り気だった。
「遊園地のお化け屋敷には行った事があるけど、白い着物を着たアルバイト君が追いかけてきて、なんか嫌だったんだよね〜、しかも電動の椅子がウイーンって動き出して冷めちゃったし。
かといって、ゾンビが追いかけてくるみたいなのはちょっとねぇ。
仮想空間っていう響きがすごくいいんだよぉ。一度行ってみたかったんだ。」
四温は俺の方に視線を向けた。
「小野っちには律も連れて行くって言っておいたから」
「おっ・・おう」
もう行く選択肢しか残っていないと思った。
「なあーっ四温、律さん、俺を2人の間に挟むようにして歩いてくれよおおおぉ」
「なんでだよ〜、僕がそうして欲しい位なのに」
「そんなに怖いんなら、なんでお化け屋敷になんて来たんだよ」
俺は2人にひっつかれて、歩きづらくて仕方がない。
まっ、俺もある意味お化けな訳だけど。
「「だってさー、彼女が今度のデートでこのお化け屋敷に行きたいって言うからさぁ。
「映像がすごくリアルで怖いって評判だから一度行ってみたいんだけど、皆んな嫌だって言って誰も行ってくんないんだよね。
だから一緒に行って欲しいの〜もちろん行ってくれるよね?」
なんて言われたら…。
当然、俺が守ってやるから大丈夫だよて言っちゃうだろ。
一緒に行く前に、どれくらい怖いのか確認しておきたかったんだけどー。まさかこんなに怖いなんて思わないからさーーっ」」
バイオハザードのゲームでさえ、あんなに怖いのに…。
夜中に一人でやってると、絶対一度は後ろを確認するよな。
小野っちは令和の技術を甘く見過ぎだと俺は思う。
その時、
生暖かい、ゆる〜〜〜〜い風が俺たちの首元をくすぐった。
「うわぁぁぁぁああ」
小野っちが背中を丸くして身をすくめ、首元を払うような仕草をしている。
何とも言えない、血生臭い匂いもしてきたけど大丈夫なのか?コレ
「バタン!!」
ドアが閉まる映像とともに大きな振動が伝わった。
「ひいいぃぃぃぃぃ」
2人は俺を1人残してその場から走り去っていった。
「おい、おいまじかよー、そんなに??」
俺はホラー系には強い方だけど、逆に2人の叫び声にびっくりする(笑
慌てて後を追いかけた。
2人は少し先を行った所で、ブルブル震えながら抱き合っていた。
「なんだよ。俺を1人残して先に行くとか…マジで怖がりだなあ。ほら、俺が先に行ってやるからしっかりしろよ」
何故かその時フッと気になって、壁のほうに目をやった。
何の画像も映し出されていない、、薄明かりの中で、白い壁がぼんやりと見えているだけ。
やけに静かで…かえって胸騒ぎを覚える。
「あれ?時が止まった・・」
さっきまでのリアルな映像空間とは明らかに違う。どうしたんだろう?
四温も小野っちもきっと同じ事を思ったに違いない。
「ん???」
2人とも眉間にシワを寄せて、薄明かりの壁に集中している。
その時前方から1つの黒い影が歩いてくるのに気がついた。
小さい頭に首がやけに長い……
一度止まって、辺りをグルンッと見渡したと思ったらまた歩き出した。
俺達に気づいてる?
ゆっくり、ゆっくり、確実に近づいて来るのが分かる。
俺たち3人はこれが再現された世界なのか、本当に体験している事実なのか全く分からない。
その場に固まって動くことさえ出来ない。
小野っちの「ゴクン」と唾を飲み込む音だけが聞こえてきた。
その影は、俺達の所までやって来てピタリと止まった。
前を見たまま顔を動かす事が出来ない。
影はそのまま静かに通り過ぎた。
「よかったぁ〜」
四温から心の声が聞こえた。
この影を再現だと確信した俺達は、後ろを振り返ってその後を追った。
その瞬間、俺達が振り返ったのに気が付いたのかクルリッと向きを変えてこっちに戻ってきた。
「はっ…えっ??なっ、なっ、なんで?」
壁には手をグーに握り締めている小野っちの影が写っていた。
小さい頭をぐわんぐわん揺らしながら近づいてきたそれは、小野っちの影を優しく抱きしめながら、
「誰にしようかなぁ〜、ちなみにこの手は誰の手?」
すぐ耳元でささやいた様に聞こえた。
「ひやあぁぁぁぁぁぁあああーーー助けてぇぇえええ」
四温と小野っちが全力で走り出した。
つられて俺も走り出した。
やばい………さすがに俺の充電も持たないかもしれない。俺達はギブアップボタンを押した。
今日はもう帰ろう!!やめだ、やめ!!
お化け屋敷に行っただけなのに、意外と時間がかかったようで、外は暗くなっていた。
小野っちは抜け殻のようになっていて、老け込んだように見えた。
突っ込むと怒られるそうだから言わないけど(笑)
四温も全然喋らない
まさか無言のまま家路に着く事になろうとは…
2人の衝撃の強さが伺えてちょっと笑える
「早く帰りたいから、この公園の中を通り抜けてあっちの道に出ようぜ」
小野っちが歩いて行く方に、俺と四温もついて行った。
「今日のあれは何だったんだろう〜。
あんな事って出来るもんなのかなぁ?
彼女にはあんまりオススメしないでおこうかな」
小野っちが小声でぼそっと呟いた。
「RVにしてもちょっとできすぎてたよね」
四温もかなり怖かったんだろうな。
明らかに声のトーンが低い。
「確かに怖いは怖かったけど、俺はお化け屋敷より夜の公園の方が怖いなぁ」
「律さんが?夜の公園…なんで?」
「なんでって…小野っちは聞いたことないの?
誰もいないのに、ブランコが急に揺れ出すとか、シーソーがバタンって動き出すとか」
「ちょっと、やめてくれよ、そーいう事言うの。
確かに昼の公園と夜の公園って雰囲気が違うよな。
てか、もっと早く言うか、言わないかにしてくんない?
なんかさっきから誰かが横に居るような……変な感じがするんだよなぁ」
小野っちの声が震えている。余計な事を言ってしまったのかもしれない。
その時隣にあったブランコがキィーと鳴いて、ゆらゆらと揺れ始めた。
「…………てる?…………ねぇ、聞いてる?…」
ん?人の声?辺りを見ますが俺達3人しか居ない。
聞き違いか?
「・・・てる?僕の・・こえ・・」
やっぱり聞こえる
「おい!なんか声がしない?」
俺がそう言うか言わないか
「オッ、オレ、やっぱりあっちから帰るわ!
じゃ、じゃあーーっ、またなぁーー」
よろけながら走り去る小野っちを、俺と四温は無言のまま見つめる事しか出来なかった。
その時、1人の少年が、俺達の間からヒョッコリ顔を出した。
「うわっっつ、?誰?」
びっくりしすぎて四温は口をパクパクさせるだけで言葉にならない。
「さっきのあのお兄さん、怖がりすぎだよー。全然僕の声が届かないんだもん…だめだよねぇ。
すぐ逃げてっちゃうしぃーっ(笑)
こっちのお兄さんは、なんだか僕と同じ匂いがするなあ〜。
もしかして〜お兄さんも幽霊とか?
でも、みんなに見えてるんだね。意思の疎通も出来るみたいだしー。
それで、こっちのお兄さんは…
あっ、よかったぁ〜。こっちのお兄さんも、僕の事が見えてるみたい。
お化け屋敷からずっと後をつけてきたんだけど、気付いてた?
僕、お兄さん達と一緒に居るって決めたんだぁ。
楽しそうだし!
これからしばらくの間、僕と仲良くして下さい」
ぺこりとお辞儀をする少年がそこに居た。
「………………??えええーーっ??」
何なんだ〜この天使みたいにかわいいお化??…は
暗闇の中でも輝いて見える。
俺の弟に少し似てるかも…。
「君…は……だれ?」
「僕?多分お化け?名前はジュンです」
「多分……って」
「えへへへ」
俺の腕に絡まり付いてあどけなく笑う少年。
俺達はもしかしたらとんでもない拾い物をしてしまったのかもしれない。
四温と俺は引き攣り笑いをするしかなかった。
もともとは四温の友達な訳だけど、大学で顔を合わすたびに少しずつ話しをすようになって、最近では小野くんから小野っちって呼び方が変わった。
そして今俺は、四温と小野っちの3人で何故かお化け屋敷にいる訳でー。
意外に思われるかもしれないけど、四温にはミーハーなところがあって、『今流行りの(いま はやりの)』と言う言葉に弱い。
『今流行りの〜』と言う文字がSNSに投稿されると、ついつい気になってしまう様で
「行ってみたいなぁ〜」なんて呟いたかと思ったらすぐに検索をしているし、なんならマップを開いて位置を確認したりもしている。
そこが今時の大学生っぽいと言えば、そうなのかもしれない。
今回も小野っちに今流行のお化け屋敷があるんだけど行ってみない?と誘われたのがきっかけだった。
[見るだけではなく、体験するお化け屋敷]
VRで仮想空間に入り込み、温度や風、振動や臭いまで再現された世界。
今、その場にいるかのような恐怖を味わえる、 新しいタイプのお化け屋敷⭐︎
と言うのがコンセプトらしい。
四温は断然乗り気だった。
「遊園地のお化け屋敷には行った事があるけど、白い着物を着たアルバイト君が追いかけてきて、なんか嫌だったんだよね〜、しかも電動の椅子がウイーンって動き出して冷めちゃったし。
かといって、ゾンビが追いかけてくるみたいなのはちょっとねぇ。
仮想空間っていう響きがすごくいいんだよぉ。一度行ってみたかったんだ。」
四温は俺の方に視線を向けた。
「小野っちには律も連れて行くって言っておいたから」
「おっ・・おう」
もう行く選択肢しか残っていないと思った。
「なあーっ四温、律さん、俺を2人の間に挟むようにして歩いてくれよおおおぉ」
「なんでだよ〜、僕がそうして欲しい位なのに」
「そんなに怖いんなら、なんでお化け屋敷になんて来たんだよ」
俺は2人にひっつかれて、歩きづらくて仕方がない。
まっ、俺もある意味お化けな訳だけど。
「「だってさー、彼女が今度のデートでこのお化け屋敷に行きたいって言うからさぁ。
「映像がすごくリアルで怖いって評判だから一度行ってみたいんだけど、皆んな嫌だって言って誰も行ってくんないんだよね。
だから一緒に行って欲しいの〜もちろん行ってくれるよね?」
なんて言われたら…。
当然、俺が守ってやるから大丈夫だよて言っちゃうだろ。
一緒に行く前に、どれくらい怖いのか確認しておきたかったんだけどー。まさかこんなに怖いなんて思わないからさーーっ」」
バイオハザードのゲームでさえ、あんなに怖いのに…。
夜中に一人でやってると、絶対一度は後ろを確認するよな。
小野っちは令和の技術を甘く見過ぎだと俺は思う。
その時、
生暖かい、ゆる〜〜〜〜い風が俺たちの首元をくすぐった。
「うわぁぁぁぁああ」
小野っちが背中を丸くして身をすくめ、首元を払うような仕草をしている。
何とも言えない、血生臭い匂いもしてきたけど大丈夫なのか?コレ
「バタン!!」
ドアが閉まる映像とともに大きな振動が伝わった。
「ひいいぃぃぃぃぃ」
2人は俺を1人残してその場から走り去っていった。
「おい、おいまじかよー、そんなに??」
俺はホラー系には強い方だけど、逆に2人の叫び声にびっくりする(笑
慌てて後を追いかけた。
2人は少し先を行った所で、ブルブル震えながら抱き合っていた。
「なんだよ。俺を1人残して先に行くとか…マジで怖がりだなあ。ほら、俺が先に行ってやるからしっかりしろよ」
何故かその時フッと気になって、壁のほうに目をやった。
何の画像も映し出されていない、、薄明かりの中で、白い壁がぼんやりと見えているだけ。
やけに静かで…かえって胸騒ぎを覚える。
「あれ?時が止まった・・」
さっきまでのリアルな映像空間とは明らかに違う。どうしたんだろう?
四温も小野っちもきっと同じ事を思ったに違いない。
「ん???」
2人とも眉間にシワを寄せて、薄明かりの壁に集中している。
その時前方から1つの黒い影が歩いてくるのに気がついた。
小さい頭に首がやけに長い……
一度止まって、辺りをグルンッと見渡したと思ったらまた歩き出した。
俺達に気づいてる?
ゆっくり、ゆっくり、確実に近づいて来るのが分かる。
俺たち3人はこれが再現された世界なのか、本当に体験している事実なのか全く分からない。
その場に固まって動くことさえ出来ない。
小野っちの「ゴクン」と唾を飲み込む音だけが聞こえてきた。
その影は、俺達の所までやって来てピタリと止まった。
前を見たまま顔を動かす事が出来ない。
影はそのまま静かに通り過ぎた。
「よかったぁ〜」
四温から心の声が聞こえた。
この影を再現だと確信した俺達は、後ろを振り返ってその後を追った。
その瞬間、俺達が振り返ったのに気が付いたのかクルリッと向きを変えてこっちに戻ってきた。
「はっ…えっ??なっ、なっ、なんで?」
壁には手をグーに握り締めている小野っちの影が写っていた。
小さい頭をぐわんぐわん揺らしながら近づいてきたそれは、小野っちの影を優しく抱きしめながら、
「誰にしようかなぁ〜、ちなみにこの手は誰の手?」
すぐ耳元でささやいた様に聞こえた。
「ひやあぁぁぁぁぁぁあああーーー助けてぇぇえええ」
四温と小野っちが全力で走り出した。
つられて俺も走り出した。
やばい………さすがに俺の充電も持たないかもしれない。俺達はギブアップボタンを押した。
今日はもう帰ろう!!やめだ、やめ!!
お化け屋敷に行っただけなのに、意外と時間がかかったようで、外は暗くなっていた。
小野っちは抜け殻のようになっていて、老け込んだように見えた。
突っ込むと怒られるそうだから言わないけど(笑)
四温も全然喋らない
まさか無言のまま家路に着く事になろうとは…
2人の衝撃の強さが伺えてちょっと笑える
「早く帰りたいから、この公園の中を通り抜けてあっちの道に出ようぜ」
小野っちが歩いて行く方に、俺と四温もついて行った。
「今日のあれは何だったんだろう〜。
あんな事って出来るもんなのかなぁ?
彼女にはあんまりオススメしないでおこうかな」
小野っちが小声でぼそっと呟いた。
「RVにしてもちょっとできすぎてたよね」
四温もかなり怖かったんだろうな。
明らかに声のトーンが低い。
「確かに怖いは怖かったけど、俺はお化け屋敷より夜の公園の方が怖いなぁ」
「律さんが?夜の公園…なんで?」
「なんでって…小野っちは聞いたことないの?
誰もいないのに、ブランコが急に揺れ出すとか、シーソーがバタンって動き出すとか」
「ちょっと、やめてくれよ、そーいう事言うの。
確かに昼の公園と夜の公園って雰囲気が違うよな。
てか、もっと早く言うか、言わないかにしてくんない?
なんかさっきから誰かが横に居るような……変な感じがするんだよなぁ」
小野っちの声が震えている。余計な事を言ってしまったのかもしれない。
その時隣にあったブランコがキィーと鳴いて、ゆらゆらと揺れ始めた。
「…………てる?…………ねぇ、聞いてる?…」
ん?人の声?辺りを見ますが俺達3人しか居ない。
聞き違いか?
「・・・てる?僕の・・こえ・・」
やっぱり聞こえる
「おい!なんか声がしない?」
俺がそう言うか言わないか
「オッ、オレ、やっぱりあっちから帰るわ!
じゃ、じゃあーーっ、またなぁーー」
よろけながら走り去る小野っちを、俺と四温は無言のまま見つめる事しか出来なかった。
その時、1人の少年が、俺達の間からヒョッコリ顔を出した。
「うわっっつ、?誰?」
びっくりしすぎて四温は口をパクパクさせるだけで言葉にならない。
「さっきのあのお兄さん、怖がりすぎだよー。全然僕の声が届かないんだもん…だめだよねぇ。
すぐ逃げてっちゃうしぃーっ(笑)
こっちのお兄さんは、なんだか僕と同じ匂いがするなあ〜。
もしかして〜お兄さんも幽霊とか?
でも、みんなに見えてるんだね。意思の疎通も出来るみたいだしー。
それで、こっちのお兄さんは…
あっ、よかったぁ〜。こっちのお兄さんも、僕の事が見えてるみたい。
お化け屋敷からずっと後をつけてきたんだけど、気付いてた?
僕、お兄さん達と一緒に居るって決めたんだぁ。
楽しそうだし!
これからしばらくの間、僕と仲良くして下さい」
ぺこりとお辞儀をする少年がそこに居た。
「………………??えええーーっ??」
何なんだ〜この天使みたいにかわいいお化??…は
暗闇の中でも輝いて見える。
俺の弟に少し似てるかも…。
「君…は……だれ?」
「僕?多分お化け?名前はジュンです」
「多分……って」
「えへへへ」
俺の腕に絡まり付いてあどけなく笑う少年。
俺達はもしかしたらとんでもない拾い物をしてしまったのかもしれない。
四温と俺は引き攣り笑いをするしかなかった。

