「どんな時に人は恐怖を感じるのか?
痛みへの恐怖
暗闇への恐怖
老いる恐怖
死への恐怖…
なに、お前 カウンセラーにでもなるつもり?」
「うわっ!!お前いつからいたんだよ、勝手に人のパソコン覗くなよー」
学校の図書館で1人で調べ物をするつもりだったのに小野っちから何処にいるの?ってメール貰って。学校の図書館って言ったら俺も行くって連絡が来ちゃったんだよなー。
「いやいや、声かけただろう。ボーッとしてたのはそっちだかんな。
そんな事より夏休みの課題が山積みなんだよー。
家にいると全然やる気がでないしさぁ。
ここは涼しくていいよな〜。で、結局お前は何を調べてんの?」
「あーっ、うん、調べてるっていうかー、」
「そう言えば後で亮も来るって言ってたよ。夏休みでも、結局こうやって学校に来てたらいつもと変わんねーよな。俺、あっちで資料ないか探してくるわ」
「あぁ、じゃあ」
僕は小野っちの後ろ姿を見送った。
律が何かに不安を感じているのは前から思っていた事。
人はどんな事で恐れを抱くのか、恐怖を感じるのかを調べてはみたけど。
失う事への恐怖、恥をかく事への恐怖、未来への恐怖、人への恐怖、忘れられる恐怖…etc
「はあぁーーっ、こんなに種類があるんだ」
律の恐怖はなんなんだろう?
「あっ、そうだ」
僕はパソコンを叩いた。
『キスをしてくれないのは何故か』
倦怠期、他に好きな人がいる、余裕が無い、
キスの価値観が違う、失う事への恐怖・・・
そうかぁ、律の事ばっかり考えてたけど、律の恐怖は僕の恐怖でもあるんだよなぁ。
『幽霊はいつまで存在出来るのか』
もう一つ気になっていたワードを検索してみた。
一定期間で消滅する説
場所や未練に依存する説
供養するまで存在する説
僕のキャパを軽く超えて行く。いっその事、本人に聞いてみようかー?
でも言ってくれるのかな〜。
何か変わった事ってあったっけ?……うーーん
最近考え事してるのが多くなったかも。
あとは〜そうだ、手!!
手をじっと見てるかも。幽霊にも手相とかあるのかな?
とりあえずパソコンを閉じた。
僕も小野っちみたいになにか資料がないか探してみようかなぁー。
席を立ち上がって後ろを振り向いた時、亮が中に入って来るのが見えた。
「亮、こっちこっち」
「おっ、四温、小野っちは?」
「向こうで資料探してるよ」
「ここは涼しくていいよな。俺なんてはっきり言って涼みに来ただけって感じだけど」
「そーなのかよ」
「あれ?今日は律さんいないの?いつも一緒につるんでるのに」
「うーん、まあね」
「ふーーーん、なんかあった?」
「いや、誘ったんだけど用事があったみたいで」
僕と律が一緒に住んでるのは2人だけの秘密にしてある。
「あっ、まさか俺達の事避けてるって事じゃないよな?」
「いや、それは無いよ」
「なら良いんだけど。律さんってどっか影があるんだよなあ、そこが魅力的なのかもしれないけど(笑)
「おっ、亮。今来たのかよ」
いつの間にか小野っちがこっちに戻ってきてた。
「よっ、小野っち、資料は見つかったのか?」
「あぁ、コピーもして来たよ」
「僕も資料ないか探してくるよ」
「四温は何を探すつもり?俺も手伝うよ」
「うーん、霊の存在とか、生きるとはなんだ・・みたいな?」
「四温、お前・・・・・・」
「なんで僕がこんな所につれてこられなきゃいけないんだよー!」
「いや、だってお前があんな事言うからさ〜」
僕、小野っち、亮の3人はお香の匂いが漂うビルの一階の椅子に座らされている。
「俺の彼女がタロット占いに興味があってさぁ。ここ、すっごく当たるって評判らしいんだよ。
今から友達つれて来るって言うからさー。四温も一緒に見てもらおうぜ」
なんでだよー。彼女とかって僕と関係無くない?
もっとゆっくり資料を探して調べたかったのに!
「俺もついでに占って貰おうかなあ、将来の彼女がいつ頃現れるとかさぁ〜〜」
亮、お前もそっち側なのかよ。
ここは俗に言う占いの館みたいな建物。
中にはタロット、手相、四柱推命、霊視などがあって自分の好きな占い師さんがいる部屋の前に並ぶシステムみたい。
「あっ、来た来た、お〜い、こっちこっち、
紹介します、これ、俺の彼女」
「初めてまして〜。小野っちの彼女の風香です。四温君と亮君ですか?
話はよく聞いてるんですけどお会いするのは初めてですねー。宜しくお願いします。
お2人もなにか悩み事があるんですか?
ここすっごく当たるから是非一度試してみて下さい。
あっ、こっちは友達のユイです。今日はこの子も占い初挑戦なんですよ」
「ユイです。宜しくお願いします」
「あぁぁ、宜しく」
軽く自己紹介をして僕と亮は2人にペコリとおじきをした。
「私的にはタロットがオススメですけど、どーします?
霊視も当たるって評判ですけど」
「僕、初めてだから何が良いのかよく分かんないから」
「こいつは、霊の存在が知りたいみたいだけどなぁ」
彼女がいるからって小野っちは余計な事をー。
「あっ、因みに俺は彼女がいつ頃出来るのかとか、どんな子が俺と合うのかとか聞きたいなあ」
あれ?亮って割と本気モードだったんだ。
「なら、亮君はタロットがオススメだと思うなぁ。
四温君は霊視に並んでみたらどうかな?
見えるって噂ですよ。ふふふ」
「そ、そうなんだ、見えるんだ・・・」
「ユイは何処にするの?」
「うーん、私も霊視にしようかな」
「なら、小野っちと私と亮君は一緒に向こうの部屋の前で待ってよー。四温くんとユイは2階だからね。
階段上がったら何個か部屋があるけど、霊視って書いてあるところに並べばいいから。終わったらまたここに集合ね」
「あっ、ああ…分かった。じゃあ、そー言う事で。ユイちゃん、2階に行こうか」
「そーですね」
霊視、霊視と…あった。本当にあるんだー。
ドアの前には受付用紙が置かれている。
『午後の部 ー 16時から10名様に達するまで』
■名前を書いてから番号札を取ってお待ち下さい
今は15時50分 僕達しかいない。
「ユイちゃん、1番に名前書く?」
「ううん、四温君が1番でいいよ。私は2番に書くね」
① シオン
② ユイ
③
④
⑤
「これでいいんだよね?」
「いいと思う」
番号札を取ってからドアの前に並べられた椅子に2人で並んで腰掛けた。
「椅子が沢山並んでるね」
「本当だね」
「・・・・・・・・」
なにこの状態は??
気まずい!!こんな所で無言は気まず過ぎるってー。
「あっ、えーと、ユイちゃんは何で霊視を見てもらおうと思ったの?」
「うーん、私、最近可愛がってたペットを亡くしまって。いつも一緒だったから居て当たり前だと思ってたんだけど、そうじゃないんだなって思ったの。
今は天国で幸せに暮らしているのか聞きたくって」
「へぇー、ペットかぁ………何を飼ってたの?」
「うさぎだよ」
「耳のたってる子、それとも寝てる子?」
「立ってる子」
「写メとかあるの?」
「あるんだけど、見ちゃうと悲しくなるから見ないようにしてるんだぁ」
なんていい子なんだ…
「ごめんね、思い出させる様な事を言っちゃって」
「ううん、四温君は何を占って貰うつもりなの?」
「僕・・・。僕は」
ガチャッ
部屋のドアが開いた。16時キッカリだ。
「1番の方、中にお入り下さい」
長い黒髪の小柄な女性が顔を出した。
40代位かな?
「あっ、はい。ユイちゃん、本当に僕が先でいいの?」
「うん、私は後でいいよ」
「そう?じゃあ、お先に」
「いってらっしゃーい」
僕はドアそっと閉めた。
両端には盛り塩が置かれている。
部屋の中は紫色のレースで飾られ、テーブルの上には大きな水晶玉でも置かれているんだろう…なんて勝手に想像していたけど、四角いテーブルには砂時計とメモ帳が置かれているだけのシンプルな部屋だった。
テーブルの上にかろうじてクロスがかけられている程度。
「番号札をお預かりします。こちらの椅子にお掛け下さい」
「は、はい。お願いします」
「基本は今から20分です。タイマーをセットさせて頂きますね。
20分で砂が落ち切るように作られた砂時計です。
ここに置かせて頂きます」
そう言うと、砂時計を僕達の間に置いた。
僕の顔を見たまま説明を続ける。
私の後ろの壁に時計が掛けてあります。今は16時です。
16時20分までになります。10分毎に料金が加算されますのでお気をつけ下さい。
「それでは始めましょうか〜。
貴方がここに来た理由は何ですか?」

