雨の記憶屋 -星空のタイムスケジュール-

待っている間に、雨粒の音が、さらに強く
傘をはじくようになっていた。


「プロポーズ、今日するべきじゃないよな。
でも、今日は、付き合った記念日だし……。
何時に終わるかわからないけど、
澪の家で待っていよう」


時間が経つにつれて、雨も風も強くなり、
なぜか胸がざわつきはじめた。


「ご飯でも作って。きっと澪、疲れて
カップラーメン食べるんだろうし。
……よし」


健太の呟きは雨音にかき消され、
その瞬間、信号が青に変わった。

横断歩道のあちこちに、水たまりが広がっている。

風にあおられ、花束の透明な包みとピンクの
リボンが、かさかさと音を立てて揺れていた。




――嫌な予感がする。