「貴方がここに来た理由は何ですか?」
真っ直ぐに僕を見る目に緊張が走る。
うわぁー、この人マジな方かもー。ヤバいなぁ
「えっーーーとぉ、何て言いますか、、、そのお、霊視して貰いたくて」
「はい、守護霊とかオーラの色が知りたいと言う事ですか?」
「いえ、そーいう事では無くて、、
「信じて貰えないかも知れないんですけど、僕には一緒に住んでいる幽霊がいて、最近そいつ元気がないんです。なんか考え事してるって言うのか」
「・・・・・・・・・・はい??」
凄い顔してる,やっぱり信じて貰えないよなぁ。
「えーっと、それは貴方自信、幽霊が見えるという事ですか?」
「いえ、他の幽霊は殆ど見えないんですけど、1人だけはハッキリと(ジュンは見えたっけなぁ、まあいいや)」
「うーん、貴方には一緒に住んでいる幽霊がいて、最近元気が無いから心配だ、と言う事ですか?」
「そうなんです。なんか考え込んでるみたいで。
先生、幽霊って突然消えて居なくなるもんですか?僕、心配なんです」
「えーっ、その幽霊さんは何歳位ですか?」
「大学生です」
「大学生・・顔とか姿がハッキリ見えるって事ですか?」
「まあ、そうです」
「でも怖く無いと…」
「はい、凄くいい奴なんです」
「女の人ですか?」
「・・・・・」
「嫌なら言わなくても大丈夫ですよ。ちなみに私のパートナーは女性ですけどね」
「・・えっとぉー、男の人です」
「今までいろんな方を見てきましたが、初めてのパターンで〜すいませんねー。こちらが困惑してますね。ハハハ」
「そうですよね…」
「貴方が一番気になっているのはその幽霊が消えてしまわないか、自分の前からいなくならないかと言うことですか?それとも何か考え事をしている?それを知りたいということですか」
「まぁそんな感じです、両方かな」
「そうですね〜、一般的に思い残す事がなくなれば消えてしまいます。ですが、思いが強ければ残り続けることもあります。考え事をしていると言う事は何か思いが残っているような気がしますね。」
「そうなんですか」
「一度あなたを見させてもらってもいいですか?」
「見る?僕を…?」
軽く目を閉じて深呼吸で呼吸を整えている。
パッと目を開いた時,目の玉が左右に揺れた様な気がした。
その女の人(先生)は僕の頭の少し上の方をじっと見ている。
「あれーーっつ、おかしいなぁ?何でなんだろ…
見えるはずなのになぁ」
「えっ?」
「一緒に住んでいて、貴方にも見えている。
しかも悩んでいるんですよね?」
「はい」
「と言うことは貴方に憑いているはずなんですよね。
しかも念が強いから絶対に見えるはずなんですけど、隠れてるのかしら?いゃ〜でも思いが溢れ出てるはずなのに」
「そーなんですか」
「まさか問題が解決して成仏しちゃったとか….」
「そんな…」
「もう一度よく見せてくださいね。ちょっとこっち向いてくれる?そうそう、もっとこっち側に、、、あ〜〜やっぱり見えないわぁ。
私が歳をとったから能力が落ちたのかしらぁ」
ハッ!!とした。
そうだ、律はAIと同化して個体になってるんだから、僕に取り憑いている訳ではなかったんだ。
流石にこれは説明しづらいな〜。
「先生、幽霊でも一緒に生き続ける事は可能なんですか?」
「ええ、可能だけど、本来行くべき所に行った方が良いとは思いますよ。でもなんで見えないのぉ〜〜〜」
話を変えるべきかなぁ?
先生が自信を無くしても困るし。
「大体のパターンだと、何故ここに自分が居るのか分からないとか、伝えたい思いがあっても伝わらないジレンマに怒りを感じてるとかが多いんだけど、貴方とその幽霊さんは意思疎通が出来てるんですよね?しかも貴方はその幽霊さんを大切に思っているとー。
その気持ちのままだったら一緒に居続ける事は可能だと思うわ。
それって凄いことよ!!」
その時ハッとした様に『あっ、しまったぁ、忘れてた〜』と言いながら後ろの時計に振りむく先生。
16時35分…
「ごめんなさいね、もうお時間すぎてたわ」
「あっ、大丈夫です。今日はこれくらいで…お幾らになりますか?」
「学生さんは10分1,000円頂いてます。今日は見えなかったから20分2,000円でお願いしますね」
「いいんですか・・・」
「はい、勿論」
会計を済ませると先生がドアを開けて僕を送り出してくてた。
えっ、なにこの人混み?さっきまで僕達2人しか居なかったのに。
たった30分で席が満杯になってる!
やっぱり凄い人なんだ
「ありがとうございました。また是非お越しください。
あっ、私から一つだけあなたにアドバイスを差し上げますね。
今日初めて会った女の子には気を付けなさいね」
「えっ?」
「では次の方、お入り下さい」
1番前に座っていた女の人が部屋の中に消えて行った。
「あっ、ユイちゃん?」
中に入って行ったのはユイちゃんじゃない。
他の女の人だった。
僕は慌てて受付用事を確認しに行った。
ユイの名前は二重線で消されていた。
「何処に行ったんだろう・・」
僕は一階に続く階段を降りて行った。
入り口の所に小野っち、小野っちの彼女、亮が立っているのが見えた。
「おっ、シオーン、こっち〜っ」
亮が僕を見つけて手を振っている。
「もしかして待った?」
「ううん、俺達も今出てきたところ。
小野っちと彼女が一緒に占って貰ったから2人で20分だろ、俺は聞きたい事さえ聞ければいいから10分で切り上げてきたよ〜。で四温はどうだったの?」
「うん、あっという間に時間が経ってたよ」
「じゃあ、よかったって事だな。」
「そーだね。亮はどうだったの?」
「俺の将来の彼女はまだ現れないらしいよ。完璧を求めない方がいいってさー。俺そんなに求めてるかな?」
「うーん、どうだろうな、まぁ、そこそこ」
小野っちの彼女の風香ちゃんが何かに気づいた様にこっちに振り返った。
「あれ?四温君、ユイは?ユイと一緒じゃなかったの?」
「あっ、そうなんだよ、見てもらって部屋から出てきたらユイちゃんの姿が消えてたんだよ。何処に行ったんだろう?」
全員で辺りを見回した時、ユイちゃんが笑顔で手をふりながらこっちにやって来た。
「ごめんねー。
四温君が霊視して貰うの長くなるかなって思って、他のブースを覗いてみたの。そしたら手相が空いててぇー。そっちで見て貰ってた」
「そうか、じゃあこれで全員揃ったな。えーっと、今は17時、これからどうする?どっかで飯でも食ってく?」
「ごめん、僕は帰るよ」
「四温が帰るなら俺も帰ろうかなぁ」
亮は聞きたい事が聞けたからもう満足したんだろう。
「2人とも帰るなら俺達も帰るかぁー、なら途中まで一緒に行こうぜ」
僕達は占いの館を後に歩き出した。
ユイちゃん、ペットの事を聞かなくてよかったのかなあ?
そんな事を考えていたら、知らない間に別れ道まで来ていた。
「今日はありがとう、僕、こっちの道だから。またな」
「おう、四温気を付けて帰れよ。またメールするよ」
「うん、バイバーイ」
僕だけが左に折れた。
律は何してたのかなぁ?
一応誘ってみたけど、やめとくって断られたしなぁー。
夕方って夏の匂いがしない?僕はこの匂いを嗅ぐのが大好きなんだよなぁ。そんな事を考えながら帰り道を歩いてた。
「くーーん、四温くーーん」
へっ?
僕の名前を呼んでる声がして後ろを振り返った。
ユイちゃん・・・?
「あれ?ユイちゃん、どーしたの?」
皆んなと一緒に真っ直ぐ歩いて行ったんじゃなかったっけ?
「やっと追いついたぁー、四温君って歩くの早いんだね」
ぜいぜい息を切らしながら胸元に手をおいて呼吸を整えている。
「四温君とどーしても話たかったの」
首筋の汗がキラッと輝いているのが見えた。
*****
四温がいない部屋って何でこんなに無機質なんだ?
もうすぐ夕方の5時かぁー。
なにやってんのかなぁ?
そこら辺を散歩しがてら迎えに行ってみようかなあ。
会える保証も無いし、待っていれば必ず戻って来るのは分かっているのに…やっぱり迎えに行く事に決めた。
生暖かい風にあたりながらブラブラ歩くのも悪くない。
会えたら逆に怖いわ…ドラマの世界だよな
角を曲がろうとした所で、見たくないドラマの世界が本当に待っていようなんて誰が思う??
可愛い女の子がスマホをかざして四温に話しかけている場面なんてさ。
四温からは背後になっているから俺には気づかないだろう。
「そうかぁー。そうだよな。そう言う人生も有るって事だよな」
あっちの道から帰るかな…
*****
「ねぇ、皆んなはこのまままっすぐ行くの?」
「あぁ、俺はあの信号で左に行くけどね」
「ふーん、亮君は信号で左かぁ、風香と彼氏は真っ直ぐ行くんだよね?」
「そーだけど」
私、ちょっと寄るとこ思い出したから戻るわ、またねー」
「そうなんだぁ、じゃあまた」
「俺もこっちだからさ、後で連絡するよ」
「おぅ、またなー亮」
「なぁ風香、、なんで急にユイちゃんついて来たんだよ。お前らって仲良かったっけ??」
「仲?そんなに良くないよ。大勢では遊んだりするけどね。2人では無いかなあ」
「だろーっ、じゃあなんで?」
「決まってるじゃん、四温君狙いなんだよ」
「はっ、何?おいおい、俺の大事な友達だぞ」
「分かってるよー、でも仕方なかったんだってば。
今日、小野っちが占いの事で連絡くれたでしょー。
その時スマホを見てたらユイが勝手に画面を覗き込んで来たんだよね〜。
たまたま亮君と四温君と小野っちの3人で写ってる写メを開いちゃって。
ユイ、四温君の事ガン見してたから間違いないと思うわ。
誰、この人達、今日どっか行くの?って質問攻めよ。
終いには『私も占いに行ってみたい〜。』って言い出してさあー。
『占いなんて興味ないでしょー』って言ったんだけど
言い出したら聞かなくって。
ユイの常套手段はペットを大切に思う可愛い女の子なんだよね。
実際可愛いからねー、それで何人ものバカ男が騙されてるんだけど」
「そっ、そーなんだ。なんか怖いな」
「四温君は騙されないと思うけど、どーなのかなぁ?」
ペットの話されてたらヤバいかもね。
今度何気に聞いてあげてよ。
すでに恋がスタートしてたら困っちゃうけど(笑
ガチャ
「ただいまーっ」
「・・・・・」
あれ?律、いないのかな?
探しに行った方がいいかな。
そう思っていた時、玄関のドアが開いた。
「律?おかえり」
「あぁ、ただいま。四温は今帰って来たばっかり?」
「うん、そーだよ。律は?」
「そこら辺、ブラブラしてた」
「そーかぁ、僕ちょっと汗かいたから軽くシャワーを浴びて来るよ」
「あぁ、そうか」
あれ?まだ元気ないのかなぁ?
気になるけどとりあえずシャワーで汗を流したい〜。

