雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

真っ白なページの上に、
うっすらと消しゴムの跡だけが残っていた。


「その持ち主だった方は……
そのノートを大事に使っていたんですね」


私は、しばらく躊躇い、
指先でページの角をそっとなぞった。


「でも、最後のページは消されていて……
何が書いてあったのかは、もう分からないと
思います」


私は、無理に明るい声を出した。


「だって……もう、その人は……」


言葉が喉の奥で詰まった。


「……この世界に、いないので」


言葉にした瞬間、胸の奥が少しだけ痛んだ。


「……見てみましょうか。
お客様が何かを知りたいと強く願うなら」


彼女はノートを見つめ、
どこか悲しそうな表情を浮かべていた。

まるで、このノートが背負ってきた時間を
知っているかのように。

けれど、その声は穏やかで温かかった。