雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

室内にいるのに、雨の音が耳を撫で、外のツーンとした
冷たさと雨の香りが体を包んだ感覚がした。


匂い、空気、温度、すべてがあの日の夜に重なる。



「これは……健太の記憶……?」



思わず声が出た。
胸が締め付けられる。


店主の声が柔らかく、遠くから胸に響く。


「土砂降りの夜でしたね……」


店主はさらに続ける。


「赤い薔薇の花束を買おうとしていましたね。
ポケットに何か……指輪ですかね?
ポケットの中に入っていたんですね」


「指輪?」


私もすがさず目を閉じると、
彼の記憶が断片的に流れ込んできた。
これまで経験したことがない不思議な感覚だった。

雨が降る中、花屋で赤い薔薇の花束を
店員さんに頼み、待っている姿。