雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

私は思わずバッグを抱き寄せた。
中に入っているノートの感触を、確かめるように。


「大切なものの記憶を辿ると、何かあるんですか?」


私は彼女の瞳をまっすぐ見つめた。


「大切なものは消えてしまうのに……
何も良いことなんてないですよね?」


彼女が嘘を言っているようには見えなかった。


それでも、不思議なことを言う彼女に、
私は少しだけ眉をひそめた。

なんだか、損をする気がした。


「大切なものの記憶を辿ると、
これまで知らなかった想いを知ることができます」


彼女は私のバッグを見つめ、穏やかにそう告げた。