雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

同時に店主のやさしい声が、
徐々に小さく、消えるように聞こえてきた。


「きっと、もう大丈夫です……。
外はまだ寒いので、お気をつけて……
いってらっしゃい……ませ……」








目をゆっくりと開けると、景色が
突然変わっていた――。


雨はいつの間にか止み、
夜空には透き通る星空が広がっていた。


「あれ……?」


周りを見渡すと、さっきまで一緒にいた店主も
路地にあった雨の記憶屋もなくなっていた。




なんだったんだろう、この不思議な感覚。




何か大切なものがなくなってしまった気がするけれど、
歩くと胸の奥が少し軽くなっていることに気づく。

誰かが、そっと背中を
押してくれているような感覚だった。