Scene 04_虚像.
頭のど真ん中から血を流していた。血を流したまま倒れた지윤(智胤:ジユン)の目に、高い靴の踵が一つ置かれた。시연(始緣:シヨン)が怒りを堪えきれない表情で、冷たい床の上で死にゆく智胤を見下ろしていた。さほど遠くない場所から始緣を見守っていた一人の女が現れた。見知らぬ女の出現に始緣が緊張の色を隠さず銃を抜いて女に向けた。女は無愛想な表情で始緣と目すら合わせぬまま歩を進めた。手に持った小さな瓢箪を取り出し、床に倒れたまま死んでしまった誰かの血を収めた。始緣が再び目を向けた先には、智胤ではない別の人間の冷たい亡骸が横たわっていた。始緣の目がしばし揺れた。血を小さな瓢箪に収めた後、細い香を取り出し青い炎をともした。周囲へ香が広がっていった。香の匂いがかすめるように過ぎた時、始緣が再び頭を振って自分が殺した誰かを確かめた。いくら見直したところで、智胤の姿に変わりはしなかった。知らない人間の姿ではあったが、いつも殺さねばならない時が来れば、殺すべき人間の顔は決まって智胤の姿に変わっていた。その姿を目にするたび、収まりのつかない憎悪が込み上げ、始緣の判断も理性もすべてを遥か彼方へ押しやった。ついに対象を無残に殺してしまった。
敎正館(キョウセイカン)職員 : 何してんの? 行くよ。終わったなら。
呆然と立ち尽くしていた始緣を見下す職員の口調に、始緣が雑念を振り払い歩を進めた。人気のない路地の入口で仕事を片づけた始緣。薄い上着のポケットに入っていた、小さな두루마리(卷子:トゥルマリ)を難儀しながら開いた。ペンを取り出し中に記された内容を整理するように名前を一つ消そうとした。奇数で割り当てられた自分の分を見た後、手に握ったボールペンを荒々しく走らせ、卷子を引き裂くように激しく消した。
Scene 05.
始緣が名前の三文字をペンで荒々しく消した時、始緣が通り過ぎた路地から검은 철사(玄絲:ヒョンサ)が立ち上がった。始緣の背後に音もなく現れた지영(知暎:ジヨン)が、始緣と背中を向け合ったまま、始緣に向かって優しい声を届けた。温かい声であった。自分の声があれほどまでに温かな感情を宿せるものかと、始緣自身が疑問に思うほどに、知暎の声は始緣と同じでありながら温かく感じられた。
知暎 : 怪我はないですか?
始緣は努めて振り返ろうとはしなかった。知暎が散らばっていた玄絲を腕輪に収めると、始緣の殺人を始末していた敎正館の職員たちがその場にぴたりと止まっていた。時間が止まったかのように、始緣を担当した職員たちは何もせず、何も感じてもいなかった。知暎は答えない始緣の声を聞きたかったのか、もう少し言葉を続けようとした。
知暎 : 所姬が、まだは、向き合わないでって言ってたんですよ。自然に向き合うことになるからって。
始緣 : あ、そうだったんだ。でも、声もそっくりだね。マジで。
知暎 : そうですか。姿はそっくりでも声はよくわからないけど、今聞いてみると。
始緣 : いつあたしを見た。あ。違うか。見てるよな。
知暎 : あの時もお互い挨拶して別れたかったんですけど。会社に戻らなきゃいけない時だったので。
始緣 : まあ、いいよ。それと、ありがとう。助けてくれたって聞いた。
知暎 : 大したことじゃないです。気にしないでください。いつも気をつけてくださいね。怪我しないように。
始緣 : うん。
始緣のぶっきらぼうな声に知暎が口元をそっと持ち上げた。知暎がスーツの革靴を運ぶ音が遠ざかった時、始緣が後ろを振り返った。香を焚き上げていた職員たち。始緣を見下していた者たちが、まだ場を離れていない始緣をちらりと見ては、取るに足りないという表情を再び浮かべていた。彼らの目にだけ見える死体が一体、床に横たわっていたが、実際には誰も死んでいないため死体も当然存在しなかった。始緣が空っぽの床をちらりと見ては再び背を向けた。始緣が手に持っていた卷子をちらりと見やった。苦労して消したはずの名前が元通りになっていた。ボールペンを再び取り出し、元通りになった名前を苛立たしげに消した。
始緣 : これも地味にめんどくさいな。
Scene 06.
順調な出発だと思っていた。粹廷が智胤と始緣からのメッセージを確認した後、静かに携帯を伏せた。向かい側で食事を共にしていた惟碩が粹廷の様子を見逃さなかった。
惟碩 : 俺たちがなぜこんなに遅く動き始めたのか、気にならないか?
粹廷 : そうだね、それは考えてなかった。なんで今になって動いたの? 名簿を見たら、もうとっくに整理されてたみたいだけど。
惟碩 : 将棋の駒を動かす時は、空きを作ってから動かさなきゃいけない。中を掻き回しておいて、万が一撹乱に失敗した場合に逃げられる場所まで見定めてから動くべきだろう。
粹廷 : 難しいね。
惟碩 : 掻き回せるだけのネタが転がったと思った。十分に。ただ、まだ俺の目で確かめていないものがある以上、それをやるにはどうしても近くの手も借りなきゃならなかった。不本意だがお前に死体を作れと言ったのはそういうことだ。집현관(集賢館:シュウケンカン)の長の勧めと意志を少し汲んで。
粹廷 : あたしはまだ平気だよ。バレてもい——
惟碩 : 俺が不本意だと言っている。お前じゃなくて。
粹廷 : 作ったのは、あたしなんだけど?
惟碩 : どのみち実際の呪術は俺の砂でやったんだから。
粹廷 : オッパは逃げ道でも作っておこうとしたんでしょ? 延秀が被ることになるかもしれないから迂闘に言いふらすこともできないだろうし。まあ、どうせ短く生きるって言われて、ええいままよって踏み切ったんだから、確実に引き上げてくれさえすればいい。
粹廷の芯の通った諦念を聞いて、惟碩がしばし何かを思案するように言葉を止めた。しばし箸を置いて水を飲んだ惟碩が、脈絡のない話を切り出した。
惟碩 : '우는 자(泣者:ウヌンジャ)'の中の、お一方がじきにお前を引き上げる。
おかずをつまみながらさりげなく言及した一つの言葉。惟碩の淡々とした言葉に潜んでいたその一語に、粹廷が箸をしばし止めた。惟碩が置いていた箸を再び取った。品よく食事を続けながら粹廷の問い返しにもあえて答えなかった。しばし何かを思案した粹廷が惟碩にそっけない質問を投げた。
粹廷 : 八つの사절단(使節團:シセツダン)のうち、どれ?
惟碩 : あまり驚かないんだな。
粹廷 : どのみち鍵を消すにはそれくらいはするだろうと思ってたから。
そっけない粹廷の様子を気にも留めなかった惟碩が、自分の飯碗から先に空けていっていた。
粹廷 : 循環を終わらせたいんでしょ。摂理が据わればねじ曲がった循環の居場所もなくなるし、循環を追っていた泣者たちは存在価値が消える。もちろん、それは鍵をもう追う必要すらなくなるあたしたちの無用論だけに限った話じゃなかったはず。わかるよ。一人一人それぞれの目的があるのは、普通のことだから。
惟碩がすべての食事を終えて箸をゆっくりと置いた。注がれていた水を飲んだ後、粹廷のまだ空いていない飯碗を見やった。粹廷が箸を置いた。
粹廷 : でも、その意味は。もう正しい側がどちらかわかっているってことだよ。この件に関わるすべての人が。そして、誰かは進んで鍵を最後まで消そうとはしないはず、でしょ?
惟碩は答えぬまま、粹廷の問いに薄い笑みを浮かべるだけであった。
惟碩 : 午後、忙しくなければ風にでも当たってこい。資金の受け渡しも兼ねて。俺が團長をお傍に控えていればいいから。
粹廷が水のグラスをちびちびとやっては背筋を伸ばし、自然とこぼれ出た溜め息と共に落ち着いて衣の前を整えた。惟碩が粹廷の空いたグラスに水を注いだ。惟碩が薄い周衣の内ポケットから分厚い封筒を三つ取り出した。向かい側に座る粹廷へ渡すと、粹廷が封筒の束を掴み中を確かめた。
粹廷 : けっこう多いね。
惟碩 : 逃亡者が使っているチンピラどもにお前が直接渡せ。後で面倒にならないように。逃亡者がどういう女か百も承知の上で。
粹廷 : まあね。あいつは自分で全部食い潰しても余る女だし。
惟碩 : 上がる途中、最初の死体の家から寄れ。残りは用事を済ませてからでいいだろう。
粹廷 : あたしの知らないあたしの用事なんてあるの?
惟碩 : ダニどもだよ。たぶん、今日鉢合わせるんじゃないかな。さっきも隅っこで虫みたいにお前だけ睨んでたし。まあ、とにかく。
惟碩が先に身を起こした。続いて粹廷も黒い韓服の裾を整えながら席を立った。
粹廷 : 一つだけ肝に銘じて。
粹廷が惟碩の背を過ぎながら冷ややかな言葉を残した。
粹廷 : 鍵を消そうとしないなら、それが、誰であれ、あたしは黙って座って見ているだけじゃいないから。
粹廷の静かな脅しに返事すらしなかった。惟碩にとって粹廷もまたただの通りすがりの将棋の駒に過ぎなかったため、そんな粹廷の反応も行動も、そしてやらかすであろう暴言も、わざわざ表に出したり懐柔しようとする気すらなかった。
頭のど真ん中から血を流していた。血を流したまま倒れた지윤(智胤:ジユン)の目に、高い靴の踵が一つ置かれた。시연(始緣:シヨン)が怒りを堪えきれない表情で、冷たい床の上で死にゆく智胤を見下ろしていた。さほど遠くない場所から始緣を見守っていた一人の女が現れた。見知らぬ女の出現に始緣が緊張の色を隠さず銃を抜いて女に向けた。女は無愛想な表情で始緣と目すら合わせぬまま歩を進めた。手に持った小さな瓢箪を取り出し、床に倒れたまま死んでしまった誰かの血を収めた。始緣が再び目を向けた先には、智胤ではない別の人間の冷たい亡骸が横たわっていた。始緣の目がしばし揺れた。血を小さな瓢箪に収めた後、細い香を取り出し青い炎をともした。周囲へ香が広がっていった。香の匂いがかすめるように過ぎた時、始緣が再び頭を振って自分が殺した誰かを確かめた。いくら見直したところで、智胤の姿に変わりはしなかった。知らない人間の姿ではあったが、いつも殺さねばならない時が来れば、殺すべき人間の顔は決まって智胤の姿に変わっていた。その姿を目にするたび、収まりのつかない憎悪が込み上げ、始緣の判断も理性もすべてを遥か彼方へ押しやった。ついに対象を無残に殺してしまった。
敎正館(キョウセイカン)職員 : 何してんの? 行くよ。終わったなら。
呆然と立ち尽くしていた始緣を見下す職員の口調に、始緣が雑念を振り払い歩を進めた。人気のない路地の入口で仕事を片づけた始緣。薄い上着のポケットに入っていた、小さな두루마리(卷子:トゥルマリ)を難儀しながら開いた。ペンを取り出し中に記された内容を整理するように名前を一つ消そうとした。奇数で割り当てられた自分の分を見た後、手に握ったボールペンを荒々しく走らせ、卷子を引き裂くように激しく消した。
Scene 05.
始緣が名前の三文字をペンで荒々しく消した時、始緣が通り過ぎた路地から검은 철사(玄絲:ヒョンサ)が立ち上がった。始緣の背後に音もなく現れた지영(知暎:ジヨン)が、始緣と背中を向け合ったまま、始緣に向かって優しい声を届けた。温かい声であった。自分の声があれほどまでに温かな感情を宿せるものかと、始緣自身が疑問に思うほどに、知暎の声は始緣と同じでありながら温かく感じられた。
知暎 : 怪我はないですか?
始緣は努めて振り返ろうとはしなかった。知暎が散らばっていた玄絲を腕輪に収めると、始緣の殺人を始末していた敎正館の職員たちがその場にぴたりと止まっていた。時間が止まったかのように、始緣を担当した職員たちは何もせず、何も感じてもいなかった。知暎は答えない始緣の声を聞きたかったのか、もう少し言葉を続けようとした。
知暎 : 所姬が、まだは、向き合わないでって言ってたんですよ。自然に向き合うことになるからって。
始緣 : あ、そうだったんだ。でも、声もそっくりだね。マジで。
知暎 : そうですか。姿はそっくりでも声はよくわからないけど、今聞いてみると。
始緣 : いつあたしを見た。あ。違うか。見てるよな。
知暎 : あの時もお互い挨拶して別れたかったんですけど。会社に戻らなきゃいけない時だったので。
始緣 : まあ、いいよ。それと、ありがとう。助けてくれたって聞いた。
知暎 : 大したことじゃないです。気にしないでください。いつも気をつけてくださいね。怪我しないように。
始緣 : うん。
始緣のぶっきらぼうな声に知暎が口元をそっと持ち上げた。知暎がスーツの革靴を運ぶ音が遠ざかった時、始緣が後ろを振り返った。香を焚き上げていた職員たち。始緣を見下していた者たちが、まだ場を離れていない始緣をちらりと見ては、取るに足りないという表情を再び浮かべていた。彼らの目にだけ見える死体が一体、床に横たわっていたが、実際には誰も死んでいないため死体も当然存在しなかった。始緣が空っぽの床をちらりと見ては再び背を向けた。始緣が手に持っていた卷子をちらりと見やった。苦労して消したはずの名前が元通りになっていた。ボールペンを再び取り出し、元通りになった名前を苛立たしげに消した。
始緣 : これも地味にめんどくさいな。
Scene 06.
順調な出発だと思っていた。粹廷が智胤と始緣からのメッセージを確認した後、静かに携帯を伏せた。向かい側で食事を共にしていた惟碩が粹廷の様子を見逃さなかった。
惟碩 : 俺たちがなぜこんなに遅く動き始めたのか、気にならないか?
粹廷 : そうだね、それは考えてなかった。なんで今になって動いたの? 名簿を見たら、もうとっくに整理されてたみたいだけど。
惟碩 : 将棋の駒を動かす時は、空きを作ってから動かさなきゃいけない。中を掻き回しておいて、万が一撹乱に失敗した場合に逃げられる場所まで見定めてから動くべきだろう。
粹廷 : 難しいね。
惟碩 : 掻き回せるだけのネタが転がったと思った。十分に。ただ、まだ俺の目で確かめていないものがある以上、それをやるにはどうしても近くの手も借りなきゃならなかった。不本意だがお前に死体を作れと言ったのはそういうことだ。집현관(集賢館:シュウケンカン)の長の勧めと意志を少し汲んで。
粹廷 : あたしはまだ平気だよ。バレてもい——
惟碩 : 俺が不本意だと言っている。お前じゃなくて。
粹廷 : 作ったのは、あたしなんだけど?
惟碩 : どのみち実際の呪術は俺の砂でやったんだから。
粹廷 : オッパは逃げ道でも作っておこうとしたんでしょ? 延秀が被ることになるかもしれないから迂闘に言いふらすこともできないだろうし。まあ、どうせ短く生きるって言われて、ええいままよって踏み切ったんだから、確実に引き上げてくれさえすればいい。
粹廷の芯の通った諦念を聞いて、惟碩がしばし何かを思案するように言葉を止めた。しばし箸を置いて水を飲んだ惟碩が、脈絡のない話を切り出した。
惟碩 : '우는 자(泣者:ウヌンジャ)'の中の、お一方がじきにお前を引き上げる。
おかずをつまみながらさりげなく言及した一つの言葉。惟碩の淡々とした言葉に潜んでいたその一語に、粹廷が箸をしばし止めた。惟碩が置いていた箸を再び取った。品よく食事を続けながら粹廷の問い返しにもあえて答えなかった。しばし何かを思案した粹廷が惟碩にそっけない質問を投げた。
粹廷 : 八つの사절단(使節團:シセツダン)のうち、どれ?
惟碩 : あまり驚かないんだな。
粹廷 : どのみち鍵を消すにはそれくらいはするだろうと思ってたから。
そっけない粹廷の様子を気にも留めなかった惟碩が、自分の飯碗から先に空けていっていた。
粹廷 : 循環を終わらせたいんでしょ。摂理が据わればねじ曲がった循環の居場所もなくなるし、循環を追っていた泣者たちは存在価値が消える。もちろん、それは鍵をもう追う必要すらなくなるあたしたちの無用論だけに限った話じゃなかったはず。わかるよ。一人一人それぞれの目的があるのは、普通のことだから。
惟碩がすべての食事を終えて箸をゆっくりと置いた。注がれていた水を飲んだ後、粹廷のまだ空いていない飯碗を見やった。粹廷が箸を置いた。
粹廷 : でも、その意味は。もう正しい側がどちらかわかっているってことだよ。この件に関わるすべての人が。そして、誰かは進んで鍵を最後まで消そうとはしないはず、でしょ?
惟碩は答えぬまま、粹廷の問いに薄い笑みを浮かべるだけであった。
惟碩 : 午後、忙しくなければ風にでも当たってこい。資金の受け渡しも兼ねて。俺が團長をお傍に控えていればいいから。
粹廷が水のグラスをちびちびとやっては背筋を伸ばし、自然とこぼれ出た溜め息と共に落ち着いて衣の前を整えた。惟碩が粹廷の空いたグラスに水を注いだ。惟碩が薄い周衣の内ポケットから分厚い封筒を三つ取り出した。向かい側に座る粹廷へ渡すと、粹廷が封筒の束を掴み中を確かめた。
粹廷 : けっこう多いね。
惟碩 : 逃亡者が使っているチンピラどもにお前が直接渡せ。後で面倒にならないように。逃亡者がどういう女か百も承知の上で。
粹廷 : まあね。あいつは自分で全部食い潰しても余る女だし。
惟碩 : 上がる途中、最初の死体の家から寄れ。残りは用事を済ませてからでいいだろう。
粹廷 : あたしの知らないあたしの用事なんてあるの?
惟碩 : ダニどもだよ。たぶん、今日鉢合わせるんじゃないかな。さっきも隅っこで虫みたいにお前だけ睨んでたし。まあ、とにかく。
惟碩が先に身を起こした。続いて粹廷も黒い韓服の裾を整えながら席を立った。
粹廷 : 一つだけ肝に銘じて。
粹廷が惟碩の背を過ぎながら冷ややかな言葉を残した。
粹廷 : 鍵を消そうとしないなら、それが、誰であれ、あたしは黙って座って見ているだけじゃいないから。
粹廷の静かな脅しに返事すらしなかった。惟碩にとって粹廷もまたただの通りすがりの将棋の駒に過ぎなかったため、そんな粹廷の反応も行動も、そしてやらかすであろう暴言も、わざわざ表に出したり懐柔しようとする気すらなかった。
