雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

思いだした。

残業中に電話がかかってきて、
月初は忙しいって言ったよね、と。

彼は何も悪くないのに、あの日、疲れていたから
苛立ってしまい、つい強く言ってしまった。


「今日さ、遅くなってもいいから、
家で待っていてもいいかな?話したいことがあってさ」


彼は花束を見つめ、不安そうな顔で立っていた。


「う、うん。
そうだよね…疲れてるよね。ごめん。
また、月初過ぎたら連絡するわ」


少し焦る声で私に話したあと、
彼は小さく元気を振り絞って言った。

「仕事、頑張って。無理しないでね。
うん、じゃあ、また」


彼はスマホを切り、左ポケットにしまい、
ため息をつきながら、ゆっくりと歩き出した。