あの日の夜、確かに土砂降りだった。
運転手の不注意だったそうです――
あの日の夜、病院で看護師さんから聞いた
言葉が今更になって、胸に重くのしかかる。
「記憶は変えられません。過去も変えられません」
店主の声が静かに響く。
「でも、知らなかった本当の想いを
私たちは知ることができます。
ここは、本当に大切な人を亡くした人しか、
来れない場所です。
大切なものを持っている人だけが……
記憶を……想いを辿ることができます」
突然、風が優しく私の体をふわっと包みこみ、
さっきまで聞こえていた雨音は、いつのまにか
消えていた。
まるで、夢を見ていたかのように。
