雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-


月の冷たい雨が、街を静かに叩いている。


大学帰り、ライトアップされた桜並木道を、
私は一人、ゆっくり歩く。


無意識に握ったバッグの手に、少しだけ力が入った。
手のひらに伝わる冷たい革の感触。


春の雨で地面に散った桜の花びらが、
濡れて光が揺らめいていた。



ひとりで歩くと、こんなにも寂しいものだと
初めて感じた。



傘をさしながらバッグを覗くと、雨音に混ざって
自分の心臓が早鐘のように打った。



いつも太陽のように笑う。
元気で幼い頃から、ずっと一緒だった空。



バッグの中に手を伸ばして、わずかに手が震えた。