Scene 10.
それぞれの仕事に追われているように見える、ある事務室の中。気だるい午後にふさわしく、一部の者たちはモニターを前にしたままこっくりこっくりと襲い来る眠気を懸命にこらえていた。落ち着いた空気の向こうから、怒り心頭の声が全員の気だるさを一瞬にして吹き飛ばした。
部長 : いい加減にしろ!!
全員の注目を浴びてもなお、怒り心頭の声は止まなかった。前に立たされてしおしおに萎縮した知暎(ジヨン)へ浴びせられる叱責が続いた。
部長 : どうしたっていうんだ!! 姜知暎さん!! 俺が姜知暎さんだけ叱ってるうちに、寿命が縮みそうなんだよ!! 理由くらい言ってくれ!! あ!?
知暎 : あ、部長、あの。大したことじゃなくて。私が。
部長 : 具合悪いって病院行かせたら! 駐車場で寝てるのを俺が起こしに行かなきゃならなかったのか!? あ!? 病院には行ったのか? あ!? 診療記録は、あ? せめて、処方箋くらいはあるのか!? あ?
知暎がもたもたとした手つきでブレザーの内ポケットからくしゃくしゃの処方箋を取り出した。部長がひったくるように知暎の手に握られていた処方箋を奪い取っては、中身を確かめた。
部長 : 日付は今日で合ってるな。
知暎 : あの、私、最近貧血が少しあるみたいで。何か、身体も痛むし、しきりに意識も朦朧として。
部長 : だから寝なきゃいけなかったのか?
知暎 : あの、眠ったんじゃなくて、たぶん。
部長 : なに、気絶でもしたのか? 業務量が多くて貧血になったのか? あ?? 労災扱いでもしてやろうか? あ!?
知暎 : あ、そういう意味じゃなくて。その。
部長 : じゃあ何だ!!!
部長のやるせない怒号に、知暎は格別の言葉を継ぐこともできないまま、大声に反応するように身を竦めた。
部長 : 俺がこうなったら、昇進書類にサインできないぞ!! 業務処理は担当随一だと偉そうにしてるくせに!? 度胸か!? あ!? 知暎さんがいなきゃ、会社回らないとでも思ってるのか!? 今回の昇進候補が姜知暎さんだって、わかっててやってるんだろ!? 度胸試しだろ!? そうだろ!? 俺と意地の張り合いしてるんだろ!?!
知暎 : 申し訳ないんですけど、部長……。いくら考えても、そんなことは私、言った覚えが——
部長 : どの口で口答えしてんだ!!
一喝に近い怒号を最後に、荒く追い立てるような息だけを吐くばかりで、部長は何も言わず知暎を睨みつけているだけであった。四十代後半の年齢に見える、ある中年男の怒号は長くは続かなかった。
部長 : 日本支社から来た会計資料あるだろ。あれ昨日翻訳したっていったな。持ってこい。今すぐ。
知暎が軽く頭を下げては背を向け、自分の席へ歩いていった。しばらくして、すっかり萎縮した知暎がファイルごと部長へ手渡した。分厚い書類の束の中にびっしりと記された数字と外国語を見比べながらしばらく確認した部長が、溜め息を吐きながら書類を再び閉じた。
部長 : は。まったく。
知暎 : あ、間違いはないはずなんですけど。印刷まで全部終わらせたんですが……。電子署名は受けないとおっしゃって——
部長 : わかってる!! わかってるから溜め息ついてんだ!! 姜知暎さん! 最近社員の間であだ名が何か知ってるか?
頭を下げたまま立っていた知暎が、しばし部長の様子を窺った。
部長 : ポンコツエリートだよ。ポンコツエリート。
部長の声に、知暎の背後に座る一部の社員たちがくすくすと笑いをかろうじて堪えているようだった。知暎がそれに同調するようにへへっと笑いながら後ろを振り返った。そんな知暎に向かって部長が鋭い目つきでもどかしげな怒声を再び激しく浴びせた。
部長 : おい!! 笑えるか!? これが!?
部長の怒声にくすくす笑う声はたちまち収まった。知暎がすぐさま萎縮した姿で部長へ向き直り、再び頭を下げた。
部長 : 日本語と梵語と漢字語ができるから座らせてやったのに、生活は本当に零点だな。昇進する気はあるのか? 万年代理で留まるつもりか?
部長の声がいくらか落ち着いた時、知暎がちらりと様子を窺った。
知暎 : 私の年で代理も高——
部長 : おい!!
怒声を浴びせた部長がしばし怒りを鎮めては、面倒くさそうに顔をしかめながら引き出しを漁った。ファイルの上にもう一枚の紙を載せて知暎へ渡した。
部長 : 早退届だ。帰って少し寝ろ。駐車場で居眠りするんじゃなくて。どうせ一度や二度病欠扱いにしたわけでもないんだから。明日休みたきゃ休め。
知暎がファイルを両手で受け取った後、口元をひくつかせた。
部長 : 行け。早く。面も見たくないから。昇進審査は、俺も知らん。代理で満足してろ。
知暎が深々と腰を折った後、ファイルを手にちょこちょこと小走りで席を離れた。パーテーションで仕切られた席に戻って身を沈めた知暎が、比較的整頓された机の上をもたもたと片づけた。かけていた眼鏡を外して引き出しの中へ入れてはファイルをブックスタンドの上に載せた。上に置かれていた紙は机の引き出しの中へ入れては、身軽に席から立ち上がった。気落ちした姿と具合の悪い気配は必須であるかのように、席を立つやいなや身軽さの代わりに、病弱で疲弊して気力すらなく、意気消沈まで含めた表情を拵えた。書類鞄を胸に抱えた知暎が、部署の事務室の入口で深々と腰を折っては、その場をそっと離れた。
Scene 11_01.
荒れたアパートの外観とは異なり、所姬(ソヒ)が暮らす家の中はなかなかに居心地の良い佇まいであった。白い新しい食卓を真ん中に据え、向かい合って座った連曦(ヨンヒ)と始緣(シヨン)の前に茶碗が置かれていた。所姬が冷蔵庫から取り出した冷たいハーブティーを二人の空の杯に注いだ後、自分の座る空席に置かれた茶碗へ注いでは食卓の真ん中に下ろした。空席に身を下ろした所姬が、まず渇きを鎮めようと茶をがぶがぶと飲んだ。連曦も慎重に茶碗を両手で支え持った後、まだまだ暑い気候に渇きを覚えていたのか、乾いた唇を潤そうと冷たい茶を飲んだ。始緣がそんな所姬と連曦をじっと見ながら様子を窺っていた。
所姬 : 慣れないでしょ?
所姬の問いに始緣が腕を組んでは脚を組んで座り、頷いた。始緣の長い脚が連曦のふくらはぎを無頓着に触れた。始緣がむしろ狼狽え、椅子の奥深くまで身を引いて座り、連曦の脚に触れないように身を正した。
所姬 : 知暎オンニを見て驚かないように、直接あんたの目で見る方がいいかなと思って。ちょうど、所長もこの近くで最初の仕事が始まったからお迎えできたし。テレビみたいに向かい合っても死なないってことも教えるついでに。
始緣 : あ。確かにそうだな。
所姬 : そうしたら、いきなり銃からぶっ放すってどういうことよ。
連曦 : 私は大丈夫です。慶瑞(慶瑞:ギョンソ)がきちんとお伝えしてくれたようで、むしろ良かったです。
連曦の声と所姬の声は知暎や始緣自身の声のようにほぼ同じであった。しかし話し方はだいぶ異なっていたため、始緣は容易に区別できた。ふと始緣がきまり悪い表情をそっけない不満に変えながら、連曦に詰め寄るように言った。
始緣 : さっき謝った。ちゃんと。
ぶっきらぼうに伝える始緣の声も連曦にとって馴染みのないものではなかった。短かった電話越しの声が、連曦の脳裏に浮かんだ。連曦が薄く微笑みながら始緣の言葉に肯くように頷いた。
所姬 : 今日、どうだった。
始緣 : クソだったよ。殺してえ女のツラが一瞬見えてカッとなったんだけど、殺したら元の顔に戻ってた。あの、姜知暎? あの人が来てから誰も死んでなかったってわかったから助かったけど、シバル、あたしがマジで人殺したと思ってどんだけビビったか。
嘆息に近い始緣の愚痴を聞いた連曦が、怪訝そうに所姬をしばし見やった。
所姬 : ええ。始緣は今、呪術にかかっているんです。
連曦 : その呪術。いえ、あの人。今、手配中のはずなのに、どうやって。
所姬 : 策士と意が合ったからです。
連曦 : 策士は一人では動きません。いつも私——
連曦がしばし言葉を止めた。何かを明かすまいとする連曦の意図であったが、所姬が知らぬはずもなかった。だからといってわざわざ明かそうともしなかった。連曦が言葉を止めたまま、しばし思考を巡らせた。
所姬 : とにかく。私たち四人は、鍵の候補者という口実で人が死なないように事を運びます。
連曦 : 今日のようにやればいいのでしょうか。
所姬 : 今日のようにうまくいくなら、ですけど。
所姬の言葉に連曦が何かを考えては、虚脱した微笑みを口元に湛えながら頷いた。連曦が軽く浮かべていた自暴自棄な微笑みと共に、始緣の様子をちらりと窺った。
連曦 : 肩は、少しましですか。
始緣 : すぐ治る。
所姬 : すでにお話しした通り、始緣は使節(使節:シセツ)を宿しています。
所姬の言葉に連曦が再び深い思考を巡らせた。慎重に伝えようとする問いであった。始緣が所姬と連曦の様子を窺っていた。
連曦 : 本当に、門を——
唐突に、始緣の怒声が降り注いだ。
始緣 : ああもう!! もどかしい!! わかるように話せよ!! つーかさあ!
それぞれの仕事に追われているように見える、ある事務室の中。気だるい午後にふさわしく、一部の者たちはモニターを前にしたままこっくりこっくりと襲い来る眠気を懸命にこらえていた。落ち着いた空気の向こうから、怒り心頭の声が全員の気だるさを一瞬にして吹き飛ばした。
部長 : いい加減にしろ!!
全員の注目を浴びてもなお、怒り心頭の声は止まなかった。前に立たされてしおしおに萎縮した知暎(ジヨン)へ浴びせられる叱責が続いた。
部長 : どうしたっていうんだ!! 姜知暎さん!! 俺が姜知暎さんだけ叱ってるうちに、寿命が縮みそうなんだよ!! 理由くらい言ってくれ!! あ!?
知暎 : あ、部長、あの。大したことじゃなくて。私が。
部長 : 具合悪いって病院行かせたら! 駐車場で寝てるのを俺が起こしに行かなきゃならなかったのか!? あ!? 病院には行ったのか? あ!? 診療記録は、あ? せめて、処方箋くらいはあるのか!? あ?
知暎がもたもたとした手つきでブレザーの内ポケットからくしゃくしゃの処方箋を取り出した。部長がひったくるように知暎の手に握られていた処方箋を奪い取っては、中身を確かめた。
部長 : 日付は今日で合ってるな。
知暎 : あの、私、最近貧血が少しあるみたいで。何か、身体も痛むし、しきりに意識も朦朧として。
部長 : だから寝なきゃいけなかったのか?
知暎 : あの、眠ったんじゃなくて、たぶん。
部長 : なに、気絶でもしたのか? 業務量が多くて貧血になったのか? あ?? 労災扱いでもしてやろうか? あ!?
知暎 : あ、そういう意味じゃなくて。その。
部長 : じゃあ何だ!!!
部長のやるせない怒号に、知暎は格別の言葉を継ぐこともできないまま、大声に反応するように身を竦めた。
部長 : 俺がこうなったら、昇進書類にサインできないぞ!! 業務処理は担当随一だと偉そうにしてるくせに!? 度胸か!? あ!? 知暎さんがいなきゃ、会社回らないとでも思ってるのか!? 今回の昇進候補が姜知暎さんだって、わかっててやってるんだろ!? 度胸試しだろ!? そうだろ!? 俺と意地の張り合いしてるんだろ!?!
知暎 : 申し訳ないんですけど、部長……。いくら考えても、そんなことは私、言った覚えが——
部長 : どの口で口答えしてんだ!!
一喝に近い怒号を最後に、荒く追い立てるような息だけを吐くばかりで、部長は何も言わず知暎を睨みつけているだけであった。四十代後半の年齢に見える、ある中年男の怒号は長くは続かなかった。
部長 : 日本支社から来た会計資料あるだろ。あれ昨日翻訳したっていったな。持ってこい。今すぐ。
知暎が軽く頭を下げては背を向け、自分の席へ歩いていった。しばらくして、すっかり萎縮した知暎がファイルごと部長へ手渡した。分厚い書類の束の中にびっしりと記された数字と外国語を見比べながらしばらく確認した部長が、溜め息を吐きながら書類を再び閉じた。
部長 : は。まったく。
知暎 : あ、間違いはないはずなんですけど。印刷まで全部終わらせたんですが……。電子署名は受けないとおっしゃって——
部長 : わかってる!! わかってるから溜め息ついてんだ!! 姜知暎さん! 最近社員の間であだ名が何か知ってるか?
頭を下げたまま立っていた知暎が、しばし部長の様子を窺った。
部長 : ポンコツエリートだよ。ポンコツエリート。
部長の声に、知暎の背後に座る一部の社員たちがくすくすと笑いをかろうじて堪えているようだった。知暎がそれに同調するようにへへっと笑いながら後ろを振り返った。そんな知暎に向かって部長が鋭い目つきでもどかしげな怒声を再び激しく浴びせた。
部長 : おい!! 笑えるか!? これが!?
部長の怒声にくすくす笑う声はたちまち収まった。知暎がすぐさま萎縮した姿で部長へ向き直り、再び頭を下げた。
部長 : 日本語と梵語と漢字語ができるから座らせてやったのに、生活は本当に零点だな。昇進する気はあるのか? 万年代理で留まるつもりか?
部長の声がいくらか落ち着いた時、知暎がちらりと様子を窺った。
知暎 : 私の年で代理も高——
部長 : おい!!
怒声を浴びせた部長がしばし怒りを鎮めては、面倒くさそうに顔をしかめながら引き出しを漁った。ファイルの上にもう一枚の紙を載せて知暎へ渡した。
部長 : 早退届だ。帰って少し寝ろ。駐車場で居眠りするんじゃなくて。どうせ一度や二度病欠扱いにしたわけでもないんだから。明日休みたきゃ休め。
知暎がファイルを両手で受け取った後、口元をひくつかせた。
部長 : 行け。早く。面も見たくないから。昇進審査は、俺も知らん。代理で満足してろ。
知暎が深々と腰を折った後、ファイルを手にちょこちょこと小走りで席を離れた。パーテーションで仕切られた席に戻って身を沈めた知暎が、比較的整頓された机の上をもたもたと片づけた。かけていた眼鏡を外して引き出しの中へ入れてはファイルをブックスタンドの上に載せた。上に置かれていた紙は机の引き出しの中へ入れては、身軽に席から立ち上がった。気落ちした姿と具合の悪い気配は必須であるかのように、席を立つやいなや身軽さの代わりに、病弱で疲弊して気力すらなく、意気消沈まで含めた表情を拵えた。書類鞄を胸に抱えた知暎が、部署の事務室の入口で深々と腰を折っては、その場をそっと離れた。
Scene 11_01.
荒れたアパートの外観とは異なり、所姬(ソヒ)が暮らす家の中はなかなかに居心地の良い佇まいであった。白い新しい食卓を真ん中に据え、向かい合って座った連曦(ヨンヒ)と始緣(シヨン)の前に茶碗が置かれていた。所姬が冷蔵庫から取り出した冷たいハーブティーを二人の空の杯に注いだ後、自分の座る空席に置かれた茶碗へ注いでは食卓の真ん中に下ろした。空席に身を下ろした所姬が、まず渇きを鎮めようと茶をがぶがぶと飲んだ。連曦も慎重に茶碗を両手で支え持った後、まだまだ暑い気候に渇きを覚えていたのか、乾いた唇を潤そうと冷たい茶を飲んだ。始緣がそんな所姬と連曦をじっと見ながら様子を窺っていた。
所姬 : 慣れないでしょ?
所姬の問いに始緣が腕を組んでは脚を組んで座り、頷いた。始緣の長い脚が連曦のふくらはぎを無頓着に触れた。始緣がむしろ狼狽え、椅子の奥深くまで身を引いて座り、連曦の脚に触れないように身を正した。
所姬 : 知暎オンニを見て驚かないように、直接あんたの目で見る方がいいかなと思って。ちょうど、所長もこの近くで最初の仕事が始まったからお迎えできたし。テレビみたいに向かい合っても死なないってことも教えるついでに。
始緣 : あ。確かにそうだな。
所姬 : そうしたら、いきなり銃からぶっ放すってどういうことよ。
連曦 : 私は大丈夫です。慶瑞(慶瑞:ギョンソ)がきちんとお伝えしてくれたようで、むしろ良かったです。
連曦の声と所姬の声は知暎や始緣自身の声のようにほぼ同じであった。しかし話し方はだいぶ異なっていたため、始緣は容易に区別できた。ふと始緣がきまり悪い表情をそっけない不満に変えながら、連曦に詰め寄るように言った。
始緣 : さっき謝った。ちゃんと。
ぶっきらぼうに伝える始緣の声も連曦にとって馴染みのないものではなかった。短かった電話越しの声が、連曦の脳裏に浮かんだ。連曦が薄く微笑みながら始緣の言葉に肯くように頷いた。
所姬 : 今日、どうだった。
始緣 : クソだったよ。殺してえ女のツラが一瞬見えてカッとなったんだけど、殺したら元の顔に戻ってた。あの、姜知暎? あの人が来てから誰も死んでなかったってわかったから助かったけど、シバル、あたしがマジで人殺したと思ってどんだけビビったか。
嘆息に近い始緣の愚痴を聞いた連曦が、怪訝そうに所姬をしばし見やった。
所姬 : ええ。始緣は今、呪術にかかっているんです。
連曦 : その呪術。いえ、あの人。今、手配中のはずなのに、どうやって。
所姬 : 策士と意が合ったからです。
連曦 : 策士は一人では動きません。いつも私——
連曦がしばし言葉を止めた。何かを明かすまいとする連曦の意図であったが、所姬が知らぬはずもなかった。だからといってわざわざ明かそうともしなかった。連曦が言葉を止めたまま、しばし思考を巡らせた。
所姬 : とにかく。私たち四人は、鍵の候補者という口実で人が死なないように事を運びます。
連曦 : 今日のようにやればいいのでしょうか。
所姬 : 今日のようにうまくいくなら、ですけど。
所姬の言葉に連曦が何かを考えては、虚脱した微笑みを口元に湛えながら頷いた。連曦が軽く浮かべていた自暴自棄な微笑みと共に、始緣の様子をちらりと窺った。
連曦 : 肩は、少しましですか。
始緣 : すぐ治る。
所姬 : すでにお話しした通り、始緣は使節(使節:シセツ)を宿しています。
所姬の言葉に連曦が再び深い思考を巡らせた。慎重に伝えようとする問いであった。始緣が所姬と連曦の様子を窺っていた。
連曦 : 本当に、門を——
唐突に、始緣の怒声が降り注いだ。
始緣 : ああもう!! もどかしい!! わかるように話せよ!! つーかさあ!
