雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-



「プロポーズしようとしていたんですね」


「プロポーズ……?」


何を言っているの?
だって、そんな素振り一度も見たことがない。


同棲3年して、そろそろかなと思った時は
何度もあった。
周りが結婚していく中で、焦りもあった。

でも、そんな訳あるはずが……


また、瞼を閉じてみると、彼の記憶が、傘が
その日見た記憶が、まるで走馬灯のように
どんどん流れ込んできた。

花束を包んでもらっている時に、彼はポケットを触り、小さな四角い箱を取り出して中をゆっくりと開けていた。



「うそ……指輪?」



震えてしまった声が、土砂降りの雨の音がする
記憶の空間で響いた。

彼の両手には、小さなダイヤモンドがついた指輪が、
たしかに白いジュエリーボックスの箱に入っていた。

緊張しているのか、彼は何か思い悩みながら
指輪を眺めているようにも見えた。